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その配信に命を懸けろ~【悲報】TS転生したワイ、借金のカタに売られた極道の元で美少女VTuberをすることになってしまう~  作者: 真嶋 青
第一章

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第21話 色んな意味で生配信①

「おーっす、お前らぁ…………。極東ミネネだぞー……」


 コメント欄:

 『おーっす!』

 『おーっす!』

 『テンションひっくwwww』

 『おーっす!』

 『可愛いー!』

 『マジで本人だったんか……』

 『リアル姉御すげーw』

 『ガチで顔出し配信するんか……』

 『ちゃんとしたスタジオでやってるんやな』

 ………………………………


 今日の配信室には複数のカメラが置かれている。

 様々なアングルから私を映すためらしい。


 無駄な事に金を掛けやがって! 死ね!

 

 なんで私は顔出し配信なんてしているんだろうか。

 もうこれVTuberの仕事じゃないだろ。

 

「はぁあ゛あ゛あ゛……チッ……」


 クソみたいな状況に溜息が止まらない。


 コメント欄:

 『舌打ち……?』

 『こわっ』

 『ひぇ』

 『投げキッス?』

 『ご褒美』

 『これは間違いなく極東ミネネだわ』

 ………………………………


「なぁ、お前らどう思う? 何でVTuberが顔出ししてんだよ」


 コメント欄:

 『こっちのセリフですが?』

 『急に何言ってんだ姉御』

 『可愛い』

 『可愛いからオッケー』

 『もうお前はVTuberじゃない』

 『リアルの姿も極東ミネネでいくの?』

 『どうしてこうなった?』

 ………………………………


「『どうしてこうなった?』だぁ? ウチのスタッフがエマの名前を売った落とし前を付けろとか言い出しやがったんだよ! ……最終的に、私が断らなかったからこうなってるんだけど」


 ってか、私が断れるわけない。

 こっちはライフラインを全て奴らに握られている。

 ふざけやがって……。


 コメント欄:

 『ドブラックで草』

 『極ライブ……どうなってんだ…………w』

 『てか姉御って未成年?』

 『全てがおかしくて笑う』

 『草』

 『断れよwwww』

 『落とし前ってなんだよwww』

 ………………………………


 今は私の顔がネットに公開された翌々日。

 あの写真の一件で極東ミネネはまたしてもネットニュースになった。

 これ幸いと矢崎から生身で配信するよう命令が下り、今に至る。


「なぁ、お前らどんだけ暇なの? そんなに私の顔が見たいか? 15万人も雁首揃えやがってよぉ」


 コメント欄:

 『見たい』

 『見たいぞ』

 『姉御の顔が見たくて来ました』

 『ニートだからめっちゃ暇だぞ』

 『視聴者に喧嘩売るなwww』

 『逆ギレがすぎる』

 『暇ですみません……』

 ………………………………


 私の不機嫌を隠さない配信状況を鑑みてか、田村からテロップが出た。


『もっと可愛くしろ』

 

「うるせぇぞ田村! テメェは黙ってろ!」


 田村なら名前を出しても良いだろ。

 私はお前が勝手に写真を撮ったこと、一生恨むからな?

 矢崎の命令があったとはいえ実行犯はテメェだ!


 コメント欄:

 『まーた誰かの名前出してらぁwww』

 『だから怖いんよ笑』

 『スタッフさんかな?』

 『今日の配信荒れてるなぁ』

 『てか、今日って何するの?』

 『配信来た瞬間にブチギレてて草』

 ………………………………


「ふぅ…………。いかんな、始まったもんは仕方ない。すまん皆、切り替えていくわ」


 田村に怒鳴り散らしたらちょっとスッキリできた。

 今度からストレスが溜まったら田村で発散しよう。

 素晴らしい妙案だ。


 コメント欄:

 『切り替え早すぎw』

 『情緒エグイなこの人』

 『今来たけどどうなってんだこれ?』

 『今日って何するの?』

 『ここって極東ミネネのチャンネルだよな……この子誰?』

 ………………………………

 

「えーっ、今日の企画だけど、今から私は()()()()をする。題して、『極東ミネネアイドル化計画』……ちなみにこれ、週一の定期企画らしいからよろしくな」


 コメント欄:

