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魔王の箱庭  作者: 恵比原ジル


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13/40

13 リコの報告書

『よお、魔お』

『……こんば』

『お前たち! リコから報告書が届いたぞ!!』


 その夜、魔王が興奮した様子で作業通話にインしてきた。挨拶をスルーして声を張り上げる魔王の姿を魔ディスプレイ越しに見ながら、こういう様子の魔王も見慣れてきたなとウーゴは思う。

 マリルーは、魔王がリコと名を呼んだことに少しだけ口角を上げた。


『報告書って、なんの報告だよ』

『先日の様子が気になったので、疑問や不足、要望があれば報告しろと通達を出したのだ。ついでにお前たちが礼状に喜んでいたと伝えておいたぞ』

『マジかよ!?』

『喜んでいたから、あとで動画を観るがいい』

『……楽しみ……』


 魔王としては、本当は、ドールハウスで過ごすお前の姿は見えるし声も聞こえるが、なにを言っているかはわからぬ。オーラである程度は察せられるが、なにをどう感じ、なにを欲しているか、礼状の時のように紙に書いて知らせてくれると助かる。短く他愛ない内容でも構わぬので気軽に寄越してくれ、……というようなことを書きたかった。


 だが、魔王の威厳を損ねるわけにはいかない。しかし、怖がらせて委縮させてもいけない。作成した文を執事に見せ、子供と言ってもいいような若い女が読んでも怖がらせないか確認してからドールハウス内に転送したのだ。

 とりあえずリコは通達を受け取って喜んでいたし、すぐにこうして報告書を書いてきた。委縮させずに済んだことに魔王はホッとしている。



『で、リコリコはなんて言ってきたんだ? 聞かせてくれよ』

『うむ。では報告書を読むぞ』

『……わくわく……』



------------------------------------------------------------

魔王様へ


皆様に喜んでいただけて、わたしもうれしいです!


不足は感じていないのですが、不思議に思っていることがあるので、それと感想を記します。


・窓の外が真っ白

 朝昼夜関係なくいつも真っ白です。でも壁になっているわけでもないようです。窓の外はどうなっているのかなと不思議に思いました。


・窓から自然光が入らない

 上の内容とかぶりますが、朝の光も差さないし、夜の暗闇もありません。ドールハウスの中は昼夜の変化がないので不思議な感じです。


・感想

 窓から外の景色や空の変化などが見れたら素敵だろうなと思います。特に、時間帯によって窓から入る自然光が変化すれば、お部屋の雰囲気も変わるのではないでしょうか。今までとは違う表情を見せてくれそうな気がします!


以上です。制作のお役に立てたら幸いです。

リコ

------------------------------------------------------------



『窓か~~。盲点だったなー』

『……当たった……でも理由はわからなかった……』

『うむ。我々は常に外側から眺めているだけだからな。窓にカーテンを付けることはしても、窓の外がどうなっているかなど想像したこともなかったし、時計を配置しても時間経過による光の変化など考えたこともなかった』

『こういうの、体内時計狂いそうだよな。あ~、今までのドールたちも不満に思ってたかもなー。悪いことしちまったぜ』


 とりあえず、朝昼夜の光の変化はドールハウスの魔道具部分の改造で対応することになった。窓の外の景色も設定の変更でいけると魔王は言う。


『それはいいのだが……なあ、どんな景色にすればいいのだ?』

『う~~ん。窓は四方にあるから360度設定するとして、森とか草原……いや、街の方がいいのか? 考え出すと結構大変っつーか、難しいな』

『マリルー。なにか良い案はないか』


 魔ディスプレイに映るマリルーが、首を傾げて少し考えてからぽつりと言った。


『……空に浮かぶ雲の上……とか、どう……?』

『いいねえ! ファンタジーだなー』

『雲と空だけでいいなら設定も楽そうだ。その案、使わせてもらうぞ』



 景色の設定が決まり、魔王はいそいそと魔道具の改造に勤しんだ。

 作業部屋の時間を止めて、全力で。



  ◇  ◇  ◇



 ──魔王城某所──


「あっ、セベリノさん! 我が主の目の下の隈がすごかったんですけど、なにか心当たりはありませんか!?」

「ティト殿……。どうせドールハウス関係で徹夜していたに決まっていますよ」


 執事の問いに、ため息を吐きながら副官が答える。


「もう! ちゃんと寝てください、夜更かししちゃダメですよって言ってるのに」

「当分無理じゃないでしょうか。なにしろ楽しそうですから……昨日は執務中に鼻歌を歌っていましたよ。我が君は気付いておられないようでしたが」

「以前は毎日仕事漬けだったから、ようやく趣味を持って楽しむようになってくれたのはうれしいんですけど、程ほどにして欲しいなあ」


「では、ドールハウスの料理の手配をちらつかせるのはいかがです? ウーゴ殿のミニチュア料理の実物を手配するのはティト殿でしょう?」

「それいただきます! 寝ないで作業ばかりしてると、僕、新作料理の手配しませんからね!って言ってやりますよ」



 副官と執事がこそこそと話していたのを、魔王は知らない。

タイトル少し変えました(元:ドールの報告書)

魔王も名前で呼んだので!

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