憑依してた
ということでようやく物語は始まります
目が覚めた。何故か馬車の中だった。もしかして、迷惑かけちゃったかな。一緒に馬車に乗っている人に声をかける。
「あの…ごめんなさい、ご迷惑をおかけして」
「え、どうなさったのですか?お嬢様がそんなことを仰るなんて…あ、すみません!失礼なことを申し上げました!どうか折檻はご勘弁を!」
…?お嬢様?
「え、あの、折檻とかはしませんけど…お嬢様って…?」
「え?お嬢様、もしかしてさっき頭を打ったショックで混乱していらっしゃいますか?ミレイユお嬢様はミレイユお嬢様でしょう?…病院に寄りますか?」
ミレイユお嬢様!?誰!?
「さっき、馬車に子供が突っ込んできて、その反動でお嬢様は頭を打ったのですよ。迷惑な子供ですね。子供は死んだので、近所の教会の神父に引き取らせました。何か煩く言っていましたが、お金を握らせて黙らせましたのでご安心を。さあ、今日はもうお屋敷に帰りましょう」
どういうこと?…もしかして、私、なんでかはわからないけれどあの馬車に乗っていたお嬢様に憑依しちゃった!?
「えっと…あの…鏡とかないですか…?」
「え、ありますけれども…見るんですか?」
「は、はい」
「…どうぞ」
鏡の中には、不細工でぶくぶくと太った女の子。
「…おぉう」
あまりの醜さに思わず黙り込む。これは酷い。
「お嬢様…?大丈夫ですか…?」
「とりあえず…うん、帰りましょうか…」
今この姿で神父様やシスター、兄弟達に会ったところで、私の仇としか思われないだろうし…どうしようもないよね…。なにがどうなったらこうなるのかなぁ…。
私は馬車に揺られてお屋敷に連れて行かれる。そんな中で、いつのまにか寝てしまっていた。
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