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その配信に命を懸けろ~【悲報】TS転生したワイ、借金のカタに売られた極道の元で美少女VTuberをすることになってしまう~  作者: 真嶋 青
第一章

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第18話 ほれ、このように

 ――パシャッ! パシャッ!


 シャッターを切るカメラの音が部屋中に響く。

 そして、私に向けられたカメラのフラッシュで目を刺激された。


「ちょっと~! ハズレっち、目を瞑っちゃダメじゃない!」

「うっす」

「次はしっかり頼むわよ~! それじゃ、……ハーイ笑ってぇ!」


 ――パシャッ! パシャッ!


 再び、連続して私とエマの写真を撮りまくる音が響く。

 

「エマっち、もう少しニッコリ笑って! ハズレっちも表情硬いわよ! もっと柔らか~く笑って!」


 私とエマはどういうわけか撮影スタジオに居る。

 そして、これまたどういうわけか、そこで写真撮影なんぞをされているのであった。

 


「ちょっと~! ハズレっち集中してる⁈ それじゃいつまでも終われないわよ!」

「うぃーっす……」


 カメラマンをしてる筋骨隆々なオジサンは、何度も私たちに注意してきやがる。

 

 集中させたいならその見た目とはアンマッチ過ぎる喋り方と奇抜な服装を何とかしろよ……。

 

 カメラマンをするオジサンは、魔法少女みたいなキャピキャピした服に身を包んでいた。

 逞しい肉体にコスチュームがはち切れんばかりだ。

 女の子が着ていたって痛々しい服なのに、あの人が着るともう犯罪的だ。

 

 あれで外を歩いてたら公然わいせつ罪になるだろう。

 どうやってスタジオまで辿り着きやがったんだ変態オヤジめ!


「エマっち良いわね! そのぎこちない感じの笑顔、最高よ!」


 隣を見れば、ぎこちないどころかエマの表情は死んでいた。

 昔、薬でラリッた親父がこんな顔をしていただろうか……。

 可哀そうだから私の妹分にこんな顔をさせないで欲しい。


 そんなことを考えていれば、矛先は私に向いた。


「オイ! ハズレ! テメェはいつまで手間取らせる気だぁ⁈ 内臓ぶちまけられてぇか⁉」


 いつまでも表情が決まらない私にカメラマンがぶち切れた。

 先ほどまでの気色悪い猫撫で声を捨てて、ドスの利いた声で恫喝してくる。

 

 怒りと共に隆起する筋肉で奴の魔法少女コスチュームが遂に突き破られていた。


「さ、さーせん……」

「悪いと思ってんならさっさと笑いなぁ」


 破れたコスチュームの隙間からは筋ものの入れ墨が垣間見えている。

 魔法少女と龍の入れ墨、やっぱり全てが噛み合わないんだよな……。


 口答えできるはずもない私は素直に返事をするしかない。

 

「うっす……」

 

 私は無理やり顔を笑顔の形に引き攣らせる。

 早くこの地獄から解放されたい。


「エマ、早く終わらせような……」

「……ん」


 本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。

 

 その話をするには一週間前、極東ヒカゲの初配信をした翌日に時を遡る。



 極東ヒカゲの初配信を終えた翌日、私は矢崎に呼び出されていた。

 場所は事務所。

 この場所に通されるだけで嫌な気分になるのは、過去の経験から来る生理現象という奴なのだろうか。

 

「くっ、早く殺せ……」

「オイオイ、人聞きの悪いことを言うんじゃねぇよハズレ」


 まあ、このセリフを言ってみたかっただけだ。

 それにしても、人聞きなんて今更気にしているのか?

 どの面下げてそんなことを言ってやがるクソ爺。


「冗談はさておき、何かしらの罰はあるんでしょう?」

「まあ、お前のミスを無かったことにはできんわなぁ」


 矢崎は顎を撫でながら、いつものニヤケ面で私を見下ろすように立っている。

 いったいどんな罰が下されるのか。


「まあ、正直エマの名前が出たところで何か被害があったわけではないんだがな。むしろ、早速本名がバレたVTuberってんで話題になってる。おかげさまで極東ヒカゲのチャンネルも一度の配信で登録者11万人だ。良い結果ではあるだろうよ」

「結果が良ければ全て良し、と?」

「ああ、俺たちは金を稼げれば問題ない。あれで話題を取れたなら、こっちとしては万々歳だ」


 ほっと胸を撫で下ろしたいところだが、今回だって御咎めなしとはいかないだろう。


「「それでも、ケジメは必要」」


 矢崎の言葉に被せて私も同じことを言う。

 コイツのやり口はもうわかっている。


「……ほう? 分かってるじゃねぇか。それなら、もう少し自分で気を付けることだな」


 仰る通りで……。

 

 今回は運よく良い方に転べただけ。

 今回の件をよく戒めるためにも、私へのペナルティは必要だ。


「まあ、お前への罰は色々考えた。エマと同じく名前を公開するとかな」

「まあそれくらいなら――」


 それが妥当な所だろうと、私も思っていた。

 しかし、矢崎は私の想像を超えてくる。

 

「だが、それぐらいじゃお前は痛くも痒くもあるまい?」


 おい、ちょっと待て、それの入り方は不穏過ぎるぞ。


「そして、俺は良いことを思いついたわけだ」


 ――パシャッ!


 これまで黙って部屋の隅に立ってた田村が私の写真を撮る。

 

「ん? 急になんだ?」


 田村は私の質問には答えず、そのままスマホを弄り続けた。

 

 いったいどういうつもりだ……?

 

「いや、ちょっとSNSにアップしてもらおうと思ってな。俺が田村に頼んでた」

「……………………は?」

「ほれ、このように」


 何でもない事のように、携帯画面を私に見せてくる矢崎。

 そこには、私の横顔を撮った写真とバカみたいな投稿文が……。


『おーっす、お前ら! 極東ミネネだぞー! 今は極ライブのスタッフさんと会議中! 昨日はヒカゲの配信で粗相をしちゃってごめんなさい。これはお詫びのサービスショットだぞ♡』


 

 ――――――――――。

 

 ――――――――。

 

 ――――――。

 

 

「なーーーーーーにやってんだああああああああああああ⁈」

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