~再開~
「おーい! 笠井ー! 樋川ー!」
船からぞろぞろと降りてくるお客さんの中から、
低めの大きい佐伯の声が聞こえてきた。
よく見てみると、後から古井達も降りてきた。
僕は、樋川と港まで後の4人を迎えに来ている。
楽しみだった週末がやっと来て、僕はウキウキしている。
子どもみたいだな……。僕。
「久しぶりだな!」
「久しぶりー凪斗君、梓ちゃん!」
佐伯と古井は効果音が付く位のはしゃぎっぷりだ。
「あ! 柚子! 久しぶりー!」
「梓も久しぶりだね!」
隣で樋川は、霜月とはしゃいでいた。
霜月 沙耶華は同級生の一人で、樋川とは一番の仲良しだ。
霜月は暗くて大人しくて、樋川とは対照的な奴だ。
樋川と似て、少し毒舌なのが残念だが……。
「おい雲居! なにボケッとしてんだよ!」
「煩いぞ。はしゃぎすぎだ」
佐伯と話してるのは雲井 高貴だ。
こいつも同級生の一人で、昔から秀才で大人っぽい。
クールでルックスもいいが、性格がひねくれてる。
佐伯とは昔から犬猿の仲だ。
「それにしても久しぶりだねこの島も。僕は沙耶華ちゃんと高貴君と都会の中の私立の高校に入ったから、こういう自然がたくさんの島ってあんまりこないからさ」
古井は寂しそうに話した。
古井達の通う都会の大きな私立の高校は僕も行った事はあるが、
とても近代的で、田舎にずっといる僕にとっては驚きしかないような場所だ。
「佐伯の通ってる高校は何処なのさ」
樋川は首をかしげながら聞いた。
佐伯は少し戸惑いながらも、驚くようなことを口にした。
「あー俺さ、入学はしたんだけど……今は行ってないんだよ。入学して一ヶ月で学校やめたんだよねーアハハ……だから今はバイト三昧」
佐伯は笑いながら答えた。
「バカだからついていけなくなったのか」
「あ? お前なぁ!」
「はいはい。喧嘩はよせって」
雲居と佐伯で喧嘩が始まりそうだったので、僕は慌てて止めた。
隣で霜月と樋川は呆れた顔をしている。相変わらず古井は怯えてる。
「ほら、早くしてよね! 今日と明日は私のおじいちゃん家に泊まってもらうからね! そこなら小学校までそんなにかからないしね」
樋川はたんたんと話していき、僕達は樋川の後についていくことにした。
「ねぇ、あのさ、僕達は何時の船で帰るの?」
「朝一の船で出航すれば学校には間に合う」
古井の質問に、雲居は即答した。
「別に帰るときの心配なんてまだいいだろぉ! 来たばっかだろ!」
楽観的な佐伯は、古井や雲居とは違い、帰るときの心配なんて全くしていなかった。本当にお気楽なやつだ。
その後も、いろいろ昔話をしながら、僕含めた6人で樋川のおじいちゃんの家へ向かった。