騎士A。8 偽勇者。
魔族の国に潜入中だ。
森の道の先にはどうやら砦にいた連中が防衛線を張っているようなので
もっと南から潜入した。
魔獣の森はもう庭みたいなものになっている。一人じゃあ無理だけど。
ダテさんの結界範囲の南側にも北側ほどではないが森がある。
そこから海に向かって流れる小川が国境だ。
主戦場はその東西ということになる。
魔族の陣地の後方の兵站基地と兵站ルートが今回の目標となる。
ルートは二本。
海沿いと平野の真ん中。
二本のルートの間は丘陵地帯だが基地ちかくの端が断崖なので
丘陵の上を通ってのルートは無い。
海沿いは勇者が土魔法で崖を崩してしまった。
相変わらず予想より盛大に崩してくれた。
魔導師を呼んできても復旧にはしばらくかかるだろう。
平野ルートの方はなぜか奴隷に扮した勇者が病気が流行ってるので
しばらく通行止めということにしてしまった。
このあたりの領主の紋章入りの<御触れ書き>なんてどうやって
手に入れたんだろう。
<あ、用紙は内緒でもらっちゃいました。
いっぱいあったんで二、三枚無くても大丈夫ですよ。
印章と紋章付きなんで本物らしいでしょ。>
どうやって領主のところに入り込んだのか白状しなかったが
聞くのもコワイ気がした。
魔石と自分の魔力で兵站基地はあっというまに占拠してしまった。
魔族を武装解除させてあのスタンプを手に押し食料を持たせて解放した。
主戦場には行かないようにと言い含めていた。
雷の魔法を実演している。
昼飯用だったはずの獲物を消し炭にしやがった。
アホめ! ・・せっかく獲ったのに。
そのスタンプは的中の魔法と同じ効果があると脅したら連中の顔色が変わった。
主戦場側からくる連中もとっ捕まえては同様にスタンプの餌食にしている。
今日はとうとう指揮官らしきヤツがおでましだ。
あ~あ・・気の毒に・・・
落とし穴なんてガキの遊びなんだけどなあ。
落とし穴で猟をする連中もいない訳じゃあないが自分が獲物になるなんて
想像もしないだろう。
しかしオレの仕事が無いな。
えっ? いるだけで魔族が言うことを聞いてくれる? 。
どうやら連中のほとんどはオレが<勇者>だと勘違いしてるらしい。
アイツは威圧とか迫力とか皆無だからなあ。
当分オレの役目は<偽勇者>かもな。
さて、魔族の指揮官殿にご挨拶といきますか。
せっかく張り切ってきたのにアルフォンス君のお仕事は
そこにいるだけでオッケーな偽勇者です。
まあ、万が一の時の影武者代わりかもね。
残念勇者・間抜け勇者よりはカッコイイから勘弁してよね、
アルフォンス君。(笑。)




