強襲
オレは地下鉄へと歩いていく。誰かに確実に尾行されている。巻けばいいといえば巻けばいいのだが⋯⋯。徳川家康に会った直後に尾行って確実に石田三成側の人間の尾行に決まっている。時間的に人けのない場所に誘い込むのは問題ないが、麻布署は何を見てんだ。あんなもん腰に差しているんだが⋯⋯。
オレは意を決して振り向く。
コイツ、隠れる気はないらしい。
「警視庁新宿署の佐伯だ。あなたの腰に差しているものを確認させてほしい」
オレはそう言って警察手帳を見せる。
「武士の魂をおいそれと渡すと思うか?」
「えっと、僕が思うか思わないかではなく、銃刀法って法律に引っかかっているかどうかを確認するだけだから⋯⋯」
オレの言葉を最後まで聞かずにソイツは抜刀した。
「俺は島左近。石田三成様の家臣だ。それでも⋯⋯」
「それでもだよ。本当、佐々木小次郎といい三成のところはすぐに抜刀する。じゃあ、現行犯逮捕ってことでいい⋯⋯」
島左近の一閃がオレの鼻先をかすめる。
「おいおい、僕じゃなかったら即死だよ」
「お主、何者?」
島左近の言葉にオレは首を横に振る。
「だから、警視庁新宿署の佐伯だって言ったろ。おとなしくお縄に着け。島左近!」
煽ってしまったのか、島左近の一閃がもう一度鼻先をかすめる。
「それでただの警察官とほざくか! さっさと素性を言え」
「天地光闇風雷火水土⋯⋯。
雷! 雷神さまのお通りだ!」
オレがそう叫ぶとオレの右の拳にまばゆい閃光が纏っていく。
雷光鞭!
オレの右手のまばゆい閃光は鞭のようにしなり、身構える島左近を目掛けて伸びていく。蒼白い閃光が島左近の刀身を襲い、当たった瞬間に島左近の顔が歪む。その瞬間、島左近の強烈な一閃がオレを襲う。オレは素早くその場でバック転をして斬撃をかわす。
いない⋯⋯。
ふたたび顔を上げた時には島左近はいなかった。




