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さる❖とび  作者: 杉山薫
第1部 激突 関ヶ原
14/20

新宿テロ事件

 今、オレはJR新宿駅東口でロケ車という車に乗っている。例のアイドルグループが新曲発表でゲリラライブをやるそうだ。


誘拐事件があってから日が浅いんだからやめときゃいいのに⋯⋯。


「で、タカシ。彼女に対して冷たいんじゃない」


橘美穂がオレに苛立つ。オレの挨拶程度のラインが気に食わないらしい。それにしても、この女の香はキツい。佐伯はなんでこんな女と付き合っていたんだろうかと疑いたくなる。ヘソもしっかり出てるし⋯⋯。


「もうすぐ出番でしょ。僕も周辺警備しなきゃいけないから⋯⋯」


「ちょっと待ちなさいよ!」


待てと言われて待つバカはいない。オレはロケ車のドアを開けてアルタの中に入った。


 数分後、ゲリラライブが始まり新宿東口は興奮と爆音に包まれた。


このアイドルグループって結構人気あるんだなぁ⋯⋯。


オレがそんなことを思っていると、爆音の合間合間に轟音のようなノイズがオレの鋭敏な聴覚に入ってくる。


なんだ、コレ?


周囲に注意を集中する。


水のニオイ!


その瞬間、オレはJR新宿駅に向かって高々と舞い上がった。


「そこから逃げろ!」


オレは地下街の出入口に向かって叫んでいた。


轟音とともに大量の水の塊がたくさんの人々とゴミと化したいろいろなモノを伴いいくつかの地下街の出入口から噴き出してくる。


「み、み、みつなりぃぃ!」


オレは周囲を警戒するが石田三成も佐々木小次郎も見当たらない。ゲリラライブはというとオレが気が付いた時には撤収していた。手際がいいとしか思えない。


 ゲリラライブを警備警戒していた刑事たちは散り散りになって水没事件の捜査をしている。被害範囲が広すぎて人員が広すぎるのだ。二時間後、オレはようやく白石警部と合流した。


「間違いなく、こんなことができるのは石田三成だな。サスケ、お前の能力でどうにかできんのか?」


「もう、この付近にはいないでしょう。こちらでできることがあるとしたら、アイツらが次に狙うのはどこかという情報を探すことではないでしょうか」


白石警部の言葉にオレは首を横に振る。


「風魔小太郎か⋯⋯。接触できるか?」


「神出鬼没ですからね。でも、あっちから来るでしょう。おそらく立花ミホのことで⋯⋯」


「ミホ君? どうしてだ?」


「佐伯刑事の殺害、そして今回のテロ。どちらにも共通しているのは、そこに立花ミホがいたということです。そんなことぐらい、風魔小太郎ほどの忍びであれば簡単に気づきますよ。それに二つの事件に佐伯刑事と白石警部がそこにいたというのもね⋯⋯」


「俺もか?」


オレの言葉に白石警部は頭を抱えた。


この事件は『新宿テロ事件』と命名されて捜査チームが作られた。三日後まで判明した被害は三百人以上の死亡が確認され、行方不明者は二百人以上という大惨事となっていた。

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