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その配信に命を懸けろ~【悲報】TS転生したワイ、借金のカタに売られた極道の元で美少女VTuberをすることになってしまう~  作者: 真嶋 青
第一章

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第16話 極東ヒカゲ。よろしく①

 今日はエマ――極東ヒカゲのデビュー日。

 今日の為に私は毎日の配信でアホみたいに宣伝を重ね、そして初配信に 1つ変わった手法を取り入れた。


「おーっす! お前ら! 極ライブの極道ミネネが来たぞー!」


 コメント欄:

 『おーっす! じゃないがw』

 『人のデビュー配信で何してんだw』

 『授業参観かな?』

 『分かってたけど開幕から姉御が出てくるんかい!』

 『妹の初配信に出しゃばってくるなwww』

 『相変わらずの破天荒で草』

 ………………………………


 そう、これは極東ヒカゲの初配信。

 しかし、私はエマを差し置いて開幕と共に登場していた。


「あーっはっはっは! ヒカゲが来ると思った? 残念! ミネネ様だ!」


 コメント欄:

 『早くヒカゲちゃん出せ!』

 『今日は姉御の気分じゃない』

 『可愛い女の子と喋りたい』

 『失せろ』

 『うざ可愛い』

 ………………………………


「ふむふむ。何人か私の配信で見た名前があるなぁ。失礼なこと言ったの覚えとくからな?」


 コメント欄:

 『姉御最高!』

 『ミネネさん可愛い!』

 『やっぱり姉御最高だな!』

 『姉御以外ありえない!』

 『ひぇっ』

 『脅迫やんけw』

 『え、なに? コメ欄こわい……』

 ………………………………


 視聴者たちの掌はクルックルだ。そのうち手首がねじ切れるだろう。

 

「初見さんに怖がられてるじゃねぇか! お前らのせいだぞ!」

 

 そんなこんなで冗談を挟みつつ本題に入る――。


 

「私の配信を見てくれてる人なら承知してるだろうけど、今から出てくるヒカゲは私の妹だ。可愛い奴なんだが、どうにも人見知りでな。そんなわけで、私はヒカゲのサポートに来た。妹のヒカゲに失礼ぶちかました不届き物は、私が闇討ちするぜ! そこんとこも、よろしくな!」


 基本的には初配信は当人が一人で実施するのが通例なのだろうが、エマの場合はいきなり一人でやらせると一言も喋らないで配信を切りかねない。

 そんなわけで、ちょっと変わったやり方になるが、私が配信を上手く回しつつエマの言葉を引き出すことにした。

 あと、話題性のある極東ミネネが出てくるということで配信を見に来る人もいるだろうという打算も多分に含まれている。


「それじゃあ、前置きが長くなって悪かったなぁ。そろそろ妹のお披露目と行くぜ!」


 私の言葉に視聴者たちがざわつく。


 コメント欄:

 「遂に来るのか……」

 「生配信であの声が聞けるのか」

 「ドキドキ」

 「来るぞ来るぞ~!」

 「うおおおおおおお!」

 ………………………………


 熱気に満ちた生配信。しかし、良い意味でも悪い意味でも、エマは平常運転だ。


「極東ヒカゲ。よろしく」

 

 コメント欄:

 「きたあああああ!」

 「やば……」

 「やっぱめっちゃ声可愛い!」

 「サンプルボイスでも思ったけど唯一無二の声だわ」

 「加工なしでこれ……?」

 「メスガk……。おっと誰か来たようだ」

 ………………………………


 遂に、エマの声が世界に発信される。

 唯一無二、あまりにも特徴的な高めの声質。

 聴いた瞬間に覚えてしまうような、理屈を抜きに嫌でも頭に残ってしまう声。

 それはたとえ100人の中に混ざっても埋もれることは無い。

 それほどに奇抜、鮮烈、そして何よりも()()()

 彼女のその声は、奇しくもメスガキキャラが板につきそうなものだった――。



 画面に映し出される一人の美少女。

 ミネネと似た柄の振袖姿。

 綺麗な白銀の髪はツインテールにされている。

 顔立ちは幼く、エマにどことなく似ている。

 そんな彼女――極東ヒカゲは真顔で固まっていた。

 

「………………」


 コメント欄:

 『ん? マイク切れた?』

 『音入ってない』

 『機材トラブルか?』

 『ありゃー』

 ………………………………


 エマのあまりにも短すぎる自己紹介と、突然訪れた静寂に視聴者が戸惑っている。

 分かっちゃいたけど、エマは声が良いだけで配信スキルは限りなくゼロに近い。


「あー……。お前ら、マイクに問題はない。すまんがヒカゲはこれが普通だ。基本的に喋らない」


 コメント欄:

