謝罪と仲直り
まぁ、お互い謝ったし。
仲良くなる為にお互いに嫌なところを言おう。
っていうか、注意だな。
「あのね、今からキツイこと言うよ」
そういった俺に怯えたような視線を向ける。
「怒ってるわけじゃないからね!ここは忘れないで」
コクリと小さく頷いてくれた。
俺が苛めているみたいだ。
あぅあぅ、端からみてると犯罪だよな。
裸の幼女を立たせて泣かせているんなんて。
罪悪感が湧いてきた。
「パールス、体冷えるから、入れ。風呂」
えっと、おじさんなんで片言?
まぁ、浴室の床タイルっぽくて冷たいし、そこにずっといたら体冷えるよな。
そんなおじさんの言葉に幼女は首を振って答えます。
「私、わ、わたく、し、ど、どうすればっ、いいか、わか、わかりません」
「ん?」
「か、かずっ、みっ、さん、怒ってる、理由わかって、ヒック、いるんです」
おぉう、分かった上でやっていたってわけか?
それって、分からないでやっていたよりも性質が悪いぞ。
思わず眉間に皺が寄ってしまう。
ひっくひっく
本格的に泣き出してしまいました。
「だ・・・だって・・・だれ・・・くっ・・ひっ」
えっと何か言っているみたいですが、泣いてるせいで何を言っているのか分かりません。
仕方なく俺は浴槽から出て、幼女のそばに全裸で近づきます。
女ですから全裸で幼女に近づいても犯罪じゃないですよ。
それにここは風呂場ですしね。
「何?」
両膝を突いて幼女に目線を合わせます。
猫の癖に目が真っ赤になってウサギみたいです。
黒耳もぺたりとへなって、尻尾が力なくたれています。
「誰も・・っ・・聞いて・・くれっ・・くれない・・・命令しな・・きゃ・・」
なるほど、命令でもしないとかまってくれなかったのか。
女となれば所詮、国との繋がり作るためだけの道具だし。
最低限の礼儀と教養をつければいいもんな。
それに8番目だから更にどうでもよさそうだし。
「寂しかったの?」
ポンと頭に手を置いてやると、顔を上げないままコクリとうなずいた。
我侭を言うことで自分の存在を主張したかったのかも知れない。
そういえばそんな漫画あったよな。
自分の存在を主張するために悪戯三昧。
目の前の幼女は悪戯の変わりに我侭と命令か。
悪戯よりたちが悪い気がするけど。
「あのな、命令されて気持ちのいい人間はいないぞ」
いや、M属性の人間なら喜ぶんだろうな。
女王さま~!!とか言って。
こっちは皇女だけどな。
「何かを頼むときは、お願いします。って言えばいいんだ」
上目遣い俺を見てくる黒猫幼女。
やばい、ロリコン属性はないのに胸が打ちぬかれた。
男だったら一部が反応しちゃってるところだぜ。
「頼めばいいの?」
そんな縋る様な眼差しを向けないでくれ。
その上首をかしげるのもやめて。
眩しすぎる。
「基本はね。でもパールスさんにできないことがあるように、その人にもできないことがある。それを強要しちゃいけないんだ。どうしても欲しいものがあったらそれをができる人を何人でも探せばいい」
「・・・そ、そうなんだ」
「ただし自力でな」
「えっ、でも・・・」
「人から与えられたものよりも自分が頑張って探したり何かして得たものは数十倍凄く感じるぞ」
「そ・・・なの?」
いつの間にかきていたのか、おじさんが中腰になりパールスさんの涙を指でぬぐっています。
「そうだぞ!パールスは素直ないい子だから絶対にできる」
おじさんの脳内変換機能って素晴らしい。
我侭=素直。
まぁ、良く言えば素直だよな。
自分の気持ちに素直だしな。
「私、あなたの敵なのにそんなに優しい事言ってくれるの?」
「敵ってなんだ?」
おじさんは首をかしげてます。
敵は俺だったはずだし・・・おじさんが敵ってどういうことだ?
「だって、涼さんはシャクお兄様を狙ってるんでしょう?」
いやいやいや、根本的に間違ってます。
おじさんはシャクさんの事どうでもいいと思ってますよ。
おじさんにとってシャクさんはきっと何でも買ってくれるやさしい人なんだろうな~。
は!!
