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その配信に命を懸けろ~【悲報】TS転生したワイ、借金のカタに売られた極道の元で美少女VTuberをすることになってしまう~  作者: 真嶋 青
第一章

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第22話 色んな意味で生配信②

 コメント欄:

 『うっまwwww』

 『予想外の歌声……』

 『なんか聴き入っちゃったわ』

 『めっちゃ美声www』

 『CD流した?』

 『上手すぎんだろwww』

 『ヒカゲちゃん何者なの?』

 『すまん姉御、もう帰っていいぞ』

 ………………………………


 コメント欄もエマの歌声に困惑している。

 そりゃあそうだ。ずっと一緒にいる私だってこんな展開予想してなかった。

 普段無口なネットメスガキがアヴェ・マリアを熱唱するとか誰が思う?

 

「おい、『帰っていい』とか言うな! これは私のチャンネルだぞ!」


 私も許されるならエマに全部任せてオーディエンスに回りたいわ!

 でもこれ私の配信なんだよ!


 完全にエマにチャンネルを乗っ取られている。

 どうしよう、もう私本当にいらないのでは?


「……お姉ちゃんも、上手くなる」

「嘘つけ! 遺伝子レベルで何かがないとそんな美声出ないわ!」


 どう考えてもカタギの上手さじゃない。

 エマはプロとかに教わっていたはずだ。

 間違っても一般人のカラオケレベルではない。


「私の下手くそな歌配信なんてもう開催できねぇよ! 毎週開催なんて取り止めです! 『極東ミネネアイドル化計画』は本日で完!」

「…………約束」


 珍しくエマに怒られた。

 いや、確かに約束はあるんだけど……。


「だって、どう考えてもエマが一人で歌った方が配信盛り上がるぞ? お前と一緒に歌う私の気持ちも考えてくれよぉ!」

「……上手くなる」


 一体どんな理屈で私が上手くなると仰るんですかこの妹様は……。


 コメント欄:

 『妹相手にみっともねぇよ姉御。漢見せてくれ』

 『漢見せろ姉御』

 『妹の期待に応えてあげて』

 『姉御、頑張ろ?』

 『カッコいい姉御を見せてくれ』

 『なんか知らんけど頑張れ』

 ………………………………

 

「雑に応援するんじゃねぇよ! あと、一応これでも女ってことで生命活動させてもらってるんですわ‼」


 中身はオッサンだけども!


「……大丈夫……教えるから」


 そんな無表情で教えるとか言われても……。

 いつになく押しが強くてエマが怖い。

 

「ちなみにまずは何をすれば?」

「……腹筋と背筋50回」

「思ったよりも現実的でヘヴィーなのが来たな……」

「……身体使えてない」


 歌うための筋肉がないってことなのか?

 真剣にボイストレーニングなんてしたことが無いからわからない。

 エマは「早くやれよ!」という雰囲気を醸し出している。

 

「え? もしかして、今から筋トレするの私?」

「……ん」


 そうして、私は何故か17万人の前で筋トレをすることになった。


「勘弁して……」

「……逃がさない」


 世界はどうしてこんなにも残酷なんだ。

 世界は広大なのに、私に逃げる場所など無い。

 配信室には私の乱れた息遣いと苦悶の声、そしてエマのエールが響く。


「あぁっ……無理っ、もうっ……んっ……」

「がんばれ♡がんばれ♡」


 コメント欄:

 『ふぅ…………』

 『えっちだなぁ』

 『いけませんよっ!』

 『これBANされない?』

 『違う、俺の心が汚いだけだ……何もおかしなことはない…………』

 『今日はこれでいいや』

 ………………………………


「あ゛あ゛あ゛……マジ、もう死ぬ……」

「……あと10回」

「無理、腹筋どころか全身痛い……」


 私はエマ教官のスパルタ訓練を受けていた。

 まだ始まったばかりだけど、普段から筋トレなんてしていないものだから数分でヘトヘトだ。

 休憩ついでに、床に転がったままチラリと携帯で配信画面を見ればコメント欄がおかしなことに……。


「おい、お前ら、何考えてやがる!」


 コメント欄:

 『どう考えても二人が悪い』

 『これは不可抗力』

 『態とやってたんじゃないの?』

 『俺たちが怒られるの?』

 『えっちな事を考えてました』

 『姉御、最高』

 ………………………………


「テメェら! 私でシコったら焼き討ちするからな!」


 自分が男どものオカズになるなどと、考えただけで鳥肌ものだ。

 

 オッサンで気持ち良くなろうとするんじゃねぇ! 許さんぞ!


 コメント欄:

 『シコ……?』

 『姉御、慎みを持ってくれ』

 『ヒカゲちゃんの教育に悪い』

 『流石にそれは……』

 『やめとけ』

 『えぇ……』

 ………………………………


 この程度の発言で、何を今さら戸惑っているのか。

 どうやら未だに私へお淑やかさを求めている視聴者が居るらしい。

 そんなもん期待されても困るから早々に諦めろ。

 

「……あと10回」


 コメントと戯れていたら、エマから催促されてしまった。

 どうあがいてもノルマ分は筋トレをさせるらしい。


「あー、わかったわかった……」


 私はエマに足を抑えて貰いながら腹筋を再開する――。



「……さん」

「んっ……」

「……にー」

「ああっ……」

「……いち」

「どりゃああああああ!」

「……ぜろ」

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」


 あれ、ゼロまでやったら 1回多くない?


 雄たけびを上げならプラスアルファまでキッチリとノルマをこなす私。

 やりきった達成感に包まれながらコメント欄を見れば、何故か残念そうにしているバカどもが多かった。


 コメント欄:

 『せっかくの雰囲気が……』

 『もっと良い感じにできんの?』

 『これじゃ使えない』

 『うーん、ちょっとこれは……』

 『お前ら、やめとけ』

 『もっとエマちゃんと良い感じの雰囲気で……』

 ………………………………


「お前ら、ちょっとは私を労えよ……」


 どこまでも煩悩に忠実な視聴者たち。

 呆れを通り越して感心しそうだ。


 

 そんなこんなで、エマのスパルタ教育は幕を閉じ――ない。


「じゃあ、次は背筋50回」

「助けて皆……」


 コメント欄:

 『エマちゃん怖いな笑』

 『姉御、逝ってこい』

 『頑張ってね……』

 『流石に姉御が可哀そう』

 『許してあげて……』

 ………………………………


 流石に私に対して同情的なコメントも出てきた。

 しかし、エマは全くの無表情。

 

「……がんばれ♡がんばれ♡」


 もう呪詛にしか聞こえないエマのエールが木霊すのであった――――。

 

 


 筋トレが終わる頃には私のライフはゼロになっていた。

 床に這いつくばる私を置いて、エマは配信を終わらせてしまう。


「……今日は終わり。おつかれ」

「………………」


 本当に、何もかも滅茶苦茶にされてしまった。

 こうして、私とエマの初顔出し配信はようやく幕を閉じる。


「……これ、配信外でも毎日やる」

「もう殺せよ」


 どうやら『極東ミネネアイドル化計画』は予想以上に苦しい戦いになるらしい。

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