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神獣召喚②

エリカと部屋に戻ったミリス。

エリカがゆっくり休めるように色々準備をしながらミリスは考えた。


最近は体調不良でもすごい熱を出すこともないので、かなり安心できるわ。

エリカが聖力を調整して使っていることが可能になったということでしょう。

ふふふ。


少しずつだけど、ちゃんと成長しているエリカをみることはミリスにとっても誇りに思えた。神獣召喚のことで今はやや気分がダウンしているけど、しばらくすると大丈夫だろうと思ったミリスはゆっくり休んでと言って部屋を出ていった。


「ルイさん、本日も護衛よろしくお願いします。」


「はいはい。任せてください~」


***


はぁ~ルール?

治療する人数が減るから?

治療水でも既に効果があることは分かっているし、事前に治療水をたくさん用意しておいて流通すれば、問題ないわけじゃん?

神殿って何様のつもり?

そもそも聖力を持っているだけで神殿で暮らさなければならないっておかしくない?

まぁ、今はそんなことより神獣の召喚はどうやるんだ?


エリカは落ち込んでなどいなかった。

ルーベルに召喚は聖騎士のみ許されていると聞いたときは、なぬ?と思ったが、

その直後、どうしたらこのルールバカたちにバレずに神獣召喚ができるかを考えていた。

その様子をみて落ち込んでいると思ったのか、ミリスが何度も頭を撫でてくれたが、気に留めなかった。エリカの体が喜んでいるような気分はしたが、その辺は放置して、理性だけを働かせていた。


さて図書室に行けば、神獣召喚関連の本あるかな?

治療直後はやや体調不良を演じて、明日少し良くなったと言って図書室に行くのがベストだけど、今の見張りがルイさんだから明日は朝からルーベルさんだろうし…

どうしようかな…


ルイは図書室の中まで入ってこないので、好きな本を読めるけど、ルーベルの方は付いていけるとこはどこまで付いてくるので明日は困る。


「はぁ~どうしようかな?」


トントン。


「ルイだけど、入ってもいいかな?」


「はい。どうぞ。」


なれた感じで部屋に入ってきて、エリカの前に立った。

まごまごして、唇を少し動かそうとしては止めたりでかなり悩んでいるような感じだった。

こういったハッキリしない態度はあまり好きではなかったが、一旦待ってあげることにしたエリカはいつ言うのかなとルイの唇だけをじっとみた。


1-2分経っただろうか。

やっと何かを決めたような顔をしてルイは口を開いた。


「あのさ、エリカが神獣召喚をしたいなら教えてあげる。」


「え?」


「さっきミリスは患者がどうのとか言っていたけど、そもそも神殿に聖女見習いの数は5人だけじゃないし、中で選ばれた5人だけに犠牲を求めている気もする。正直神殿のやり方には色々な疑問がある。だからエリカが召喚したいならすればいい。神獣召喚をして治療できる患者の数が減って何か言われたら、ルイが教えたと言っておけばいい。」


「… 」


おほ〜何この状況?

教えてくれるなら私的には感謝だけど…でもルイも監視役としてきた人なわけでどこまで信用していいんだ?

しかも何か言われたら、ルイが教えたと言っていいということは…

このくらいのルールはルイの名をだせば、どうにかなるということなの?

えん?ルイって何者?ただの下級貴族じゃない?

もし味方に付いてくれるなら、私は大歓迎だよ!


何も言わず、考え込んでいるエリカをみて、余計なこと言ってしまったのかなと少し後悔をしたルイがまた話を始めた。


「え…と、違ったらいいや〜。初めて会った時からエリカって普通の聖女見習いと違って眼が生きているというか、それが…」


「ルイさんストップ!ストップ!教えてくれるなら、ありがたいけど…

その前になんで私にルール違反をさせようとするのですか?」


「エリカにルール違反をさせたいわけではなく、神殿のやり方に疑問を感じていると…」


「ストップ!ルイさんと私の間には信頼はみじんもないし、最初から監視役としてここにいます。でもこの前は監視役としてきたけど、護衛するだけだと言っていたし、ベアパ草が必要な時も探してくれました。今度は神獣召喚を教えてくると言っています。

ルイさんが何の目的があって、私を助けてくれるのかが分かりません。でもルイさんの秘密を一つ教えてくれるなら、私も一つ教えます。その後、お互いが信頼できるかを見極めて本当の目的を教えるでどうでしょう?」


「はぁーエリカ。本当に7歳なの?頭良すぎない?」


「どうしますか?」


「わかったよ。」


そこからはお互いの秘密を話した。

ルイ出生の秘密について、エリカは聖力についてだった。


「この国の隠れている第一王子だよ。私生児だから王子として認められていない。

しかも強い聖力のせいで剣として生きろと下級貴族の身分を作って子供の頃、神殿に送られた。これが僕の秘密。」


「わう〜王子様だったんですか?それはびっくり!」


「顔は全然びっくりした様子にみえないんだけど…まぁいいや。エリカは?」


「あ、信じてもらえないと思いますが、実は私、40歳のおばさんです!」


「はぁ?」


「一番でかい秘密を言ったのに!」


「そんな冗談、誰が信じるか?僕は本当に危険を承知して秘密を言ったんだ。」


「本当なのに!!私だけ秘密を二つ言うことになるなんて何か損した気分だけど…

実を言うと私は聖力をまだ使えます。」


「まだ使える?限界だと何人まで治療可能なのか?」


「それは知らないです。聖力が急に増加したのが分かった日は患者が34人だったかな?並んでいた全員を治療したのですが、その後、噂になったのか並んでいる患者はじわじわ増えて、監視役も付くし…だから40人程度に決めて治療しています。」


「なるほど、賢い選択だ。

僕が言うのもあれだけど、ルーベルさんは気を付けた方がいい。」


「???」


ルイさんと何が違うの?って顔をして頭を少し斜めにしてみてくるエリカに、ルイは続けて説明をしてくれた。


「ルーベルさん自身は優しいし、聖騎士として尊敬もできる人だ。でも彼は神殿のやり方を正しいと思っている。その為、神官長や上級貴族の命令には背けることができない。」


「あ〜そうなんですね。分かりました!ではそろそろ神獣召喚を教えてください〜

さっき言った通り聖力の限界は知りませんが、おそらく神獣召喚をしても患者の治療人数は同じくらい治療できると思うので、ルイさんから教えてもらったこともバレないようにします。へへへ~」


ニコニコ笑顔で話すエリカをみて、ルイは一瞬、自分は間違った選択をしたんじゃないかと少し不安になってしまった。大抵の話は聞き流すような態度に本当に理解しているのかの不安も重なっていた。しかし既にこぼれた水。

ルイは丁寧に召喚の方法を教えた。

床に召喚陣を描いて、その外側にエリカに片膝を床に跪かせた。

祈るように両手を合わせ、今エリカに必要なものを考えろと伝えたルイは召喚陣から離れた。


しばらく祈り続けると、召喚陣から可愛い赤っちゃん神獣が召喚された。


「エリカおめでとう。これで召喚契約終了だ。」


「えん?これは??」


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