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オーケストラ

秋良はホルン吹き

作者: 西坂 海

 ファミレスからの帰り、朱音の心臓がドキドキと早い鼓動を打つ。

 (どうしちゃったの私)

 さっきの秋良とのことを思い出すと顔が熱くなり、心臓もまったく落ち着かない。

 (あー。穴があったら入りたい)

 (明日からどうしよう)


 秋良が木管アンサンブルのメンバーになったと聞いたとき、心が躍った。

 一緒に練習できるなんて…。気持ちの高鳴りがおさえきれなかった。

 だが、それはとても表には出せない。

 同じ学年だけど、学部は違うし、楽器もクラとホルンでは接点はない。合奏の時に音が時々重なる程度。

 

 大学のオーケストラに入部して初めて練習場に入ったときにホルンのいい音が響いていた。なんというか、これまで朱音が聞いてきたホルンとは明らかに違う音色。なんというか、明るくてキラキラとして練習場全体を包み込むような特徴的な音。その音の主がが同じ学年の秋良だった。

 朱音はすぐにその音のとりこになってしまった。


 だけれど、彼とは全く接点はなく、離れたところから彼の音を聞いているだけだった。

 それなのに。

 今日は彼から話しかけられた。

 うれしい。けど、恥ずかしい。顔がほてる。

 (緊張するー)

 何を話したのかあまり思い出せない。楽器の話だったと思う。

 (私、緊張して変なこと言わなかったよね)

 でも、別れ際は頑張った。精一杯の笑顔で別れた。彼も手をふってくれた。

 その姿を思い出すと顔がにやけてしまう。周りからの変な視線がいたい。

 何とか取り繕って、家路を急いだ。

 私、今日はがんばった。


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