~やってきた刑事~
「えっと……。今日はどんな用で……?」
僕達は刑事さん達と向き合う形でソファに座り、刑事さんに問いかけた。
「まぁ、だいたい予想はついていると思うが亡くなった林原さんの事についてなんだが……」
刑事さんは顔をしかめ答えた。
「え、えっとですね! 貴方達に林原さんについてお聞きしたいんですが! 林原さんに、悪評があったとかはないですか?」
若い方の刑事さん、宮下さんはメモを手に取り目を輝かせながら僕達に問いかけてきた。
「いや……なかったですけど」
「そうですよ! 先生に悪評だなんて……」
僕と古井は、なかったと正直に刑事さんに答えた。
「そもそも、林原先生が殺されてるって事に僕達は驚いてるんですよ?」
僕がそういうと、「そうだよ」と言いながら古井達がうなずいた。
佐伯と雲居はずっと下を向きながら腕を組んでいるが……。
「えっと……君達はどうしてここにいるんだい? 勝手に調べさせてもらったが、笠井凪斗君と、樋川梓さん以外本島に住んでいるんだよね?」
「あ、それはですね、学校が無くなってしまうと聞いたので僕と樋川で同級生を全員集めて学校を見に行こうっていう話になったんです。一応、古井たちは月曜日の朝一の船で本島に戻る予定です」
僕はなるべく手短に詳しく刑事さんに説明をした。
「えっと……雲居高貴君と佐伯彼方君だっけ? 君達は今は喧嘩中かい?」
雲居と佐伯の様子を見た刑事さんは、笑いながら雲居と佐伯に問いかけた。
「あぁ……この2人はほっといてください。どうせすぐ仲直りすると思うので」
ブスッとしたまま答えない雲居と佐伯にかわって、樋川は呆れたような顔をして答えた。
「あはは……喧嘩するほど仲がいいっていいますからな! えっと……樋川さんの隣にいるのが……」
「あ、霜月沙耶華です……」
「お、君がね……。じゃあ、その隣が古井昌平君かな?」
「あ、そうです」
古井は微笑みながらうなずいた。霜月は相変わらず下を向いたままだった。
「まぁ、林原さんに悪評が無かった事は分かった。きっといい先生だったんだろうな……またお話を聞きに来ると思うが、その時はよろしくな」
「はい」
僕が返事をすると、刑事さんは帰る支度を始めた。刑事さんが玄関の方へ行くと、僕と樋川で挨拶だけし、刑事さんは帰っていった。
少し疑問に思う事も多々あったが……まぁ、気のせいという事にしておこう。
「ほら、お前らもいつまでもムスッとしてんなよ」
僕がそういっても、雲居も佐伯も聞く耳をもたなかった。
「えっと……私、沙耶華と一緒に花買ってくる」
「花? なんでまた」
「午後、皆で改めて先生の家にお線香あげにいこうと思って」
僕が聞き返すと、樋川は微笑みながらそう答えた。
「へーいいね! 僕も一緒にいっていい?」
「どうせなら全員で行こうよ」
古井が満面の笑みで答え、その後に僕がそう答えた。全員で行けば、早く仲直りすると考えたからだ。
「俺は行かないぞ」
そんな僕の考えも虚しく、雲居はそういい残すとさっさと部屋にはいっていってしまった。
「はぁ。仕方ないよ。雲居以外で行こう」
呆れながら樋川が答えると、皆は支度を始めた。




