テオドールの記憶②
少し短いですが、連続投稿がんばります!
最後までお読み頂けると嬉しいです。
辺境伯ダスティン・J・アイルノルトはフィリアの実父だ。テオドールにとって祖父にあたる。
テオドールの誕生日をアイルノルトで祝おうと向かっている最中だった。父ヨシュアも翌日合流する予定でいた。反対されて嫁いだが、テオドールは物心ついてからは度々、アイルノルトには遊びに行っていた。両親と一緒にアイルノルト辺境でそろうのは初めてだ。
テオドールはとても楽しみにしていた。
王太子ヨシュアが正妃を迎えてからも、フィリアだけがヨシュアにとっての妻だった。形式だけの王太子妃に何度も頭を下げ許しを乞い一度も閨を共にしなかったのだ。
王太子妃は契約妻として割り切っていると言っていたが、フィリアとテオドールへの襲撃でその憎悪が露見する事ととなる。襲撃場所がアイルノルト辺境地の近くだった為、アイルノルトから護衛にきていた騎士団が襲撃を鎮圧、テオドールを保護した。
怒りに満ちた辺境伯ダスティンはテオドールをこのまま庇護下に置くと宣言。
悲しみに打ちひしがれた王太子ヨシュアは泣く泣くテオドールを手放し王都へ戻る事となる。
数年後、国王に即位したヨシュアは、フィリア襲撃当時の側近や貴族を大量に粛清した。王妃の側近も例外なく泣き叫び命乞いする者にも問答無用で己の手で処刑した。
王妃を除いて。
――その女は私とフィリアが過ごした8年の“借り“があった為、これは慈悲だ。
だが、次はない。
フィリアの死後、テオドールをアイルノルトに隠された国王ヨシュアからは感情が消え、王妃はヨシュアの怒りに震えた。フィリアの死の少し前に己の腹に宿った命。
――当然、ヨシュアとの子ではない。
国王ヨシュアが自らの手で処刑した腹違いの王弟であった男の子供。王弟であり宰相であった男との不義の子供。だが、間違いなくベンゼンティアの血を引いている。
だから、見逃されたのだった。
不義の子を出産後、子供と共に離宮に幽閉される事となった王妃は我が子に恨みつらみを吹き込み、子供が10歳の時にその命を自ら散らせた。母を畏怖の対象としていた子供は王宮に戻され、王太子教育をしているという。
なぜか、ヨシュアは不義の子を王太子として指名したか、王の心の中は誰にもわからない。
テオドールは短く息を吐く。母の死を思い出すのは苦しく、切ない。
それと、テオドールの危機を救った幼い姫との出会い、甘い思い出。そっと、左眼に触れる。
自分の前から消えた幼女は、まだ生きていると左の金瞳が教えてくれる。あの子もずっと捜している。もう12年も経ってしまって、あの子も16歳くらいになっているだろうか?
当時何歳だったか聞かなかったが、とても幼かったように思う。
――守れなくて、ごめん・・・。
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