サーカスのハエ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
こんな話を沢山したのを覚えてます。
特撮の内容って難しくて、何だかおどろおどろしかった記憶があります。
サーカスで使われるのは、何も動物だけではないらしい。そんな事を話すと、とある吸血鬼のダークファンタジーを連想する人も多いと思うが、其方ではなく。そう、蜘蛛ではなく。私が話したいのはハエの方。
幼い頃から小さな箱で育てられ、飛ぶ度に天井に当たり続けたハエは、何時しかそれ以上高く飛ばなくなるらしい。そう、例えその天井が取り外されても。
私はそんなサーカスのハエのような生き方をしている。
あの子がやる前から『どうせ出来ないんだ』、『話したって馬鹿にされる』という思考が真っ先に最初に過ぎるのは、恐らく幼少期が関係しているのだと思う。
何かをしようとする度に、過保護なあの子の親は『危ないからやるな』と制しに入ったそうだ。中学時代に自分の好きな本を話したら、『児童書じゃん。お前まだ卒業してないの?』と嗤われたそうだ。その小さな積み重ねが、あの子に天井を作ってしまったように思える。
存外幼少期に言われた事と言うものは、成長しても大きな縛りを相手に貸すことになる。それを理解している人間は、一体どれ程居るのだろう?
「梅香の君、ちょっと嬉しい話があったのです。聴いていただけますか?」
彼女はそう言うと、少し高揚した顔のままに私に駆け寄って来た。私はその様を見た後、そっと手を伸ばして、黙って彼女の頭を撫でた。
「勿論」
ある時、会社の先輩がハマっている物の話になったんです。まぁよくある世間話ですね。そこで私は何時ものように『巡礼』とだけ答えました。……大きくなっても笑われる趣味では無いですし、軽蔑の視線を与えられる事のない物だと自負しております。
そこで先輩は、私が幼少期に好きだった児童書の話をして下さいました。もう随分と昔の事です。中学時代に私も再度熱を発して全て読み終えたものです。そうしてそれを……馬鹿にされた……悲しい思い出が御座います……。
それでも先輩は、ずっとずっと楽しそうにお話をして下さいました。あの時の輝かしい話を、隠す事もなく、恥じらうことも無く、お話して下さいました。
それを見て、ふと思ったのです。自分が好きなものを言って、馬鹿にされるのはとても苦しい事。けれども何一つ恥ずべき事では無いのだと。だから、好きな物はちゃんと好きだと言える人間になりたいと、そう思いました。
「まぁ、私にはまだ難しい事です。高く飛べる事を知ったって、また壁があると思って飛ぶのを辞めるサーカスのハエと同じです」
彼女の脳裏に浮かぶのは、一定の高さしか飛ばないハエの姿。きっとこの子の様に、幼少期に天井を作らされたのだろう。
けれども、天井なんか無いことを繰り返し学んだのならば、きっと遠くまで飛べるよ。
「大丈夫。臆することは無い」
以下、なんでも許せる方向け
この元ネタは小学五年生の時の読み聞かせです。
あんまり好きな先生ではありませんでしたが、記憶には残ってます。
中学生って、不可思議なプライドがあるんですよ。
幼児アニメ見ていたら馬鹿にするとか、そんなの。
『お子ちゃまだね〜』とかそんなの。
私の周りだけかも知れませんが、よくある話でした。
普通に内心ブチ切れました。そうして中二病発病しました。
でも大学生くらいになると、好きなものを受け入れてくれる人が増えてきます。
幼児アニメ見ても、特撮見ても、児童書読んでも、馬鹿にする人はほぼいなかったです。
本当は天井なんかなくて、馬鹿にする人は極わずかで、受け入れてくれる人はもっと沢山居るのだと思います。