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121 デビュタント⑧

このままで年越しはイヤーという感想をいただいて「確かに!」と思い、続きを書きました。

これでスッキリ年越しできるかしら。

 久しぶりに王弟殿下にお会いしました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。


 バルコニーで魔法灯の今後の販売方針を思案中に、呼ばれて振り向いたら、謁見の日以来ご無沙汰していた王弟殿下がいらっしゃいました。あ、そうだった。王弟殿下からのお呼び出しだったわ。魔法灯でプロジェクションマッピングが出来ないかしらーとか考えている場合じゃなかった。


 久し振りに、真正面から王弟殿下を見た。あらあら。王弟殿下ったら、しばらく会わない間に、随分と背が伸びたようだわ。面差しも幾分か鋭くなって、以前は少年から青年への過渡期でしたけど、今はもうすっかり大人に成長されたわねぇ。余所の子の成長って、本当に早いわぁ。

 なんて親戚のおばちゃんみたいなことを考えていたら、王弟殿下が近づいてきた。


「……会いたかった、サラナ嬢」


 潤んだ瞳で嬉しそうに微笑まれましたよ。美形が微笑むと、破壊力があるわねぇ。

 それにしても、随分と愛想がよくなったわね。前は近づいただけで睨みつけられていたのに。触れればキレそうなお年頃は通り過ぎたのかしら。やっぱりあれは思春期特有の一過性のものだったのね。

 だけど注意深く見てみると、王弟殿下はどこか落ち着かない様子だった。もしかしたら私に、『お飾りの妻になってほしい』と持ち掛けるのを躊躇っているのかしら。まあ、褒められたことではないからね。


 私は気を引き締めて王弟殿下の言葉を待つ。何を言われたって、絶対に断るつもりだ。脅されても、諭されても、断固拒否させていただくわ! 

 なんて気負っていたのだけど。王弟殿下の口からでたのは、謝罪の言葉だった。


「サラナ嬢。私は君に、ずっと謝りたかった」


「はい?」


 謝る? 何をかしら。王弟殿下に謝ってもらうことなんて……。ほんの一つ二つ、いえ、三つ? ぐらいしか思い出せませんが。どれかしら? ほほほ。


「誕生会で、君を傷つけてしまった。令嬢たちに囲まれ心細い思いをいした君を、『それぐらい平気だろう』などと、突き放す様な事を言ってしまった」


 ああぁー。ありましたねぇ、そんな事。

 たしかにあの後。前世から私はちっとも変わらないんだわーなんて落ち込んだりもしましたが。大丈夫です。スーパージェントルマンのお祖父様にメロメロに優しくされて、いつの間にやらすっかり気持ちを持ち直しましたから。

 気晴らしの視察(旅行)でシャンジャに行って、美味しい海産物を沢山食べたし、ルイカー船開発なんかもしちゃって。いやぁ、あれは、すごく充実した視察だったわー。


「まぁ、その様な事。お気になさらずに」


 何なら私も充実し過ぎて、今まですっかり忘れていたので、本当にお気になさらずにー。


「そんなわけにはいかない。あの一件で、君との間に溝ができてしまったと、私は感じているんだ」


 王弟殿下の言葉に、私ははて?と首を傾げる。そもそも、溝を感じるほど仲良くなった覚えはありませんが。私たち、貴方がドヤールに滞在していたほんの数日間と、誕生会と謁見の日ぐらいしかお会いしてないですよ。あとはお手紙(業務連絡)を数回やりとりしただけですよね。こんな薄い知り合いレベルで、溝が出来たと言われても。


「それに、謁見の日には君に怪我を」


「何もございませんでしたわ! 何も!」


 謁見の日の事に王弟殿下が言及しようとした瞬間、私は被せ気味に否定した。王弟殿下の言葉を遮るのはかなり失礼だとは思うけど、ここで謝罪なんかされたら、『傷物にしたから責任をとって娶る』なんて展開になりかねないもの。痛い思いをした挙句、契約結婚(お飾り婚)なんて絶対に嫌ですからね!