 『草』

 『マジで言ってんのかよwww』

 『配信する気なくて草』

 『放送事故でしょ笑』

 『声にコンプレックスあるって姉御が言ってたからな』

 『えぇ、これ本人やる気あるんか?』

 ………………………………


「まあ落ち着けお前ら。おいヒカゲ! もうちょい真面目にやらんと怒るぞ!」

「……皆、私の声笑ってない?」

「笑ってない笑ってない。ほら、コメ欄見て」

 

 コメント欄:

 『おっ、ヒカゲちゃん見ってるー?』

 『声可愛いよー』

 『とてもいい声です』

 『怯えてる感じの声もまた……』

 『良いよ……もっとオジサンに聞かせて…………』

 『罵って欲しいです』

 ………………………………


「……気持ち悪い」


 コメント欄:

 『気持ち悪いいただきました!』

 『やばい、興奮しそう』

 『これは破壊力高い』

 『最高だ』

 『このメスガキが……わからせてやる』

 『今日はこれでいいや』

 ………………………………


「おい、変なコメントはやめろ! あと、メスガキって言うんじゃねぇ!」

「……お姉ちゃんもメスガキってよく言う」

「私は良いだろ! お姉ちゃんなんだから!」


 コメント欄:

 『妹をメスガキ扱いする姉御……』

 『複雑なご家庭?』

 『酷い姉貴だ』

 『流石にマズいですよ……』

 『そもそも妹がメスガキっぽいって姉御が配信で言ってたんじゃんw』

 ………………………………


 たしかに、ヒカゲのボイスサンプルをSNSにアップした日の配信で「ヒカゲの声ってなんか、メスガキっぽいよな!」みたいなことを私から話した。

 しかし、あれは宣伝のための方便であって、私がヒカゲにメスガキを求めているわけじゃない。

 

 全然エマのメスガキが癖になってるとかじゃないからね?

 ……ホント、違うからね?

 

「何で私だけ悪いみたいな空気にしてんだ! 乗ってきたお前らも悪いだろっ!」


 コメント欄:

 『姉御の責任は舎弟の責任。甘んじて受け入れよう』

 『ふぅ、世話のかかる姉御だ』

 『そのぐらいにしとけお前ら。消されるぞ』

 『ヒカゲちゃんに申し訳なくなってきた。こんな姉御でごめん』

 ………………………………


 ひでぇ言い草だ。

 まあ、配信が盛り上がってるから良しとしよう……。


「はぁ……。じゃ、ヒカゲのプロフィールを紹介するぞぉ」


 私は用意していたプロフィールを画面に表示する。


 名前:極東ヒカゲ

 誕生日:3月3日

 年齢:0歳から数えてない

 身長:149センチ

 体重:四捨五入したら0

 スリーサイズ:お゛っきぃ♡

 趣味:歌


「ヒカゲ、自分で読め」

「名前は極東ヒカゲ、誕生日は3月3日、年齢は0歳から数えてない、身長149センチ、体重は四捨五入したら0、スリーサイズは……お゛っきぃ♡」

「ちょっ!」


 コメント欄:

 『え゛……』

 『エッチだなぁ』

 『ふぅ……』

 『マズいですよ……』

 『今日はこれでいいや』

 ………………………………

 

「テメェらやめとけ! エマ、なんでそこだけ忠実に再現してんだ! てか、これ書いたの誰だよ!」

「……お姉ちゃん。…………あっ」


 犯人は私だった。

 ちなみにネタではなく本当に忘れていた……。

 なんでこれでオッケー出したんだよ田村の野郎!


「そういえば深夜テンションで私が作ってたわ……」


 そんなことを言ってコメント欄を見ると、不穏なコメントが流れている。

 

 コメント欄:

 『やっぱ姉御は最高だな』

 『……エマ?』

 『妹に何やらせてんだこの人……』

 『うーん、極東ミネネって感じ』

 『てかエマって誰……?』

 『エマ?』

 『あっ、これ……』

 『姉御やらかしてるやん』

 ………………………………

 

 あっ……やっちまった。


「お姉ちゃんの馬鹿……」 


 勢い余って一番ダメなことやってるわ……。

 これ指詰め案件では?



 現在の同時視聴者数 4万人。

 極東ヒカゲのチャンネル登録者数―― 2万人。

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