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第3話 侵入者と襲撃者

「ちょっと待て何か居ないか?」


「居るわね」


家に戻った2人は家に入った瞬間その空気の異変に気付いた。


「気配察知も衰えてないみたいだね」


「お前の父親にどんだけ仕込まれたと思ってるんだ」


アルメイスの父親は既にこの世に居ないが、彼の財産は今でも2人の中に生きている事は間違いない様だ。


「不器用な父親だったのよ。他に感謝の仕方や愛情の表し方をを知らなかった」


「それは分かる気がする。でもまあそれはともかくどうする?」


「もしこれがあの男のパーティーの残党の仕業だとすれば。狙いは」


「勇者の首か。もしくは俺たちの首か」


「多分、前者。こっちに来るつもりなら奇襲をかけるには入った直後が最適だし」


「だよな。じゃあやるか」


「良いわね。でも、家を壊しても文句は言わないでよ」


「この状況なら仕方ないだろ」


刀に手をかけた2人は呼吸を合わせ構えを取った。


「「裏名川流火炎連放」」


2人が同時に刀を振るうと炎の斬撃が同時に飛び出し連結した。


「ちょっと、放火する気」


「裏名川流抜刀術地鵬」


火炎連放に反応した侵入者が声を上げ、思わず勢いよくしゃがみ込むとその空気の流れに反応したメルセスが、地を這うように体を沈み込ませながらの全身を使ったダイナミックな抜刀術で斬りかかる。


「跳風弾」


侵入者は緊急回避的に地面に魔法を放ち、飛び上がりメルセスの斬撃を回避した。


「裏名川流抜刀術天鵬」


「風障壁」


飛び上がった侵入者目掛けてアルメイスが空中で滑空するような勢いで突っ込みながら同じように全身を使っての抜刀術を狙うが、無防備になる事を理解していた侵入者も間に風の障壁を挟む事で斬撃を防ごうと試みた。


「紙切れ1枚で防げるわけないでしょ」


アルメイスが構わず刀を振るとその障壁はいとも簡単に切り裂かれたが一瞬の間が生まれ何とか致命傷は避けた。


しかし、勢いそのままに突っ込んで来たアルメイスに侵入者は捕えられ地面に押し倒された。


「やっぱり、ラーファか」


「アルメイス!」


「そいつは?」


「ラーファ・リエン。言うなれば勇者の正妻ね」


「アルメイス!あなただけは絶対に許さないから!」


「落ち着きなさい。この態勢で下からそう言われても説得力も恐怖も感じないから」


「いつも一歩引いたところから私たちを見下ろしながらバカにして!私はあなたのそう言うところが嫌いなのよ!」


「それだけ?勇者が私を愛してる事が気に入らなかっただけじゃないの?」


「ッチ、そう言うところだって気づいてないの!」


「そうだったのかよ」


「みたいね。この娘が正妻で私が愛人何て言われもしたわね。と言うかあなたがいじめられたのも私と仲が良かったからみたいなのよね。直接聞いたわけじゃないけど」


「通りで3年で手を出したわけだ」


「フーン、嫉妬しないんだ」


「いや、首を取ってきた後にそれを知ってもなぁ」


「まあいいか、それでこの娘どうする」


「そりゃあまあ、斬るしかないだろ」


「生かしておいてもまた狙われたら敵わないし」


「だな、殺すか」


「ヒッ、助けてネルセス」


恐怖のあまり目をつぶって祈るラーファに侮蔑の視線を向けながらアルメイスは刀を振り下ろそうとした。


「アルメイス!」


その刀が振り下ろされる直前何かに気づいたメルセスが声を上げ刀を抜き振るった。


「何?どうしたの?メル」


アルメイスが振り返るとメルセスの刀が火炎を切り裂いているところだった。


「誰だ」


「   」


メルセスの問いに答える声は無いが、魔法を放った存在は家の中に姿を現し二2人を威圧した。


「く、首なしの騎士?」


その襲撃者を見たメルセスは驚き目を見開いた。


「違う。こいつは…こいつの付けている鎧は勇者の鎧よ」


「首なしの勇者だと。そんなのあるのか」


「あるわけない。勇者にもそんな力は無いわ。誰かが動かしてるのよ」


「フフフ、ハハハ。間に合ったのね」


驚き狼狽える2人に取り押さえられていたラーファが笑い出した。


「驚いた?私の勇者は不死身よ。絶対に死なないの」


「バカなこと言わないで。大方死霊術者(ネクロマンシー)にでも頼んで形だけ復活させられたゾンビみたいなのでしょ」


「それはどうかしらね」


自信満々にそう言ったラーファは、拘束から抜け首なしの勇者の方へ翔けだした。


「逃がすわけないでしょ」


逃げるラーファの手を掴み放り投げそれを妨害すると首なしの勇者は、自分の首の方を少し見た後、ラーファを受け止めに走った。


「こいつの目的も自分の首らしいな」


「その様ね。それに腐っても勇者なのだとしたら手ごわいわよ」


「気を引き締めていくぞ」


「    」


口のない勇者に言葉を発することは出来ないが、勇者が何か言いた気にこちらの方をしばらく見た後、首なしの勇者は撤退した。


「まだ、体が万全じゃないだけだから。ネルセスが全快したらその首貰い受けるからね」


一方、抱えながら捨て台詞を吐くラーファだったが、それを2人はまともに聞いていなかった。


「退いた?」


「ゾンビは体が馴染むまでに少し時間がかかるらしい。特にあいつは首がない不完全な形で復活してる。その反動は大きいのかもしれないな」


「それなら少しは時間があるのかな」


「色々今後の身の振り方を考える必要があるな」


「そうね。色々話し合いましょう」


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