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ジェットコースターは苦手です。

すみません。

プロローグから新たに書き直しました。

設定が大分変わっております。

本当にすみません。

息が切れる。


手近な木に寄りかかって息を整える。

足が痛い。

ズキズキとした痛みに眉をしかめた。


舗装されてない道を歩くのがこんなに大変だなんて思いませんでした。

荒くなった息を整える。

足元は革靴。

山歩きするのに適した靴ではありません。

その上、女に変化したことによって足のサイズまで変わっていまいました。

ブカブカです。

歩きづらいです。

歩くたびにカポカポ靴がなります。

木の根元に躓くこと数回。

転んだ回数・・・数え切れません。


「もう嫌だ・・・」

「大丈夫?」


散歩でもするように軽やかなステップで山道を歩いていたリョクさんが戻ってきました。


「休憩でもする?」


ズルズルと木に寄りかかりながらその場に腰を下ろす。

もっと早くその言葉を聞きたかったです。

今まで休憩なし、なんて気が利かない男なんでしょう。

顔が良くても気遣いができない男はもてませんよ。


そっと靴を脱いで足の裏を見ると、靴下が赤く染まってます。

ふ~と意識が遠のいていきます。

脚を庇うような歩行の仕方により肉刺が潰れて皮がデロデロです


「うわ~~~。これは痛いよね」


俺の足を取ったリョクさんは血まみれの足の裏を見て顔をしかめています。


えぇ、痛いです。

もう歩けません。

歩きたくないです。


リュックの中かから何かを取り出したリョクさんは、手早く足の処置をしてくれました。

薬を塗られる瞬間は痛いけど、時間が経つと痛みが消えていきます。

今の自分の足は包帯のようなものでグルグル巻にされています。

これでは痛くなくても歩けません。


「本当はもうちょっと休ませてあげたいけど、このペースで行くと日が暮れちゃうから」


そう言ったリョクさんが背中を見せてきます。

これは・・・俗に言うおんぶというやつですね。

ありがたくその背中を使わせていただきます。

男のプライド?

なにそれ美味しいでんすか?


今は女の子だもん。


「ちょっと、急ぐからしっかり掴まっててね」


え?

と思うまもなくリョクさんは走り出した。

激しく揺れる背中で必死にしがみつく。

振り落とされるかも知れない恐怖と戦う。


リョクさんは人を背負っているのを感じさせない速いペースで山道を走っています。


崖を飛び越えた時は意識が遠のくかと思いました。

裂け目の幅は3メートル以上もあったんですよ。

それを何の躊躇もなく飛び超えたんですよ、この男は。

背中に人一人背負って。


えぇ、怖かったです。

ジェットコースターより怖かったです。

安全ベルトは自分の両腕です。

この手を離したら確実に死にます。

皆さん、人間本当の恐怖を目の前にすると声なんて出ませんよ。

痴漢にあった女性が言っていた言葉を思い出す。


「とうちゃ~く。って大丈夫?」


真っ青な顔で口元を押さえている自分。

答える余裕なんてありません。

ズルズルと背中から降りると、その場でリバース。

先程食べた肉がお腹の中でシェイクされて気持ちが悪いです。

背中で吐かなかった事に感謝してください。

ずっと耐えてたんですから。

食べたものを全て出すと、胃が落ち着いた気がする。

目の前に差し出された水筒をありがたく頂戴して、口を濯ぐ。


「えっと、もう平気?全部吐いちゃったほうが楽だよ」

「もう、全部、でました」


スッキリしたおかげで少しは周りを見る余裕が生まれた。

目の前に広がるのは鬱蒼とした森ではなく、どこまでも続いている緑の絨毯。


「こっからは馬で行くから少しは楽だと思うよ」


リョクさんの見ている方向に視線を向けると、遠くに小さな影が見えます。

あれがリョクさんの言っている馬のことなんでしょうか。


「コウ!!」


リョクさんの声が聞こえたのか、その影がこちらに向かってやってきます。

段々大きくなってくる影。

だんだん・・・

だんだん・・・


って、デカイわ!


目の前までやってくると、その大きさに驚きます。

サイズ感でかすぎでしょう・・・

日本で見る馬の2倍はあります。

その上、自分の知っている馬と違う点が若干あります。

本当に馬なんでしょうか・・・


「馬に乗ったことある?」


やっぱり馬なんですね。

その額から角が生えていても。


自分の世界ではユニコーンと呼んでいたいた気がする。

それに神話だとユニコーンは処女しか乗せないと書いてあった。

処女じゃなくても乗れるんでしょうか?

あっ、自分、元童貞で、今処女ですね。

大丈夫。乗る資格はクリアしました。


まぁ、リョクさんが乗っている時点でそんな資格この世界には関係なさそうですが。


「乗った事ありません」

「そっか」


リョクさんがヒョイっと自分を持ち上げ馬に乗せました。

その後ろに軽やかに跳躍をして優雅に跨ります。

えっと、馬とリョクさんの間に自分挟まれてる状況です。


「じゃぁ、いくよ~」

「ぎゃっ」


長閑な声と裏腹に、勢いよく走りだしました。

スタートダッシュの勢いで一瞬Gを感じ後ろにのけぞってしまう。

後ろにはリョクさんがいたから大丈夫だったんだけど・・・誰もいなかったら、確実に落馬しています。

危うげな自分に気づいたのかリョクさんの左手が腰に回されました。

右手一本で轡を捌いています。

器用なものですね。

自分には到底できません。

せめてこれ以上迷惑かけないように、馬の鬣にしがみつきました。


暫く走っていると馬の速度が落ち着いてきました。

整備された道に入ったみたいです。

コンクリートまではいかないけど、踏み固められた感じでしっかりとしています。

きっとここは主要道路なのでしょう。


「もうすぐ着くよ」


その言葉に顔を上げると、車が二台通れそうな道を走っていました。

すれ違う馬車や、道を歩く人も見受けられます。

前方に視線を移すと聳え立つ城壁が目に飛び込んでました。

高さ10メートルくらいの防壁が1キロ先まで伸びている。


街自体はかなりの大きさのようです。

近づくにつれて活気に満ちた声も聞こえます。

進んでいくうちに、城門みたいなものも見え始めました。

リョクさんは城門に向かって馬を進めています。

ちょっとドキドキします。

すんなり俺は街に入れるのでしょうか?


どうか新たなイベントが発生しませんように。



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