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第7話 ゾンビ狩り

「ゾンビが出たのはこの辺だったな」


依頼を受けた日から2日が経ち、約束の日となった4人は、ゾンビたちの居る南の森にやって来た。


「そー、ちなみに目撃された数は10数体だってさー」


「もっと居るかもしれないぜ。あんまり数を信じすぎるのは良くないぜ」


「分かってる。種類は?」


「狼型と人型が居たってさー」


「人型より案外狼型の方がめんどいかもな。当てにくいし」


ゾンビはその再生力から不死ではあるが、その核となった術式が存在する。


その核となる術式を破壊すれば、不死身のゾンビでも生命維持装置を失い殺す事が出来る。


それさえなければ今頃、死霊術者(ネクロマンシー)が世界のトレンドだっただろう。


「その代わり魔法は使えないからトータルでは同じくらいじゃねーか」


「戯れはここまでね」


旅行にでも行くかのように和気あいあいと話していた4人は森の中にある崖の上に集まっていたゾンビを見つけ、アルメイスの言葉で一瞬にして緊張感を持ち周りを警戒する態勢に入った。


「うじゃうじゃ居るな」


「数十はいるねー」


「まずは術式の位置の特定だな」


「行くぜ。うっかり崖から落ちない様にしようぜ」


ナルセスの言葉に3人は頷き同時に飛び出した。


「裏名川流抜刀術単竜」


飛び出した4人の中で一番に攻撃を加えたのは、メルセスだった。


メルセスは人型ゾンビの首を狙い刀を振った。


その剣戟によってゾンビの首はあっけなく吹っ飛んだが、再生力によって体から首がまた生えて来た。


「頭じゃないのか」


斬撃の結果を確認した後、下がったメルセスは意外そうな顔でそうつぶやいた。


幾らゾンビの再生力が強力と言っても残った体より大きな体の部位を復活させることは出来ない。


そして、ゾンビの術式は頭部に組み込むのが一番全体に浸透しやすく一般的だ。


それ以外の個所に術式を仕込んでいると言うことだけでも優秀な死霊術者(ネクロマンシー)であると分かる。


「じゃあ次は…。裏名川流剣術紅一点」


アルメイスは次に浸透度の高い心臓を一撃で突き刺したが、これでもゾンビの術式は破壊できずゾンビの反撃を許した。


「中々実戦を想定したゾンビね」


ゾンビの一撃をかわしたアルメイスは、感心するようにしながらもゾンビを観察した。


「体のどこかをかばう動きもない。そこから行こうかしら」


「悩んでる暇はないぜ。おら、熱炎拳」


ナルセスはその熱い言葉遣いとは裏腹に冷静に腹部の中央を貫き、腹部を焼いて。胸から上と脚部のどちらから再生するかを確かめた。


「胸の方か」


「首より下で心臓ではないってなると―。この辺かなー」


サーシャ左胸を貫くとゾンビは力なく崩れ落ちた。


「ビンゴ―。やったねー」


「喜んでないで次いくわよ」


「当たり前だぜ。熱炎拳」


弱点が分かったゾンビなど怖いものはないと言わんばかりにナルセスは左胸に拳を叩きこむ。


「…腐…食」


しかし、今度のゾンビは、そこで動きを動きが止まる事は無く、倒したと思い油断したナルセスの顔を掴みにかかる。


「あっぶなーい」


触れる前にサーシャが腕を蹴り上げ、間に入りゾンビの腹部に蹴りを入れて遠ざけたため事なきを得たが、腐敗魔法は文字通りものを腐敗させるため当たれば一撃で体の一部が使えなくなるので危機一髪だった。


「こいつ、もしかして、術式の位置一定の量産品じゃねーのかよ」


「うわー、めんどくさーい」


術式を一定個所にすれば同時に術をかけて時短で、ゾンビを大量に作れるのだが術式の仕込む位置を変えるとなれば、ゾンビそれぞれに個別で術を施さなければならず手間がかかる。


「しかも、腐敗魔法まで使える何てすごい気合の入れよう」


「ゾンビ開発が趣味の域だなこれは」


「感心してる場合じゃねーだろ。量産品じゃねーなら1体ずつ術式探しだぞ」


感心するように言うメルセスとアルメイを頭を腐敗させられかけたナルセスは咎めるが、2人は気にした様子もなく、刀を構えた。


「それより厄介なのは連携し始めた事ね」


ゾンビたちは奇襲で慌てた状態から立ち直り、連携を取る様に牽制攻撃と本命の攻撃をわけ反撃を始めた。


「パターンは、狼がかく乱したところに人型が魔法を当てるって感じか」


「御2人さん。俺がやられかけたのに随分と冷静じゃないですか」


「あら、心配してくれるとでも思ったの?私たちはそんなに仲良くないわ」


「今日で会うのも3度目の関係だ」


「あははー、言われてるー」


「う、仲間っぽい感じ出した俺が恥ずかしくなってるじゃねーか」


「仲間とは認めてるさ。この場限りのな」


「腕は確かだしね」


「うんうん、そのくらいのかんけーだよね私たち」


「おい、お前は何でそっち側なんだ」


「私も同意見だもーん」


「チョクショ―、四面楚歌ってやつかよ。こうなりゃ。実力で認めさせてやるギアアップだ」


「頑張れ。期待してる」


「じゃあ、お前が先陣な」


「キャー、カッコイー」


適当な事を言いつつも3人のその雰囲気も先ほどよりもギアの上がった気の入り方になり、全員がギアを上げてゾンビに向かった。

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