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作家先生  作者: 桜海冬月
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答え合わせ

本編をお読みくださりありがとう存じます。

それでは答え合わせとそのヒントを示していきましょう。


まずは答えです。


最後までお読みの方は分かると思いますが、正解は花開先生が既に亡くなっていることです。


裏の設定を伝えると、これは瑠璃と生きているうちに別れを告げられなかった先生が未練を残していたために自分の思い出の場所を借りてお別れをしに来ました。


というわけで、答えはそのくらいにして次はヒントです。

早いものから順に行きます。



1.白い百合水仙


百合水仙とはアルストロメリアのことです。

アルストロメリアの花言葉は「未来への憧れ」


花開先生ともっと一緒にいたかった瑠璃の思いが残るとともに、花開先生の同じ想いもこもっています。

また、この百合水仙はお葬式に供えられる花としても使われておりますので、それを知っている方の中にはここで勘づいた人もいるのではないでしょうか?



2.花開先生は瑠璃の祖父と同じ大学の一年後輩


一つ先輩が瑠璃の祖父ですからその時点でかなりの年配だとわかると思います。ただ、再入学などここでは断定ができなくて、次とも関わります。



3.花開先生は歴史作家and長い下積み時代


まず歴史作家はその特質上、デビューが遅くなる人が多いそうです。(以前、直木賞作家の今村翔吾先生からその話をお聞きしました)


また、長い下積みとのことなので、どちらにせよ年月の経過としては相当だと考えられますので、ここで年齢的な面はほぼほぼ確定すると思います。



4.花開先生の台詞その1

「もちろん。それにわしは言いふらす相手も居らんでな」


これは気づけたかな?


気づいたら普通にすごいと思います。


友達がいないともとれますし、実際瑠璃もそのように思わせる挙動をしているので分かりにくいですが、他の部分からおおよその推定ができればここは死んでしまったから誰にも言いふらす口がないという意味に変わります。



5.花開先生の台詞その2

「まさかわしの通っていた旅館でこのような事件が起きるとはのぅ。わしが少し居ない間にここも変わってしまったものじゃ」


まず、"通っていた"は過去形です。定期的に来ているはずの花開先生が過去形にする動機はありません。(もちろん、その場の行動という可能性もあるので、分かりにくいですが)


それと、わしがいない間というのも一見すると普通に自分が少し来なかった間と受け取ることも可能ですが、それだとわざわざそんなことを言わないでしょうし、やはり来れない原因があると考えるほうが妥当です。



6.花開先生は静かにため息をつく。

そして机の上部に何かを掴むような仕草で手を浮かべる。


ここは"浮かべる"という表現が肝です。

翳すではなく浮かべるなので······



7.「花開先生、よければ私がお注ぎいたしましょうか。·······急須はどこに?」

一瞬の間にひととおり部屋に目を通した瑠璃だが、急須は仕舞われているのか見つからなかった。


この辺りにはもう一つ、"置いてきましたですじゃ"という言葉がありますが、これはただ置いてきたという意味ではなく、"届けたから使ってくれ"という台詞が続くことでより核心に近づきます。


癖で手を動かすほど馴染んだものを手放すとき、それは得てして自分になにか重大なことが起こったときです。


探しても見つからなかったのは、花開先生にとってはもう使えないもので、それなら自分が大切にしていた瑠璃に、という思考が働いて既に渡していたからなのです。



8.「そうか、寂しいのぅ」


花開先生は珍しく淋しげに目線を落とした。



「また会いましょう。この旅館にはまだいらっしゃるのでしょう?」

「どうかのぅ。ここでは作品も多く書いたことであるし、そろそろ潮時かもしれぬ。作家としても人としても、そろそろ旅立つべきときなのやも知れぬじゃ」

「そうですか?ではまた、お手紙をくださいな。私はずっと、あの場所に住んでいるつもりですから」


長いヒントです。(というかもう答え)


特に三言目の台詞は作家としてこの場所で書ききれる作品は書き尽くしたから別の旅館などでやってみようと取ることもできますが、作家人生の終焉を暗示してもいます。

それはつまり、人生の終わりです。


9.瑠璃は語気を強めて問う。どうして自分がこんなにもムキになっているのか・・・


瑠璃の記憶には確かに花開先生の死は残っていて、しかしだからこそそれを認めたくはない思い。それを記憶力と観察力という最強のメモリーリブーターの紅葉に開かれそうになって、必死に抵抗しています。


10.大飛燕草

ラストは大飛燕草、またの名をディルフィニウム

デルフィニウムの花言葉は「あなたは幸福をふりまく」「誰もがあなたを慰める」


瑠璃を慰めるのは花開先生を始め、大勢います。紅葉も本当はその一人です。


それとやはりこの花もお葬式やお供えのお花としてよくある花の一つです。更にこちらの花は花開先生からのメッセージが込められていて、瑠璃が大切な存在であったことを改めて強調しています。



どうでしたか?


分かりにくかったかもしれませんが楽しんでいただけていれば幸いです。

もう一話あるよ

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