今更ながら気づきました。
バブル時代に流行っていた貢君ですか?
シャクさんなら、メッシーにでもアッシーにでも喜んでなってくれると思います。
おじさん、いい財布ゲットしましたね。
「敵じゃなくて仲間だろう」
「えっ?」
「パールスは自分の間違いに気づいて謝った。そうだろう」
コクリとうなずく。
「パールスにとっては当然だった台詞でもみぃ~にしてみれば感情を害する不快を与える言い方だった。
そのせいで、みぃ~はパールスを攻撃した。戦争って些細なことが原因かも知れないじゃん。最初はただの言い合いが大きくなって戦争になっちゃうの。分かる?」
「分かります」
「でも、パールスは間違いに気づいてみぃ~に謝った。これは良い事なんだよ」
「はい、反省してます」
「うん、素直なパールスは好きだよ。パールスは敵って言葉を使ったけどおいら達はパールスと仲良くなりたいよ。パールスは仲良くするのは嫌?」
おぉ~~~。
まともだ。
おじさんが真面目な話をしている。
話がかなりずれている気もするけど。
これって4年に一度のオリンピックより凄いことだよ。
何で、ここにカメラがないんだよ。
貴重なシーンなのに。
くっそ~異世界~~~!!
「仲良くしたい、です」
小さい小さい声が届いた。
搾り出すような勇気を奮った声だ。
「うん、仲間になろうな」
そういった瞬間パールスさんはにっこりと笑った。
生意気な笑顔じゃない。
シャクさんに向けるような作り笑いじゃなくて心の底から安心して思わず出てしまった笑顔だ。。
「み~」
「なんですか?」
そっと寄ってきたおじさんが俺の腕を引きます。
うわ~おじさんの声。
俗に猫なで声といいます。
こういう言い方する時は・・・
「作ろう!」
「はぁ?」
ほら来た。
絶対無理難題を押し付けてくるときなんだよな。
「何をです?」
「石鹸!」
うは、そんな前のことを覚えていたんですか?
きっと作者も読者も忘れてますよ。
この人以外にシツコイからな~。
呆れた目をおじさんに向けます。
「無理です。苛性ソーダっていう薬物がないと作れません」
「そうなの?」
「えぇ、あれがあると結構簡単らしいんですけどね」
「どうしても無理か?」
「無理です」
灰を使ったやり方もあるらしけど、凄まじく大変らしい。
斜め読みしただけじゃ無理だ。
じっくり分量とか必要な物を揃えないと作れない。
ってか、覚えてないし。
「欲しかったな~」
唇を尖らせて、おじさんがちょっと拗ねてる。
まぁ、俺も欲しいですけどね。
でも、ないものはない。
作れないものは作れないで諦めるしかないんです。
「なら糠とかどうです?なんか、糠で綺麗にするやり方があったような気がします」
「糠か~、あるのか糠?」
「知りませんよ」
「でも、苛性ソーダより可能性はありそうですよ」
「糠があれば漬物もできるな」
「そうですね」
俺達の話題がわからないのかぽかーんと口を開けている幼女の姿がある。
そんなに大きく口を開けてると、入れたくなるじゃないか。
俺はおもむろに近寄り大きな口に突っ込んだ。
指をな。
指を突っ込まれた事にびっくりした幼女は、慌てて口を閉じる。
噛まれる一歩手前で指を引き抜いた。
「何をなさいますの?」
「いや、間抜けな顔してたから思わず」
「まっ、間抜けですって」
「確かに、猫とか犬とかあくびしてると指を入れたくなるよな」
「おじさん分かってくれます?あの瞬間のびっくりした表情がいいんですよ」
「わっ、私は犬でも猫でもありません」
「知ってる。皇女様だろう」
「そうですわ」
「でも、皇女様でもバカ面してたぞ。口を開けたままなのは頂けないな」
その言葉に幼女の顔が真っ赤に染まる。
怒りよりも羞恥心の方なのだろう。
「でも、アホ面も可愛いぞ」
おじさんが幼女の頭を撫でながらニコニコ笑っていますが、なんの慰めにもなってませんよ




