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その配信に命を懸けろ~【悲報】TS転生したワイ、借金のカタに売られた極道の元で美少女VTuberをすることになってしまう~  作者: 真嶋 青
第一章

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第11話 私の妹分

 目が覚めると、身体にガッシリと何かが巻き付いていた。

 犯人を捜せば、すぐ隣で木にしがみ付くコアラみたいな恰好のエマが寝ていた。


「相変わらずの寝相だな」


 いったい私はどれだけの時間眠り続けていたのだろうか。

 寝すぎて身体が固くなっている。

 今すぐにでも背筋を伸ばしてボキボキと関節を鳴らしてやりたい。

 きっと脳ミソがぶっ飛ぶくらい気持ちいいはずだ。


 そのためにもまずはこのコアラを木から下ろす必要があろうな。


「エマさ~ん? 離してくれ~」


 軽く揺すっても反応はない。

 仕方ないから力技で巻き付いた手を解こうとしたがまったく取れない。


「これどうなってんだよ! 掴んでるって言うか、結ばれてないか!? おい! 俺を解放しろ! ぬぅぅぅぅおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 割と本気で手を引き抜こうとしたがビクともしなかった。

 見かけによらずエマは力が強いらしい。


 つーかこんだけ私が騒いでるんだから起きろよ。

 いつまで寝てんだこいつ?

 もしかしてコアラじゃなくて狸か?

 狸寝入りの術か?

 もしくはゴリラかもしれん。

 

「そもそも私が貧弱すぎるという話でもあるか……」

 

 最近は矢崎の計らいでまともな食事ができていたけど、元はろくなものを食べてなかった。

 骨と皮だけの惨めったらしい自分の腕が情けなくてしかたなかったもんだ。

 そのうち筋トレでもして、こんなロリっ子くらい一捻り出来るビッグな女になりたいもんだ。


「こんにゃろっ」


 エマのほっぺを軽く引っ張ってやると、口元をふにゃふにゃ動かして寝息を立てた。

 どうやら何をしても今は開放して貰えないらしい。

 

「はぁ~~~~仕方なし、か」

 

 諦めてこのまま考え事に耽る。

 そういえば、私には初配信が終わってからの記憶が殆ど無い。

 途中話しかけてきた矢崎たちを放って、エマを引き連れて部屋に戻ったところまでは覚えている。


 ああ、そうか。

 あのままベッドにエマと2人でダイブして、そのまま気絶したんだったか。

 

「本当に、やりきったんだよな?」


 なんだか初配信が夢だったような気さえしてくる。

 

 自由な左手で枕元に置かれている携帯を取った。

 SNSアプリを開いてみれば、トレンドにはまだ極東ミネネの文字がある。

 

 最新投稿一覧:

 『アーカイブ長すぎて見終わらないw』

 『最後の方、一緒に泣いた』

 『ようやく100時間完走した』

 ………………………………

 

 エゴサしてみれば、沢山の人が自分を見てくれていたんだと実感が沸いてきた。

 切り抜き動画も続々と投稿されている。

 動画に映っている極東ミネネはひたすら騒ぎまくっていた。

 携帯から聞こえてくる自分の声には違和感しかない。

 

「これ、本当に私なのか?」


 総集編動画なる長編動画まで投稿されている。

 他にも面白いシーンを漫画風にアレンジしているものが人気なようで3万いいね付いている動画も……。

 

「私の初配信の告知投稿よりも評価が良いじゃねぇか!」

 

 思わずそんなツッコミもしたくなる。

 

「………………ん?」


 耳元から聞きなれない小さな声が聞こえて来た。

 あるいはそれは声と呼べるほどハッキリしたものではなく、ただの鼻音と言った方が正かもしれない。

 音がした方を見ると、だいぶ眠た気なエマと目が合う。


「すまん、起こしたか」

「………………ん」


 驚いたことにエマから返事が返ってきた。

 一言どころか一音だけの小さな返事だけれど。

 

「おー……。遂に口を利いてくれる気になったか?」


 配信中に手を振り返してくれたこともそうだが、ようやく彼女が心を開いてくれた気がして感慨深くなる。

 そんな風に思ったんだが――。


「ぐえっ」


 グーパンが腹に叩き込まれてしまった。

 乙女らしからん声がでちまったじゃねぇか。

 

「何すんだテメェ!」


 拳骨でもくれてやりたい気持ちになったが、そこは精神年齢40代のオジサン魂で抑え込んだ。

 エマはどこか満足げな顔でこちらを見ている。

 いったいどういう心境なのだろうか。

 ちっとも理解できん。


「とりあえず巻き付くのは止めないか、携帯弄りにくいから」


 エマにこんなお願いをすればまた腹パンが飛んでくるかと思いきや、今度は素直に言う事を聞いてくれた。

 本当に良く分からない妹分だ。


「まあ、そのうちちゃんと声を聞かせてくれよ。お前とはもっと色々と話をしてみたいからさ」

「…………ん」


 まぁ、今はこれで満足するとしよう。

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