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異常な神殿②

うへへへ〜お金が増える~


「…水〜ふんふん〜るんるん

パッパッと混ぜて聖力を注ぐと何と...!治療水の出来上がり~」


不思議な歌を歌いながら、作り終えた治療水をチビカに渡して、チビカから串の焼肉を渡して貰っているエリカ。


串の焼肉をパクパク食べ終わったエリカは肉汁が付いた口元を手の甲ですっとふき取り、舌つづみを打った。


ちょっと足りないな〜今度からは2本頼もう。さて今日の日課を進めないと!


「小銀貨が1,2,3…大銅貨が1,2,3…中銅貨が1,2,3…小銅貨1,2,3…

くぅ!!!~この感触がたまらない。」


少しずつ増えていく売上金を数える際、つるんとしたお金の感触を楽しんでいた。


「チビカおいで~」


チビカのポケットから取り出した巾着袋が2つ。

机に種類別に並べられているお金を巾着袋にそれぞれ銀貨と銅貨を入れた。

さらに1つの巾着袋だけど、ちゃんと中は3つに分かれていて大中小も分けて収納していた。


こうしておくと、今度使う時に楽なんだよね~

日本で生活していた時にまだ電子マネーが流行る前、お財布に小銭を入れておくけど、使う時に探すのが面倒で、その度にお札を使ってしまって、小銭だけどんどん増えていったな~

それにしても主な客は平民だからたくさん買っていく人もいないし、せいぜい銀貨までしか使わない客層をみると、まだいい商売をしている感じがしない。

金貨をぱっ〜と払ってたくさん買っていくような商人や貴族と契約できればいいんだが…

まだ時期尚早かな?

おっと!危ない危ないそろそろお昼の時間だからミリスが来てしまう。


「チビカ孤児院に行ってリュートとリューラの図鑑と薬草の準備ができてるか見てきて!」


「キュッ!」


ミリスが来る前にベッドに入っていよう。


未だに治療日の次の日は午前中までゆっくり寝ているように見せかけている。

ミリスが持ってきてくれたお昼の食事の後、図書室に行くなり、そのまま休むふりをして続けて治療水を作っている。

今のようにベッドに横になっている時は、目を閉じてチビカとの視野を共有してもらったりしている。


お〜早い!もう孤児院に着いたのね。

それよりリュートとリューラそして二人の神官?

あれは何の組み合わせだ?


チビカもう少し近くに行ってくれる?あ!バレない距離までね。

キューうッ!


願うように心から声をかけると頭に響く感じで意思疎通ができるエリカとチビカだが、残念なことに声を聞く能力までは持っていないので、どんな雰囲気が把握するためにはリスクではあるが、顔の表情が見える距離まで近づかないといけない。


えん?リュートが怒っている?


***


孤児院の近くでやや木々に隠れそうなところに座り込んで薬草を潰しているリュートとその隣で小さめの木の板の上に紙を置き、薬草の絵を描いているリューラは真剣に作業をしていた。そんな時に孤児院に来た二人の神官はリュートとリューラを探していた。

「リュートとリューラはどこにいる?」


「多分あそこら辺にいると思います。」


リュートとリューラは自分たちの名前が聞こえた気がして、孤児院のところを振り返ってみた。


「リューラ神官が来る。早く隠して!」


リュートとリューラは急いで持っているものを雑草や木の裏側に隠した。


「リュートとリューラか?」


「はい。」


「おめでとう。リュートは聖騎士見習い、リューラは治療神官見習いに配属された。」


「そんな...」


「兄弟が二人とも戦争チームになるってどういうことですか?!」


啞然とするリューラと猛烈に怒っているリュートとリューラは神官を見つめて答えを待った。


「上からの命令だ。」


「僕はいいんです。でもリューラは神殿の神官見習いに残るように調整できませんか?」


「お兄ちゃん…」


「それは無理だ。残念なことに我々も伝令を任されているだけだ。」


「なんだよそれ!戦争チームって一回派遣されたら生きて帰って来れるのはほんの一握りの人だけじゃないか!兄弟を纏めて戦争チームなんて!!戦地で二人とも死ねと言っているようなもんじゃん。」


「悪いが、そんなこと聞いてあげられる時間がない。僕らは次の区域の孤児院に行く。」


「はぁー兄弟に酷な知らせだが、残りの5年で訓練を頑張れ…それに聖女見習いは7歳から神に力を捧げている。聖女見習いの他に配属されるのはそれよりもっと年上。聖女見習いは治療中に亡くなることもあるし、神殿神官は何らかの理由で力を奪われ死ぬこともある。戦争チームは他のところよりやや死のリスクが高いだけ。それも二人の頑張り次第でどうにかなる。」


「…」


ずっと黙ってリストを持って名前にチェックを入れていた神官が無表情な顔で淡々と話した。その話を最後にリュートは何も言えなかった。

神官たちが帰った後、リュートとリューラはその場に座り込んだ。


「お母さんが知ったら悲しむよね?」


「うん。でもあの神官の言うとおりだ。死ななければ、お母さんに知らされることはない。」


「そうだね…こんなこと言ったら怒るかもだけど、リュートと一緒だから良かった。一緒だと怖くない。」


「そんなことで怒らない。お兄ちゃんが絶対守ってやる。」


「ありがとう。へへ」


小さく笑うリューラの頭を優しく撫でるリュートは絶対に守ると再度心に誓った。


7歳に知らされる場合、基本聖力を多く持っている子で聖女見習いになる。

その他は10歳になったら、知らされるのだが…

正式な勤務はどの見習いも同じで15歳と聞いていた。

後5年か…強くならないと…


複雑な気持ちを整理していたリュートとリューラにそっと近づいてくるチビカ。


「キュー?」


首を傾げて見ていた。


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