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正体が分かりました。

「直ぐに分かる」


そう言われた意味は、目的地に着いて直ぐに分かった。


あの後、飯も食べずに歩き続け、豪華な屋敷の前でリョクさんは立ち止まった。

着いてすぐ大勢の人達に・・おそらくメイドでしょ・・・出迎えられました。

玄関で左右に並んだメイドさん達が一斉に頭を下げたのは壮観だった。


あまりの衝撃に

リアルメイドキタ━(゜∀゜)━!

なんてできなかったよ。


リョクさんの後ろで小さくなって隠れいる俺に対しても違和感なく受け入れています。

できたメイドとはこういう人達の事を言うのでしょう。


「この子をお風呂に入れたげて。後、食事と洋服も」

「かしこまりました」


その言葉を合図に俺はリョクさんと離されて、お風呂場に連行されました。

不安のため縋るような視線をリョクさんに送ってみたけど、ニコニコ笑って手を振っている。


くっそ~。

笑ってんじゃねぇ!こっちは不安なんだよ。

ドナドナの歌にあった牛の気持ちが今ならわかる。


案内されたお風呂場はとにかく広いです。


大人50人くら一緒に入れそうな湯船。

ライオンの口から新しいお湯が絶え間なく注がれています。


あ~、金持ちの風呂はライオンというのは異世界共通なんだと少し安心していまいました。


「あの・・・大丈夫ですから」


案内してきたメイドさんはその場で動こうとしません。


まさか一緒に入るか言い出さないよね。


「お背中を流させていただきます」

「いえいえ、結構です」


一緒に入ってこようとするメイドさん達を断る。

暫くの押し問答の末ようやく念願の湯船にゆっくりと浸かれましたよ。


「あ”ぁ”~~~~」


気持ちよさに思わずおっさん臭い声がでた。

定番のあの曲でも歌ってしまおうか。

お湯に浸かりながら、体を解す。

慣れない事をしてばかりいるから、足も腕もパンパンに張っている。

マッサージを施し、湯から上がると脱衣所にメイドさんが待ってた。


えぇ、念入りにされましたよ。

化粧をね。

力ずくで突破すると意気込んでみたんですが、無駄でした。

メイドさん力強いです(涙)

甘く見ていました。


「これをお付けください」


そう言って出されたのはブラジャー。

サイズ小さい。

俺用ですね。

初めてみたブラジャーに感動

・・・なんて出来ません。

首を横に振り断る俺をよそに無理やりメイドはブラジャーをつけた。


くっ、苦しい・・・

胸が締めつけられる。

女性は毎回こんな思いをしているのか。

尊敬します。


「苦しいです」

「慣れます」


取り付く島もなく言い返されました。


慣れたくないです(涙)


その後最後の抵抗とばかり、用意されたピンクのレースがふんだんに使われているドレスを断りました。

泣いて拝み倒したなんて言えません。

絶対に。

今着ているのは、黄色い膝丈のワンピースです。

レースもついていない。いたってシンプルな物です。

肌に触れる素的に物凄く高そうですが。

そこは気がつかないことにします。

本当はズボンが良かったんだけど、女性用はないそうです。

着てきたのを頼んでみたけど、もの凄い形相で断られました。

怖いので二度と言いません。


その代わりお金が手に入ったら絶対に買います。


通された一室は至ってシンプルな室内です。

もっとゴテゴテのロココ調なのかと思いました。でも、調度品の一つ一つは丁寧な作りで高価そうな雰囲気です。


あそこにある花瓶いくらくらいなんだろう。


広さも学校の教室くらいの広さがあります。

ソファに腰掛けると、ふわりと体が沈み込みました。

ふわふわの高級素材です。


怖えー。下手に動けない気がする。


カチコチに固まっているとノックが聞こえました。


「はい」

「失礼します」


ドアが静かに開きサービスワゴンを押した若い男性が入ってきました。

テーブルの上に、サラダやサンドイッチ、スープなどを並べていきます。

いい匂いが漂ってきました。

すると、お腹が小さくなります。

匂いに刺激をされたのでしょう。

若い男性にも聞こえたと思いますが聞こえないふりをしてくれています。

ありがとう。お兄さん。

並べ終えると、優雅なお辞儀をして下がっていきました。

室内に誰もいないことを確認し、サンドイッチに手を付ける。


うんま〜!


しっとりしたパンに挟まれた新鮮なきゅうりとハム。

気づくと全部平らげていました。

満足です。

パンパンに膨らんだお腹をさすりながら、入れてくれた紅茶を飲む。


は~生き返った。


片付けも済み、間食用にと置いていっていってくれたクッキーを食べながら、寛げく。


さっき食べたばっかりだって?

やる事なくて暇なんだよ。



ヤバイ。

お腹が満たされたら今度は眠くなってきた。

大きなあくびを噛み殺しもせず、眠い目を擦る。


「お待たせ~」


扉が開かれたと同時にリョクさんの声が聞こえました。

振り返ると、ラフな格好をした彼がいます。


「それほど待っていませんから。大丈夫です」

嘘です。

待ちすぎて眠りに落ちる一歩手前でした。


「そう?なら良かった」

「おいおい、俺も中に入れてくれよ」


扉の前に立ったリョクさんの後ろから初めて聞く声が聞こえます。


他に人がいるなら早く言ってくれ!


