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 ~同・級・生~   作者: cherry
~2日目~
17/33

~不思議な家政婦~

 トイレも済ませ、僕は皆のいるところへ向かう途中だった。その時、扉が2~3cm開いている部屋があった。

 少しの覗いてみると、たくさんの本が本棚にあった。そこには、「教員免許を取るために」などという本もあり、きっと先生の部屋だろうと僕は思った。


「なんだこれ……」


 本棚の隣に、小さなドアがあるのが見えた。

 僕は好奇心からか、部屋に入っていった。そして、そのドアを開けた。


 ドアを開けると、そこは思ったほど広い部屋だった。ただ、薄暗く君が悪い部屋だ。そして、周りにある棚に、たくさんのDVDが山積みになっていた。


「DVD……?」


 僕がそのDVDの中身を見ようとしたときだった。


「いけません!」


 後から女の人の鋭い声が聞こえた。振り向くと、そこには真っ青な顔をした家政婦さんがいた。


「あ、すいません……」


 僕は少し驚きながらも、手にしていたDVDを元の場所に置いた。


「あ、こちらこそ大きな声を出してしまって……あ! ご飯の準備が出来ましたので!」


 そう家政婦さんは言うと、「さぁさぁ」と僕はこの部屋から出された。

 少し疑問に思いながらも、僕は皆のいる場所へ小走りで向かった。その時に、後にいる家政婦さんの顔が少し怖いように見えた。






「昼食までごちそうになってしまって、本当ありがとうございました」


 樋川は申し訳無さそうに頭を下げた。

 あの後僕達は昼食を食べ、今は玄関で家政婦さんに御礼を言っている。


「じゃ、行こっか」


 樋川がそういうと、僕達は樋川の家へ戻り始めた。皆ご機嫌なのか、ワイワイ話しながら歩いている。

 僕は、どうしても先生の部屋のDVDが気になってしょうがなかった。

 とても優しそうな家政婦さんの顔にも気になってしまう。まぁ、普通に考えれば、いかがわしいようなDVDなんだろうが、それだけであんなにも取り乱すのだろうか……。


 僕が考え込んでいると、樋川が話しかけてきた。


「何一人で三毛にしわよせてんのよ」


「べ、別になんだっていいだろ」


 僕はそっぽを向き、樋川は「ふ~ん」と呟いた。

 その時、樋川が急に立ち止まった。後にいた古井は、ドン! と音をたて、「イタタ……」と呟きながら当たったおデコを押さえていた。


「ごめん。ちょっと先行ってて」


 樋川は、動揺した様子を見せながら言った。


「どうかしたのか?」


 佐伯が樋川の所を覗き込んだ。樋川は、「ちょっと用事が出来た」と言って、隣の路地裏の方へ走っていってしまった。


「ま、まぁ、行こっか」


 古井は頭にハテナマークを浮かべながらそう言い、歩き出した。

 その時、後で「ねぇ」と声が聞こえた。あまり聞きなれないような高い声だったので、声の主が霜月だという事はすぐ分かった。


「なんだよ」


 僕がそういうと、霜月は下を向いてもじもじしながら答えた。


「え、えっと……心配だから……梓の後、つけてみて……?」


「は?」


 霜月の言った事に対し、僕は思わず「は?」と答えてしまった。


「いいから……行って」


 霜月はそういうと、僕の背中をドン! と押して皆と一緒に行ってしまった。

 一体全体……なんで僕が行かなくちゃ行けないんだよ……そんな事を思いながら、僕は歩き始めた。


 仕方なく、樋川の後をついていく事にした。

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