再会はいつだって突然です。
会わせたい人がいるんだ。
そういうとシャク王子は部屋を出て行ってしまいました。
残されたのは自分とリョクさん。
聞きたいことがあるけど、聞いていいのか分からない。
人によっては、繊細な話にもなるし。
チラチラと隣に座るリョクさんを伺う。
「ん?何?」
長い脚を組んで、優雅にカップを傾けていたリョクさんは、俺の視線に気づいたのか首をかしげた。
「いえ、別に」
視線を外して、自分もカップに口をつける。
その時、隣から微かな笑い声が聞こえる。
「何か聞きたい事あるんじゃないの?」
「えっ?」
「さっきからソワソワしてるし」
「あっ、でも」
「いいよ。聞きたいこと大体わかってるし。何でも聞いちゃって」
聞けと本人が言うのだから聞きます。
「あの、シャクさんとリョクさんって」
「あぁ、はいはい。親が違うんだよ」
やっぱり。
顔立ちも似ていないし、髪の色も目の色も違う。
犬耳と兎耳だし。
「母親が違うの。因みに兄弟ほぼ母親違いだから」
「えっ!」
「ん~唯一一緒なのは第1王子と第4王女かな」
「因みに兄弟は何人くらい・・・」
「ん~~、最近増えたらしいから・・・」
指を折って数え始める。
そんなに多いのだろうか・・・
「王子が13人で王女が10人。全部で23人かな」
「多い!」
王様絶倫!
死因は腹上死。
ありえそうだ。
羨ましい。
「因みには夫人は20人くらいいるかな」
「えっ、そんなにいるの?」
「まぁ、出てった人もいるけど、過去まで遡るとそれくらいかな」
「王様の年齢って・・・」
「54歳かな」
ハーレムですな。
いいな~。
選り取りみどり。
毎晩違う女性と・・・
いやいや、それよりもやっぱ女性同士の絡みとか・・・
ここは一つ大勢での・・・
うははは。
是非プレイしてみたいです。
頬にリョクさんの冷たい視線が刺さります。
あれ?また声に出ちゃってましたか?
男のロマンです。
許してください。
妄想を膨らませていると軽いノック音が聞こえました。
そろそろ、妄想から離れろということですね。
現実に戻ることにします。
会わせたいという人が来たんでしょうか?
扉から入ってきたのはシャクさん。
後ろに誰かいます。
全身が見えませんが、肩あたりから兎の耳だけがちょこんと見えます。
「お待たせ」
そう言ったシャクさんの横から、後ろの人がちょこんと顔を出しました。
「こんにちわ~」
「なっ!」
思わず立ち上がります。
その人の顔を見ただけで胸が詰まって声が出ません。
二度と会えないと思っていました。
一緒に事故にあったかもしれないおじさんがそこにいるんです。
嬉しさのあまり、机に足が当たったけど気にしません。
当たった拍子に飲み物が溢れたとしても気にしません。
「おじさん!」
勢いよくその胸に飛び込むと柔らかい感触が迎えてくれました。
ん?
弾力?
慌てて離れます。
先ほど気がつかなかったんですが、よく見ればスカイブルーのワンピースを着ています。
本来ならよく見なくても女性だってわかるんですが、焦って他が目に入ってこなかったため、顔立ちだけで判断してしまいました。
「あっ、すみませんでした」
人間違いでした。
おじさんは女性でもなければうさ耳も持っていません。
世の中には三人同じ人が居るとは言うけど、異世界にも同じ人がいるんだ。
喜んだぶん落ち込みの落差が激しいです。
下を向いて唇を噛み締めます。
今になって思う。
おじさんは無事なんろうか?
生きているのだろう?
会いたいです。
「なんだよ~。無視するなよ、みぃ~」
「えっ!」
ゆるゆるとした緊張感のない喋り。
そして自分のことを{みぃ~}と呼ぶのはたった一人です。
俺がおじさんとあだ名をつけたことに対抗して、かずみの最後の一文字をとってみぃ~と呼ぶようになったんです。
パッと顔を上げて改めてその人物を見ます。
「えっ、えっ?おじ・・・さん?」
「おう!元気だったか?」
ニッコリと笑うおじさん。
夢じゃないだろうか。
自分で自分の頬を抓ります。
痛いです。
「本物だぞ。こい」
柔らかい笑みを浮かべながら両手を広げてくれます。
「おじさん。おじ・・・」
その腕の中に飛び込みます。
涙が止まりません。
本当は一人で寂しかったんです。
怖かったんです。
「よしよし。良く頑張ったな。会えて嬉しいぞ」
痛いくらいに抱きしめてくれて、自分が一人じゃなないことを確認させてくれます。
「おれ・・・おれも・・」
緊張感のない喋りに安堵感が広がります
何度か深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
「もう大丈夫だ。一緒だからな」
トントンと落ち着かせるように背中が優しく叩かれています。
すんすんと鼻をすすると日向の匂いがします。
あぁ、おじさんの匂いだ。
安心感に再び前が滲みました。