放課後の仕事
初めて短編に挑戦したいと思います。
下手ですが、よろしくお願いします。
私はどうやら彼に恋をしたらしい。
と言うのも、先日までちゃんと顔を見合わせて話せていたのだけれど、今ではもう彼の顔を見ただけで顔が燃えるように熱くなって、つい、顔を背けてしまうからだ。
「どうしたの?」
私の視線に気付いた彼が、心配そうな顔で聞いてくる。
「い、いや! なんでもない!」
「変なの」
クスッと彼は微笑んだ。その姿に私はつい見蕩れしまった。
放課後の日直の仕事。黒板は彼が消すと言うので、私は自身の机で持て余すことができないくらい暇だった。彼のことを見つめて、見蕩れて、考えることだけで、もう暇で暇で暇だった。
「大丈夫?」
あまりにぼーっとしているのが目についたのだろう。彼はまた、心配そうに聞いてきた。
「だっ、大丈夫!」
慌てて返すが、その反応を見て彼は安心できてなかった。
「本当に?」
「だから大丈夫って言ってるでしょ!」
心配してくれてありがとう。なんて、言おうと考えただけでも頭から火が出そうだった。けれど、私は考えた。このままでいってしまうとどうなるか。私は考えをまとめた。このままじゃ、どう足掻いても彼は私を捨ててしまうんじゃないか? それはとても………怖かった。
「ね、ねえ!」
「な、なに? 本当は具合でも悪かったの?」
「うん。本当に悪い。君の所為だからね」
「ええっ!? ど、どこが悪いの!?」
自分の所為にされたことなんて御構い無しに、彼はひたすらに私の心配をした。
「心」
「ひえっ!? こ、心? 痛っ!」
「だ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫だよ」
私の答えが予想外だったのか、彼は教卓の足に、自分の足の小指をぶつけた。
「心。私は今、心が痛い」
「ぼ、僕に何かできる事とか…あっ、ある?」
「あるに決まってるでしょ! 君にやってもらいたいこと。いや、君にしかできないことが」
恥ずかしかった。でもね、そんな気持ちじゃダメなんだって、誰かが言ってくれたような気がしたんだ。それはもしかしたら、天国のお母さんかもしれないし、自分の心の声なのかもしれない。
「私の心の傷は君以外の人には埋められない。もう、君にしか埋めらない」
君が自分を貫いたから、君の自分は今ここにいる。なら、君の前だけにあるその壁は少なくとも自分の想いよりも頑丈な訳が無い。
私の好きな作家さんの言葉だ。
その言葉に私はいつも背中を押されてた。そう今だって。世の中はそれを、勇気だと形容するのかもしれない。
「私は君が好き。うん、大好き。だからさ、この孤独で空いた傷を埋めてよ」
彼は一瞬驚きはしたものの、すぐに優しく微笑んだ。
「そのぐらい、頼まれてなくたって、拒否されたって埋めるよ。そのぐらい僕は君のことが大好きだ」
私たちの頬は夕焼け程度に赤くなっていた。