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さる❖とび  作者: 杉山薫
第1部 激突 関ヶ原
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半蔵

 オレは今、東京都と埼玉県との境である赤羽というところにきている。東京都で荒川といえば埼玉県から流れてくる荒川がオレの頭に最初に思いついた。でも、こんなところを決壊させるようなことをしたら東京23区は山の手以外すべて水没しかねない。


一体どうやってこんなところを決壊させる?


「どうした? こんなところでボーッとして」


ん?


「ああ、服部さんですか? 逆にどうしたんですか。こんなところまで⋯⋯。三成が六本木を急襲することだってあるんですよ」


オレの言葉に服部半蔵は首を横に振る。


「井伊様がご到着した。四天王が二人いて三成が六本木を奇襲するとは思えん」


井伊直政まで来ているのか⋯⋯。

大戦でも起こす気か!


「荒川っていっても広いから、こことは限らないような気もしますがね」


「いや、おそらくここで間違いないだろう。猿飛、忍城攻めのことは覚えてるか?」


だから、そんな前のことはオレは覚えてないって!


「三成の忍城水攻めでしょ。確か埼玉県行田市にある忍城を水攻めにしたっていう。バカバカしいですよね。関東平野のど真ん中で水攻めなんて⋯⋯」


「猿飛、覚えていないというのは本当か? 小田原攻めで俺と一緒に忍び働きをしたろ」


服部半蔵の言葉にオレはため息を漏らす。


「それで関ヶ原の戦いで徳川家康を暗殺した? そんなわけねえだろ! じゃあ、オレが大坂の陣で戦ったのは誰だ?」


「お前! 家康様を暗殺したのか!」


服部半蔵は目を見開きオレを睨みつける。


「あああ、服部さんはその前に亡くなってますもんね。なんか僕が徳川家康を暗殺したって難癖つけられたんですよ。じゃあ、その後家康と名乗ったのは誰だっていうんだろうね」


「おそらく影武者をしていた双子の兄であろう」


服部半蔵は遠くを見るように呟く。


「双子の兄? なるほどね⋯⋯。オレたちは影武者の首級を取るために命を張っていたということかい。笑えてくるな」


「猿飛、ということはお前⋯⋯。まあ、知らぬが仏ということもあるな」


「そうかもな。ところで忍城の水攻めがなんでここと関係あるんだ?」


オレの言葉に服部半蔵は姿勢を正す。


「忍城の水攻めは荒川と利根川を使った水攻めだったからな。同一人物が水攻めをするなら間違いなく荒川を使う。しかも、一番の埼玉県寄りの場所で決壊させると考えるのが妥当だ!」


アレ?

埼玉県ってどこかで聞いたような気がする⋯⋯。

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