 私の強めの否定に、王弟殿下は苦し気に顔を歪める。


「……私は君に、とことん信頼されていないのだな」


 そんなに悲しい顔をされると、罪悪感を抉られるじゃない。でもお飾りの妻を引き受けるのはイヤー。


「……私が、悪かったのだ。自分の矜持ばかりを大事にしていた。もっと、自分の気持ちを素直に認めていればよかったのだ」


 王弟殿下が苦し気に呟く。あら……、これは?

 もしかして、王弟殿下。ついに、ご自身の嗜好について公表なさるつもりなのかしら。

 いくら国王陛下(お兄ちゃん)の理解があるとしても、公表するとなると勇気がいるはず。


「私は君に、自分の気持ちをきちんと伝えたいと思う」


 まあ、王弟殿下の意志は固いようだわ。じっと私を見つめる目に、並々ならぬ決意がみえるもの。きっと今回の呼び出しは、王弟殿下なりのケジメなのだろう。王弟殿下には色々振り回されたけど、彼だって色々と悩んだのだろうし、私の迷惑にさえならなければ、応援してあげたい気持ちもあるのだ。私の迷惑にさえならなければね。


 そんな王弟殿下のお言葉を、とりあえず鷹揚な気持ちで受け止めようと思っていたのですが。


「私は、サラナ嬢が好きなのだ」


 思っていたのとは全く違う、告白を受ける事になりました。なんて?


◇◇◇


 エマージェンシー、エマージェンシー。思っていたのとは違う告白に、思考が停止しております、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。


「君の聡明さ、強さを尊敬する、サラナ嬢。私は心の底から君を想っている。私の妃に相応しいのは君しかいない。どうか、私の手を取ってくれないだろうか」


 いやいやいやいや。何を仰っているのやら。


「ちょっと、ちょっーーと待ってください、王弟殿下。え? 奥様たちはどうなさるおつもりなの?」


「奥様たち? 私には妻などいないが?」


 訝し気に王弟殿下が眉を顰める。おおう。しまった。動揺の余り本人の前でつい側近さんたちを奥様と呼んじゃったわ。


「いえ、その。側近のエルスト様たちです。王弟殿下の、その、恋人でいらっしゃるのでしょう?」


 私が声を潜めてそう言うと、王弟殿下がキョトンとした顔になって。次の瞬間、真っ赤になった。


「なっ? ち、違う! 断じて違う! 彼らは本当に只の側近だ! 恋人ではない!」


 王弟殿下のお顔、真っ赤から真っ青になったわ。人間の顔色って、ここまで極端に変わるものなのねぇ。


「……そんなふざけた噂が流れていたと聞いて、耳を疑ったが。そうか、サラナ嬢の耳にまで入っていたのか」


 顔に手を当てて、落ち込む王弟殿下。あらー。このご様子だと、本当に誤解のようだわ。

 でも結構、色々な所で噂になっていたみたいですよ。王弟殿下、女性を徹底的に避けていらっしゃったから。


「これまでの偏った社交のせいで妙な噂が流れたのは自業自得だと分かってはいるが。君にまでそう思われていたのは、結構、堪えるな」


 ションボリと肩を落とす王弟殿下。側近さんたちの溺愛ランキングまで予想していましたなんて、口が裂けても言える雰囲気じゃないわ。サラナ、お口はチャックよ。


 ガックリしていた王弟殿下は、ゴホンと咳払いを一つして、キリッとした目で私を見つめる。え? もう立ち直ったの? 切り替えが早いわね。


「私が好きなのは、サラナ嬢だけだ。どうか、私の妃になってもらえないだろうか」


 そして改めてしっかりと告白されました。あらー。


 思わずチラリと王弟殿下の後ろ、バルコニーの入り口に目をやれば。

 とても自然な様子で、こちらを見守っているアルト会長。その後ろで、鈴なりになってこちらを覗き込んでいる側近の皆様たちは見ない事にします。ええ。


 はぁ。アルト会長の姿が見えるだけで、なんだかホッとしちゃう。バチッと目が合って、アルト会長がこちらに一歩踏み出したけど、目線で止めました。まだ1人で対処できます、大丈夫です。