 『どうしてそうなった?』

 『もう訳が分からないんだよ……』

 『姉御、がんばれ……』

 『良く分からんが頑張れ』

 ………………………………


 こうして、私の顔出し配信は始まってしまった。


 状況はまだまだ二転三転する。



 突如矢崎たちによって提案された『極東ミネネアイドル化計画』。

 元々、エマとの約束もあって、私は歌配信をする予定ではあった。

 だから、この企画自体に反対はしていない。

 

 しかし――。

 

 クソッ、このままじゃダメだな……。


 顔出し配信で歌い続けること30分。

 VTuberにしては珍しい顔出し配信ということで視聴者は残ってくれている。

 でも、この配信を続けていれば間違いなく視聴者は徐々に減っていくだろう。


 今の空気で配信を終わらせたら、後に響く……。

 こういう時は、自分から大胆に切り込むしかねぇ!


「なぁ、私がただ歌ってるだけになってるけど、聴いてる皆は楽しいのか?」


 歌が上手いわけでもない私の歌配信はぶっちゃけつまらない。

 初配信では、下手でもノリとバカみたいなテンションで笑いを取れた。

 でも、あれは 1回こっきりの戦い方だ。

 今はただ下手な歌を聴かせているだけ。見ている側だっていい加減に飽きるだろう。


「ぶっちゃけこの企画、つまんなくね? どうよ?」

 

 未だ緩やかに視聴者が増えているのは、VTuberが顔出しで配信をしている物珍しさだけが理由で、この企画の良し悪しはおそらく関係ない。

 もう次の配信には来ない視聴者が大半だろう。

 こんな企画を毎週実施しても、なんら旨味がないのではなかろうか。


 コメント欄:

 『草』

 『自分でつまんないとか言うなwww』

 『まあ、ぶっちゃけ配信が楽しいかと言われれば微妙』

 『俺は結構楽しい』

 『知ってる曲歌ってくれるのは嬉しい』

 『もうちょい歌が上手けりゃなぁw』

 『普通』

 『正直、姉御の配信だから見てる感はある』

 『可愛いからオッケー』

 ………………………………


 私を気遣ってか極端に配信内容を悪く言うコメントは少ない。

 それでも、いつもならもっと盛り上がりのあるコメント欄が、今日は明らかに静かだ。

 毎日のように視聴者の反応と向き合っている私だからこそ分かる。

 この配信は盛り上がっていない。


 何か手を打ちたい……。


「ふ~……。すまん皆、やっぱこれダメだわ。運営と 1回話す。もうちょい何か別の事を……」


 決断は早い方が良い。

 配信の空気が冷めきってしまう前に、私は今の企画を強引に切り上げてしまう判断を下した。

 

 ところが、まさかの乱入者が現れる。


 ――ガチャッ。


 私の後方、配信室の扉が開かれる音。


「……はっ? 今は配信中……」


 後ろを振り向けば、いつも通りのゴスロリ服を着たエマが居た。

 別の事に頭を使っていたこともあって、私は暫く惚けてしまう。


「…………え?」

 

 そして、停止していた脳が再起動した。


「ちょっ、何してんだお前!」


 私は焦ってエマを押し戻そうとするが、意外にもエマは力を込めて抵抗する。

 

「……ん」


 お約束の返事をして、エマは管制室の方を指差す。

 そこには、バカなテロップを掲げた葛西がいた。


『ドッキリ大成功!』


 お前、そんなキャラじゃないだろ……。


 どーせ、葛西の隣で楽しそうに笑っている矢崎の仕業だ。

 テロップを持つ葛西も困り顔になっている。


 いい加減にアイツを山に埋めてきた方が良いんじゃねぇか?


