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 ~同・級・生~   作者: cherry
~2日目~
14/33

~佐伯の過去~

「ほら、早くいくよ」


 樋川が僕達をせかしながら、僕達は樋川の家を出た。

 それにしても外の気温は暑かった。朝ならまだいいものの、もう正午近い時間なので、どんどん気温が上がってきた。


「ここからお花屋さんまでどのくらいかかるの?」

 

 古井は頭の上にはてなマークをうかべながら樋川に問いかけた。


「たぶん……15分位かな? ね、笠井」


「え! あ、たぶん……」


 急に投げかけられ、僕は少しとまどったが……一応樋川の意見に合わせておいた。

 この島に住んでるとはいえ、僕と樋川のおじいちゃんの家はかなりはなれている。樋川だって、いつもはここに住んでるわけじゃないので、正直方向感覚が分かってないだろう。


「ね、ねぇ。ちょっと休憩しない?」


「え、だってあともう少しでつくけど」


 僕は古井の意見にとまどいながらも反対した。


「だってさ……」


 古井はある場所を見ながら呟いた。古井が見ている方を見ると、霜月がふらふらしている光景があった。

 あ……こういう事だったのか。僕は納得し、近くにあるベンチに腰を下ろした。


「大丈夫……?」


 樋川が霜月に話しかけると、少し体力が戻ってきたのか、沙耶華は少し微笑みながらうなずいた。

 その間、僕はまだ不機嫌な佐伯の方を見ていた。


「なぁ、あの時さ、好きで学校辞めたわけじゃないっていってたけど……どうして学校やめたんだよ」


 僕は聞いてもいいものか悩んだが、結局佐伯に聞くことにした。


「……さすがにもう隠せないよなー!」


 佐伯は伸びをし、「よし!」と言い深呼吸をし話しはじめた。


「俺さ……中学2年になった時さ、母さんが死んだんだよ」






 これは俺が中学2年の時だった。


 僕が学校から帰ってくると、父さんが出かける準備をしていた。


「何してるんだよ」


 僕が父さんに問いかけると、父さんは思いも寄らぬ事を口にした。

 母さんがトラックにはねられたらしく、今から病院に行ってくるとの事だった。


 父さんが病院に行ってから1時間。家の電話が鳴った。急いで病院に来てくれとの事だった。


 病院に向かうと、冷たくなった母さんがいた。もう、目を覚ます事は無かったんだ。

 この日からだった……。


「父さん! やめろよ!」


「うるせぇ!!!」


 父さんは酒におぼれるようになり、次第に暴力を振るうようになってきた。


 高校に入学してからも、暴力はなくなることがなく、父さんも病気になり、結局学校をやめざるを得なくなった。


 もう、父さんは変わってしまったんだ_____________。






 佐伯の話に、僕は驚きを隠せなかった。

 僕達が小学生の時、佐伯の両親はとても評判がいい良心的な人だったんだ。僕らも自分の親と同じようにしたっていた。


「そんなことがあったんだ……」


 古井は下を向きながら、なみだ目になっていた。


「なんでだろうな。俺、喧嘩すごく強くて、父さんの暴力なんて簡単に止められてたのにさ、出来なかったんだよ……! 俺っ……」


「もういいよ。これ以上は、辛くなるだけだろ」


 感情的になっている佐伯を、僕はそっとなだめた。


「そろそろ行こっか! ほら、いつも言えないような不満とかさ、家に戻ってから発散しなよ! 私達はさ、佐伯のことずっと思ってるからさ」


 樋川はニコッと笑いながら、立ち上がった。


 僕達は笑顔で頷いて、お花屋さんに向かった。

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