 私の気持ちを察したのか、アルト会長の足が止まったけれど、心配そうな顔をしているわ。ごめんなさいね。


 アルト会長のお陰で、なんとか平静を取り戻す。驚いたわ。告白されるなんて、前世今世通算で初めてだもの。した事はあるけど。つい最近。

 

 だから分かるのだ。王弟殿下が今、物凄く緊張しているってことを。誰かに好意を伝えるのって、自分の心を全て曝け出す様で、とても怖いってことも。

 

 だから。例え受け入れることができなくても、王弟殿下のお気持ちは、真摯に受け止めなくてはいけないわ。


「ありがとうございます、殿下」


 私は心を込めてお礼を言い、微笑んだ。


「ですが、殿下のお心を受け取る事は出来ません」


 ビクッと、王弟殿下が身体を震わせる。美しく整ったお顔が、苦痛に耐えるように歪んでいる。


「それは……。あの男のせいか?」


 王弟殿下が氷のような視線をアルト会長に向ける。


「平民風情が君に相応しいと。ドヤール家は本気で考えているのか? どう考えても、君とあの男では釣り合っていない」


 王弟殿下が、真剣な顔で一歩、私に近づく。


「君の才能、叡智、民を想う心根、その全てが王族に嫁するに値する。私は君以外に、妃に相応しい人はいないと確信している」


 また一歩、近づく。


「もちろん、君1人に重荷を押し付けるようなことはしない。君が辛い時は、私が君の拠り所になる。だからどうか、私、トーリ・ユルクの妻になってほしい」


 王弟殿下が、私に手を伸ばし、そう懇願する。

 熱を孕んだ視線が、私を射抜く。

 その手が、私にゆっくりと延ばされて。

  

 そのまま、大人しく触れられる筈もなく。というか、嫌すぎて思わずのけぞってしまいました。我ながら華麗さも何もなく、目の前に羽虫の集団が現れた時みたいな避け方だったわ。あれ、嫌よねー。背中がぞわぞわしちゃう。王弟殿下が傷ついたような顔をなさったけど、私、悪くないと思うの。


 王弟殿下は伸ばしていた手をゆっくりと下ろして、悄然と俯いた。


「やはり、君を傷つけた私を、信じてはもらえないか……」


 ぎゅっと拳を握り、落ち込んでいた王弟殿下だったが、やがてキッと顔を上げた。


「だがっ! 私は諦めないっ! 君の心の傷が癒えるまで、私の一生をかけて償わせてほしいっ」


 違う。そうじゃない。


 あまりの認識のズレに、私はつくづく『やっぱり苦手だなぁ、この人たち』とため息を吐いた。 

 一生をかけて償うって、それは私が王弟殿下と一生関りを持って生きて行くのが前提じゃない。謝っている振りをして、勝手に他人の人生を決めないでほしいわ。

 

 もうこの際だから、ハッキリと私の本音を説明した方がいいのかもしれないわ。頑張れ、サラナ。貴女はやれば出来る子よ。


「殿下。私の気持ちをお伝えします。聞いていただけますか?」


 にっこりと微笑むと、王弟殿下は何故か目を輝かせた。


「ああ! 聞こう! 私たちにはお互いを知るために対話が必要だ!」


 まぁ。ここだけは意見が一致しているわ。良かった。


「まずは、私の事を評価して頂いて、ありがとうございます。()()()()()()()()()


「いや。サラナ嬢の素晴らしさを讃えるには、まだ言葉が足りないぐらいだ」


 嬉しそうに仰る王弟殿下。『身に余る光栄』は貴族的な言い回しで『お断り』を意味する。この場合は王弟殿下のお申し込みを辞退しているのだけど、やっぱり通じていないわねー。偏った社交の弊害がこんな所にもあるわ。後で王妃様に再教育を進言しましょう、そうしましょう。