 しかし、今はそんなことをやっている場合じゃない。

 

「オイオイ! 待て待て待て! まさか、出せってことか⁉」


 私の言葉を肯定するように矢崎が親指を立てる。


 その指、私がへし折ってやろうか⁈


「お前は良いのかよ⁉」

「……ん」


 こっくりと頷くエマ。


「マジかよ……えぇ? ホントに?」


 エマに頷かれてしまっては押し返すことも出来ない。

 私は仕方なくエマを連れてカメラの前に戻った。


 コメント欄:

 『なんだなんだ?w』

 『誰だwwww』

 『ゴスロリ美少女きちゃ!』

 『エマちゃんか?』

 『すげー見た目』

 『いきなりすぎwww』

 『これ放送事故じゃないよな?w』

 『なんか増えた笑』

 『海外の方?』

 ………………………………

 

 さっきまでの静けさが嘘のようにコメント欄が加熱されている。

 全く以て想定外の方法ではあるが、なんとか配信の盛り上がりは取り戻した。


「あー、突然だがゲストを連れて来た……。というか、乱入された」

「……極東ヒカゲ、よろしく」


 そして第二ラウンドが始まる。


 コメント欄:

 『やっぱりエマちゃんか!』

 『ヒカゲちゃんも顔出しきちゃーーー!』

 『二人とも美少女だな』

 『歌配信はどうすんだw』

 『何が起こってる⁈』

 『突発オフコラボ! しかも顔出しwwwww』

 『マジで極ライブ何でもありで草』

 ………………………………


 エマの登場によってコメント欄には熱が戻っている。


 でも、このままじゃダメだ。

 所詮、エマの顔出しは私の二番煎じ。

 このままだと同じ道を辿る。

 私たちを見飽きたら配信はまた白ける。


 アドリブで面白い展開を考えろってか? クソ爺が!


 思わず管制室の矢崎を睨んでしまうが、奴はニヤケ面で事の成り行きを楽しんでいる。


「さてと。……で? 私はこの展開をまーったく知らされてなかったんだが、ヒカゲは何か言われてきたのか?」

「…………」


 エマは黙って首を振るだけ。

 マジでノープラン。ぶっつけ本番。おっとり刀。


「さっすが私たちの運営様だ!」


 手を広げ、役者ぶった動きで道化ぶりを誇張する。

 そして、私はヤケクソ気味に視聴者を煽った。


「見ろお前ら! これが我ら極ライブだ! アーッハッハッハ!」


 コメント欄:

 『狂ってやがるwwww』

 『どうなってんだコイツらw』

 『なんで笑ってんだこの人……』

 『今日も姉御は元気だなぁ』

 『高笑いする姉御と、真顔のヒカゲちゃん……温度差どうなってるん?』

 『まともな奴が一人もいない』

 『ごめん、これって何の配信だっけ?』

 ………………………………


 これが何の配信かって? 私が聞きてーよ!!


 思わず視聴者に八つ当たりしてやりたくなるが、そうも言っていられない。

 

「ハァアアア……。ま、二人になったもんは仕方ない。お前ら、私たちに何をして欲しいか言ってみろ」


 こういうのは視聴者に丸投げだ。

 求められていることは顧客から直接引き出すのが一番早い。


 コメント欄:

 『一応歌配信なんだし、ヒカゲちゃんにも歌ってもらったら?』

 『ヒカゲちゃんに歌ってもらえば?』

 『普通に二人で雑談配信したら?』

 『二人で適当にイチャついてくれ』

 『歌って』

 『デュエットでもしたら?』

 ………………………………


 なんだかんだ歌配信自体は求められているのだろうか?

 どうにも企画継続を望む声が多い。

 しかし、エマに歌ってもらうとなると……無理だろ。


「いや、ヒカゲに歌はちょっと……」

「……いいよ」


 はい? なんて?


「ヒカゲちゃん? 本気?」


 私の問いかけに何やら心外そうな顔をするエマ。

 そんな顔をされても困る。

 どう考えてもお前の普段の行いが悪い。

 

 まさかエマが人前で歌うだなんて誰が思うよ。

 

「…………いける」


 しかし、エマは私の考えを他所に乗り気だ。

 たしかにエマの声は可愛いんだけど、歌声は想像もつかない。

 なんせ、ベースがメスガキボイスだ。


 電波曲とか歌うんだろうか?


「ちなみに何歌うの?」

「……アヴェ・マリア」


 嘘じゃん…………。

 

 

 エマはおもむろに歌い始める。



 

 そして――。





「めっちゃ上手いじゃん……えぇ? なんでぇ?」

「……ありがと」


 普段の声からは想像もつかない美声。

 エマは口からCD音源を出せるタイプの人間だった。

 

 それは反則だろ。




 現在の同時視聴者数17万人。

 そして、極東ミネネのチャンネル登録者数は27万人を突破していた。

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