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 ~同・級・生~   作者: cherry
~最初の物語~
1/33

~始まり~

暑い。


 学校も終わり、もう夕方だというのに炎天下の中を歩いているようだった。制服は、汗でぐっしょりだ。

 どんどん足取りも重くなり、近くのコンビニによる事にした。


「いらっしゃいませ!」


 僕がコンビニに入った瞬間、若い店員さんの元気な声が聞こえた。


 暑いのにたいしたものだ。


 僕は迷わず雑誌や漫画が売っている棚の前に立ち、週刊誌を手に取った

 コンビニはクーラーも効いており快適だ。

 それに立ち読みも出来る。これほどいい店はないと思う。


 僕が週刊誌に没頭している時だった。床に無造作に置いてあった通学鞄の中から着信音が聞こえた。


 僕は通学鞄を開け、携帯を手に取った。


 周りの人の目を気にしながら、僕は「もしもし」と電話にでた。


『あ、もしもし。私だけど』


 同じクラスの樋川 梓だった。

 高めのトーンが特徴的で、声を聞けばすぐ分かる。


 僕はコンビニを出ながら話し始めた。


「なんだ樋川か……。いきなりなんだよ」


 暑さでイライラしているため、僕は少しトーンを下げながら答えた。


『なんだとは何よ! あ、そうそう。なんかね、桜川小学校が来月で取り壊されるらしいのよ』


「え・・・嘘だろ?」


 桜川小学校とは、僕の母校だ。樋川も同級生で、とても小さな学校だ。

 なんてったって、僕達の学年は、僕と樋川を含めて男女6人しかいなかったからな。


「でも、その学校って開校したの6年前だろ!? そんな早く取り壊されるのか?」


 僕が住んでるここは、小さな離れ小島だ。

 俺が小学4年のころまでは小学校なんてなく、ここから近い本島の学校まで通っていた。

 

 でも、小学5年になって、その桜川小学校が開校した。


『そうなんだけどね、ほら、私達が卒業した後にもう1つ学校が開校したじゃんね。そしたらそっちの学校の方に子どもが行っちゃって、桜川小学校に子どもが入らなくなったらしいよ。まぁ、あのころより子どもも増えて、もう1つの小学校には百人近くの小学生がいるらしいけど』


 樋川も、寂しそうな声で話した。


 そりゃそうだろ、たった2年間とはいえ。自分が生活した母校がなくなるんだ。


『それでね、他の4人と先生も誘って取り壊される前に見に行こうと思うだけど……』


「……そうだな、後の4人の連絡先位知ってるし、誘ってみるか」


 樋川の思いつきに、僕は乗った。後の4人はこの島にはいないが、確かそれほど遠いところではない。


 3日間くらいなら泊まりでこっちに来てもらう事位簡単だ。


『本当!? じゃあ、私先生の番号だけ調べるから、後の4人によろしくね!』


「うん。分かった」


 僕は携帯をきって、鞄の中に入れた。

 電話しながら歩いてたため、気付いたら家の前だった。


 「笠井」と書かれた表札に目をむけ、一応自分の家である事を確かめた。


「ただいま」


 一言そう言い、僕は家の中に入っていった。

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