「殿下は私の能力を買って下さっているので、妃に迎えたいと仰っているのかしら?」


「そ、それもあるが。何より、私が君を好いているのだ」


 頬を染め、じっとこちらを見つめてくる王弟殿下。ヤメテ、ミナイデ。ウレシクナイ。


「……まあ。では、殿下は個人的な感情で私と婚姻をしたいと仰っているのですね。それでしたら、私が個人的な感情を優先して好きな人を結婚相手にしても、問題はございませんわね」


 それだったら問題なくアルト会長と結婚できるわね。解決、解決と。


「い、いや。だが、貴族たるもの、個人的な感情ばかりを優先してはいけない。やはり身分的に釣り合いの取れる相手を選ぶべきだ」


 慌てて、王弟殿下が否定してきた。さすがに、『好きな人=王弟殿下』ではないということは分かっていらっしゃったようだわ。そこを勘違いされていたら、余計にややこしかったから良かったわ。


「まぁ。それでしたらなおの事、殿下と私では不釣り合いですわ。いずれは公爵位を賜る殿下と、子爵家の娘に過ぎない私では、家柄的にも釣り合いませんもの」


 男爵家出身のアルト会長がラカロ子爵家に婿入りする方が、世間的にもすんなり受け入れられますものね。解決、解決。


「い、いや! 身分の問題は、君が高位貴族と養子縁組をすれば、何の問題も無くなる!」


「私がですか? まあ。ドヤール家は立場的に一部の有力な貴族家と懇意になるのは望ましくありませんわ。安易にその様な手段を取るのは望ましくありませんわ」


 下手したら派閥の力関係が崩れて、国を荒らす原因にもなりかねませんからね。うんうん、養子なんて無理だわー。解決、解決。


「そ、それは! 私が、責任をもって君を受け入れる家を探すから!」


 えー。それ絶対、エルスト侯爵家とかラズレー伯爵家とかウィルネ伯爵家とかでしょ。側近さんたちの家なら頼みやすいでしょうけど、あの人たちを『お兄様』と呼ぶのは嫌ー。他所の家の子になるのも嫌ー。お祖父様が泣いちゃうじゃない。


 それにしてもしつこいわ。何度も否定されているのだから、そろそろ諦めてくれないかしら。

 私はヤケクソ気味に切り口を変えてみる事にした。これがダメならはっきり断ろう。

 

「まあ。そこまでお考えになっていらっしゃるのですね。それでは、この婚姻で得られる我が家の利点は何でしょうか?」


「利点? 」


「ええ。殿下は個人的な感情だけで婚姻を申し込まれたのではないと仰いましたわ。それでしたら、双方にとってこの縁談は利点があるという事でございましょう? それは何でしょうか?」


 私の問いかけに、王弟殿下は狼狽える様に視線を彷徨わせたが、すぐに堂々とした笑みを浮かべた。


「私と婚姻すると、君は公爵夫人になる。今まで以上に、君の素晴らしい叡智を奮えるだろう」


「まぁ。ですが公爵夫人というお立場は、公爵家の内政を取り仕切る必要がありますわ。それでは、今のように市井に交じって働くなど難しいでしょう? これまで私が考えた事業や商品は、市井から多くの影響を受けて思いついたものです。そう考えると、これまで以上にアイディアを活かせるのは難しいかと思いますわ」


 本当は前世の記憶からヒントを得ていますが、市井からアイディアを得ているという方が自然よね。『前世のこの世界ではない記憶がありますぅ』とか馬鹿正直に言ったら、変な人扱いされそうだし。


「こ、公爵家と縁続きになれば、ドヤール家としても今後、国において力を持つことになる……」


「ご存知とは思いますが、ドヤール家は辺境の守りに誇りをもっており、権力への執着はございません。そこに利点は感じませんね」


 実際、ドヤール家はこれまで何度も陞爵を断った実績がありますからね。伯父様もお祖父様も、『辺境の管理だけで手一杯だ』と仰っていました。これ以上、書類仕事が増えるのが嫌なんですって。

 それにただでさえ武力で抜きんでているのに権力まで持ったら、これはもう王家に匹敵する存在になっちゃうわよ。ドヤール王国建国は嫌だわぁ。書類仕事から逃げ出す国王(伯父様)に笑顔で追いかける宰相(お父様)。ほほほ、国政が滞ることが予想できるわ。


