~連絡~
家に帰ったら、親は仕事でいなかった。
ま、当たり前の事か。逆に、居たらこまる。
僕は自室に行き、ベッドに仰向けに寝転んだ。
携帯の電話帳を見ていると、後の4人の電話番号やメールアドレスは案の定、
全部載っていた。
正直、あまり話してない同級生に連絡するのは勇気がいる。
やっぱり、一番仲の良かったアイツに最初にかけることにしよう。
僕は、「佐伯 彼方」書かれたところで決定ボタンを押し、発信ボタンを押した。
2~3秒音楽が流れた後、「もしもし!」と低めの元気な声が聞こえた。
「も、もしもし。えーっと……僕だよ。笠井凪斗だよ」
そう名乗った後、少しの間があいた。
そして、驚いたような、嬉しいようなデカイ声が聞こえた。
『えぇ!?!?!お、お前、あの笠井か!? おぉ! ひっさしぶりだなー!』
昔と変わらず、相変わらずバカっぽい奴だった。少しホッとし、僕は樋川との会話の内容を一通り伝えた。
『マジか……。学校、取り壊されるのか……』
「あぁ……。一応、他の奴等の電話番号は知ってるからさ、連絡取ろうと思ってるんだけど……」
さすがの佐伯でも、やっぱり悲しんでるようだった。
『あ、でもあれだぜ? 皆電話番号変わってるぜ?』
「え!? そうなの!?」
『そうだって! だって、昔みたいにガラケー使ってる奴なんてそうそういないと思うぞ? 今はもう、スマホの時代だからなぁ』
確かに。
僕の周りでも、未だにガラケー使ってる奴なんてそんなにいない。僕って本当時代遅れなんだなぁ……。
正直へこむ。
『まぁ、一応他の奴等の電話番号は教えとくからよ! 日程決まったらちゃんと連絡しろよ! 分かったな!』
「あ、うん。ありがとな」
他の奴等の電話番号を聞き、僕は一旦電話を切った。
本当、変わってないなぁ……あいつ。