慌てて立ち上がります。


「あっ、堅苦しくしなくていいよ。座って」


爽やかな笑顔とともに入ってきたのは、まるで絵本から出てきたような王子様でした。

彼の周りがキラキラ光っていて、眩しいです。

俺の視線は彼に釘付け。

反らせません。

主に頭上から。


兎耳。


真っ白くて長い兎の耳がピクピクと動いています。

その人が動くたびに、自分の視線も動きます。


「そんなに見つめられると照れるんだけど」


頬をポリポリかきながら、俺の正面のソファに腰掛けます。

ちょっと耳が萎れています。


耳だけ見ると可愛いんですが、顔込みだとちょっとシュールです。

優しげな顔立ちだから決して合わないわけではないんですが・・・


・・・男に兎耳。


チェンジでお願いします。

もっと胸がボーンでウエストがキュッとしまりお尻がプリンプリンのお姉さんを希望します。


いくら西洋風の童話に出てきそうな王子様みたいな人でも男は却下です。


思わず遠くに想いを馳せてしまいます。


「へ~似合うじゃん」


近くで聞こえた声に我に帰り視線を声が聞こえた方に向けると、いつの間にか自分の隣にリョクさんが座っています。

ちなみに、うさ耳の彼の隣は余裕でまだ二人は座れそうですよ。


何故自分の隣り座るんですか?


「ピンクより似合うよね。緑とかも似合いそう。今度買ってあげる」


その言葉にむっとします。

買うってどうせ女物の服に決まっていますよね。


「いりません。先程も言いましたように貰う理由がないです」

「え~。あるって。さっきも言ったけど、おっ」


慌てて口を塞ぎました。

なんてことを言い出すんだ。

他にも人がいるのに。

口を塞ぎなら睨みつけると、クフクフと笑い出しました。

確信犯です。

どうしてやろうか・・・


「仲いいね」

「良くないです!」


ニコニコと微笑みながら、こちらを伺っていたうさ耳男子の言葉を即効で否定します。

ついでに思いっきり睨みつけてやりました。

すると、ビクっと耳が怯えたように伏せられた。


なんだろう・・・罪悪感が・・・


「えっと、リョクからある程度は聞いたけど、本人の口から聞きたいから教えてくれる?まず名前ね」

「あっ、はい。渋谷一海といいます」


真剣な口調に居住まいを正します。


「これから幾つか質問するから答えてね?どこから来たの?」


これって事情聴取ってやつですか?


状況を把握すると途端に緊張のせいか汗ばんできた。


「地球の日本という場所です」

「日本ね。調べたけどこの世界のどこにもそんな国ないんだよね。日本では何してたの?」

「学生です」

「学生?」

「はい。学校に通っていました」

「学校って?」


うさ耳さんの質問に答えるという形で会話が進んでいく。

その都度、うさ耳さんは何かの書類を書き込んでいる。


「で、性別が変わってしまったと」


こくりと頷くことで肯定をする。


「大変だったね」

「いえ、リョクさんのおかげで命も助かったしし、街まで連れてきてもらえましたから」

「うん。でも、まだ小さいのに大変だったでしょう」

「いえ、これでも16歳ですから」

「「えっ!!」」


うさ耳さんだけでなくリョクさんまで驚いてます。

失礼な。

確かに昔から標準よりやや小さ方だけど、そこまで驚かれるとは思ってません。

自分よりも小さい人は大勢いました。


「いったい幾つに見えたんですか?」



むっとしながら横に座っているリョクさんを睨むと、視線合わせないように横を向いてしまいました。


「リョクさん!」

「えっと、じゅう・・・」


5くらいかな?

これなら、まぁ許せる範囲です。


「1か2」

「はぁ!?」

「だから、11か12歳だと思ったんだって。だって、小さかったんだもん」

「何が!!」

「おっぱい」


思いっきり殴りました。

頭を押さえているリョクさんを無視してうさ耳さんに視線を移します。

するとうさ耳さんも慌てて視線を外しています。


この人も同じ事考えてたな。

ゴホンと咳払いをして、取り繕うように笑います。


「まぁ、リョクから聞いてたのと同じ内容だし安心した」


取り調べっぽいなと思ったけど、やっぱりそうだったのか。

ってことは、この場所は日本でいう警察署の取調室みたいなところだろうか。

んで、この人が警察のお偉いさんってかんじかな。


「自己紹介がまだだったね。エリュトロン王国にようこそ。第5王子のシャクです。よろしく」


第5王子!?

偉いとは思ってたけど王子様なんて。

何か不敬な事をしてないだろうか・・・

助けを求めるように視線をリョクさんに向ける。


「あっ、因みに第7王子のリョクで~す。よろしくね★」


クラリと視界が歪みます。

思い出すのは不敬の数々。

背中に乗ったり、胸を揉ませたり、それどころかたった今殴りました。

折角助かったと思ったのに、この先は待ち構えているのは死刑台。

トラットに食べられるのとどちらがマシだろう。


「一海ちゃん、なんか変なこと考えてない?」


死刑って磔かな?

縛り首かな?

もしかしてギロチンだったり。

あっ、でも縛り首って一瞬で痛みを感じないらしいし、ぜひ縛り首でお願いします。


「しないから。縛り首とか、磔とか怖いこと考えないで。戻ってきて一海ちゃん」


肩を掴まれてグラグラ揺すられたことにより、意識が現実に戻ってきました。


「頼むから、変な想像ばかりしないでよ」

「あれ?心読めるんですか?」

「口に出してます」


ブツブツと呟いていたらしい。

考え事すると、癖でうっかり声に出しちゃうんですよね

悪い癖です。


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