 私の華麗な反論で、王弟殿下は黙り込んでしまった。こちらを縋るような目で見ていらっしゃるけど、こんなに言葉を尽くして断っているのだから、そろそろ本気で私が嫌がっていると分かってくれないかしら。いや、察しろ。


「私との縁は、利点がないというのか。な、ならば。あの商人と縁を結ぶことで、ドヤール家はどれほどの利点があるというのだ。商人風情に、私以上の利点があるというのか」


 悪あがきのように王弟殿下がそんな事を仰るので、私はぱちりと瞬きをした。


「アルト会長と縁を繋ぐ利点ですか? まあ、考えた事はございませんでした」


「んなっ」


 散々、婚姻における利点はなんだと議論した後だったので、私の言葉に王弟殿下はポカンと目と口を開いて絶句してしまった。あら。すごい埴輪顔。王弟殿下、王族の外面が剥がれていますよー。

 でもねぇ。アルト会長と縁を繋ぐ事の利点なんて、本当に考えた事はなかったのよ、だって。


「好きな人の側にいられるだけで、嬉しくて、幸せで。それ以外の事は、あまり考えていませんでしたわ」


 あ、ほら。アルト会長と結婚できるんだーって思っただけで顔がにやけちゃう。あんなに優しくて、格好良くて、可愛くて、素敵な人とずっと一緒にいられるのよ? 凄くない? 


「好きな人の側に、いられるだけで、嬉しくて、幸せ……」


 王弟殿下が、抑揚のない声で繰り返す。え、ちょっと怖い。急にどうしたのかしら。私、聞かれたから心のままに答えたのだけど、ずっと『好きな人……? 幸せ……。幸せ……?』とブツブツ呟いていらっしゃる。どうしてそんなにショックを受けているのかしら。しかも埴輪顔のままで。


「あの、殿下? 大丈夫ですか? ご気分でも……?」


 困惑してオロオロしてたら、アルト会長が慌てて駆け付けてくれた。後ろに隠れていなかった側近さんたちも駆け付けて、埴輪顔でブツブツ呟いている王弟殿下に驚いている。


「サラナ様、大丈夫ですか? 」


「ええっと、私は何も。でも王弟殿下が急に埴輪顔、いえ、ご気分がすぐれないようで」


 埴輪顔はさすがにこの世界では通じないわよね、と慌てて言い直しましたが。アルト会長は王弟殿下を見て、ちょっとだけ気の毒そうな顔になった。


「貴女がまた傷つけられるのではないかと心配でしたが。……杞憂でしたね。見事に止めを刺されたようで」


「トドメ?」


 そりゃあ告白をあの手この手で断ったけど、ちゃんと不敬にならないような言い回しにしましたよ。ドストレートに『生理的に無理』とか、思っていても言ってませんよ。だからトドメとやらは刺した覚えがないのだけど。


 私と王弟殿下を見比べて苦笑していたアルト会長だったけど、私の手を握り、王弟殿下に向けて、綺麗な礼を執った。


「それでは王弟殿下、そろそろ時間ですので、サラナ様をお返しいただきます」


 その声に、王弟殿下はのろのろと視線を上げた。   


「あ、あぁ」


 呆然としたままの王弟殿下を気にしつつ、ホールに戻ろうとした私に、王弟殿下から声が掛かった。


「サラナ嬢、先ほどの私の申し出は撤回させてほしい。……今まで、すまなかった」


「え、ええ? いえ、こちらこそ? 」


 何だか分からないけど、王弟殿下が申出(プロポーズ)を撤回してくださったわ! やった! 

 


 


 







 





 



 



 


 

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サ「アルト会長と縁を繋ぐ利点ですか? まあ、考えた事はございませんでした」 ト「んなっ」 サ「好きな人の側にいられるだけで、嬉しくて、幸せで。それ以外の事は、あまり考えていませんでしたわ」 ト「好きな…
スッキリ…はしたけれどなんか殴り足りないなぁ…。 今までのストレスと見合ってないなぁ…。
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