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テンシル国の章 最終話

テンシル国が完結です!

時間かかりましたが二章へ進みます(⌒∇⌒)


また、書き溜めたら順次アップしていきますのでお待ちくださいませ('ω')ノ

「ライラはこれからどうするのですか?」


 半壊した王城で辛うじて使用できる客室にルーリエとライラはいた。

 リオが加護と共に亡くなってから一か月、王都に突如攻め入ってきた魔狼の群れを一掃し、城下を警邏したり近場で魔獣が現れれば対応したりですっかり居ついてしまっている。初めの頃は不甲斐なかった近衛騎士団もライラと共に魔獣を狩るうちに次第に状況を飲み込むのが上手くなり戦闘にも不安なく入れるようになってきた。

 初期の頃は無駄な動きが多く討伐でも傷が絶えなかった騎士団員も個々にスキルアップして問題なく討伐できるようになっている。


「もう大丈夫っぽいし、テンシル出ようかなって」

 ライラは顎に指を当てて上向きに答える。

「・・・どこへ行くか聞いても?」


 ルーリエはおずおずと聞く。ライラはパッとルーリエを見るとにっこり笑う。

「ルーリエと一緒にファーヴァル国に行こうかなと思う」

「!!」

「お嫁に行くときに一緒についてっていい?」

「もちろん!! ライラ、本当に!? 嬉しい、嬉しいわ!!」

 ルーリエはライラに飛びついて喜んだ。同じ年頃の友人がいなかったルーリエにとって、ライラは初めてできた女友達だ。まだまだ一緒に居たかったからこの申し出は大歓迎だった。


「王宮の方には行かないから途中までね。ちょっと人捜しも兼ねてるから」

ルーリエはきょとんとライラを見た。

「人捜しですか? ご両親とかご兄妹?」

ライラはゆっくり首を左右に振る。

「大事な人」

にこりと微笑むライラの顔が、出会った中で一番きれいに見えて、ルーリエはどきっとした。


 短い付き合いだがライラには全然裏表がない。思った事を簡潔に伝えてくるライラの口調は人によっては冷たく感じるかもしれないがライラに悪意はない。ちょっとのんびりしていて天然っぽいライラはストレートに感情を伝えてくれるのがルーリエにはとてもかわいく思えるのだ。


 ライラは見目も麗しく可愛らしいし、色違いの瞳の色はすごく魅力的だ。一緒にいて思ったが、どうやら左の薄紫色の目は見えていないようだった。眼球のように見えるのに、眼球ではなかったのだ。


「素敵! その大事な方のお名前はわかっているのですか?」

 うん、と嬉しそうに頷くライラに、本当に好きなんだなと感じる。

「テオっていうの」

「テオ・・・。愛称ですわね?」

「う~ん、愛称なのかな? ずっと“テオ”って呼んでたから。そういえばフルネームは知らないかも」


 口許に手を当て青い顔で言うライラにルーリエは焦った。

「どんな髪の色? 瞳の色とか、あと年齢とかわかれば手掛かりになりますわ!」

 青い顔でライラは顔を上げると少し考える仕草をして記憶を探る。

「・・・瑠璃色の髪だよ。私と一緒の色だね、あれ?一緒だったかな・・・。瞳の色は私の左眼とおんなじ薄紫色だよ。すごく奇麗なの。あ、テオの右眼は金色かも・・・。私と同じオッドアイ。」

「まあ! オッドアイはとても珍しいので、もしかしたらすぐにわかるかもしれませんわね!」

「そうなの? なら、よかった。多分、年齢は私の方が上だと思うけど? あれ?違ったかな・・・、一緒かも?」

「曖昧なのですね? もしかして、お会いしなくなって長いのですか?」

うん、とライラは俯いた。


 ライラの記憶はどこかちぐはぐで容量を得ていないようだった。相手の髪色もうろ覚えのようだが瞳の色ははっきりと覚えているようだ。


「私が、別の世界線に飛ばされたから・・・」


「え・・・?」


「・・・何でもない!」


 へへ、と笑って座っていたソファから勢いよく立ち上がる。うーんと伸びをしてルーリエの前に立って彼女の顔を覗き込むようにして笑った。


「とにかく! ルーリエと一緒にファーヴァル国へ行くよ!」


 ルーリエは花が咲いたように笑うと立ち上がりライラの手を取る。ギュッと握って嬉しそうに言う。

「はい! まだしばらくご一緒できますね!嬉しいです!」


二人、くすくす笑って互いの事を話し合う。嫁ぎ先の事、お相手の事、ファーヴァル国の事、ライラの大好きな人の事。



◇◆◇◆◇◆◇



ルーリエの心の中


信じられない! 私にもお友達ができたわ!!

幼いころから、両親やお兄様と引離され神殿に軟禁されてお友達なんてできなかった!

魔力がテンシルで一番だなんて、これっぽっちの魔力のせいで軟禁! 最低よっ!


やっと神殿から出てこれたら、いや~な義兄姉たちの悪魔な所業。ほんとに人間かしら!?


リオ。

リオ、リオ・・・。かわいい私の義妹。存在を知らなかったなんて私はなんて罪深いのでしょう。

あの地獄から救うべく、もっとできる事はあったはず。


ライラ、ありがとう。

私の大切なお友達。出会ってまだ間もないけれど貴方の美しい金と薄紫の瞳は穢れなく純粋な輝きで満ちているのね。その深めの瑠璃色の髪もとても美しいし、貴方の仕草や話し方がとても可愛らしくて!!!

そんなライラとまだしばらく一緒に居られるなんて、嬉しいですわ!


ファーヴァル国がどんな国か知らないし、婚約者のセイン殿下も一度お会いしただけでしたけど、外見だけで判断してはいけないですわよね。なんだかフワフワした方のような気がします・・・。

ライラをファーヴァル国でそのまま私付きの侍女にしたいけれど・・・、臣下の礼が取れないと無理ですわよね・・・。

悩ましいですわ。

なんとかいい方法はないでしょうか。

影ながら私を見守る護衛騎士などはどうでしょうか・・・?

ああ、でも大事な方を捜したいとおっしゃっていましたわね・・・。一緒に捜しに行きたいですわ。

輿入れ、もっと後でもよろしいでしょうか・・・。セイン殿下は押しに弱そうな気も致しますので、しばらくしたらあざとくお願いしてみましょうかしら?

ああ、もう道中、ライラと相談してみましょう。



ライラとずっと一緒にいたいですわ・・・。





ルーリエは盛大にため息をついた。

「大きいため息だったね」

隣でライラがこてんと首を傾げ、クスッと笑った。

ルーリエは目を瞬いてライラを呆けて見たあと、抱き着いた。

「もう!かわいいですわ!!」


ここで一旦、章完結とします。

第二章から物語が進んでいきますので、楽しみにお待ち下さい!


星⭐︎をタップして頂けると、今後の励みとなります!

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