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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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タカマガハラ

装甲騎兵の哀愁

作者: 桜桃露雨

辺境の植民惑星で日々起こるトラブルを武力で解決。

そんな装甲騎兵は見下されていた。

生き残る。ただそれだけで見下してきたエリートに復讐を遂げた主人公。


 連合宇宙軍に属する、装甲騎兵はコクーン()と呼ばれる防護幕を展開し衛星軌道から単独降下し敵防空網を先行破壊するのが任務だ。

 その為、生存率は非常に低い。大気圏突入時の衝撃に耐えきれずコクーンが破壊する可能性が2割、断熱圧縮が収まる前にコクーンが破壊される確率が2割。

 安全に着陸できる前にコクーンが破壊される確率が2割。残りの4割が迎撃される確率が6割…16%が地上にたどり着ける可能性がある。


 その為、装甲騎兵は通常の教育期間2年、勤務期間3年の任期制を取らず、降下任務24回達成で満期除隊になる。

 最大降下回数が月に2回と定められているため、基礎教育期間の3か月と合わせて最短で16か月で満期になる可能性がある。

 ただし俺の知る限り、装甲騎兵で満期除隊した者はいない。地球人や、国力の強い植民星の人間は絶対に装甲騎兵に配属されないのはそのせいだ。


 そんな装甲騎兵が好んで見るヴィジドラマに「最低野郎」と言うのがある、確か地球時代まだ宇宙に進出前の本国で作られたドラマが原点のリメイク作品だったと思う。

 そのドラマでも装甲騎兵らしきものに乗って戦う連中は最底辺扱いされてた。宇宙進出前に装甲騎兵なんてなかったはずなのにな。

 俺も調子に乗って、愛機の右肩だけを赤く塗っている。何度もリメイクされ、スピンオフも作られた名作だと俺たちは信じ何度も繰り返してみている。


 手柄はいつも、安全になってから安全な装備で降下してくる宙兵隊に与えられ、俺たちは存在すら認められていない。そういう言い方をすると、犯罪者や懲罰と思うだろうが宙兵隊のほうがよほど営倉に入れられた連中の集まりだ。


 装甲騎兵は全高4メートルで自重が6トン、宙兵隊の装甲服は全高2メートルで2トン。容積でおおよそ8倍ある俺たちの装甲騎兵がたった3倍の重さであることで気が付くだろう。そう、装甲が薄く作られている。

 装甲服が耐えられる銃撃であっさり大破するのが俺たち装甲騎兵だ。宙兵隊が突入し、制圧した地域の残敵掃討が本来の使い道じゃないかと俺は疑っている。


 宙兵隊は、装甲突入艇で安全に降りて降下手当が出るが、装甲騎兵はコクーンで強襲しても手当てが出ない不条理もある。

 どこの本国も、植民星と言う扱いを認めていないが選挙権・関税自主権・外交権・防衛権を剥奪され本国の重税をかけられた立場からすると植民星だと判断できる。

 俺の出身地は、本国がのんびりしているおかげで外交権と防衛権だけ本国が握っている形になっている

ほかの国なら防衛費負担を全額要求されるが、俺たちの本国は基地使用料や入国税の負担だけ要求している。本国が派遣してきた防衛艦隊を維持することに比べたら1割程度の負担で済んでいる。


 惑星連合は完全志願制度をうたっているが、兵員の供出人数のノルマが決められているから実質徴兵制度になっている。

 俺は徴兵されたのが18歳で、今は28歳…装甲騎兵の生存率を上げるために追加装甲をつけたのが官給品の不正改造とみなされ、任務の義務回数が延長され10年たってもまだ任期満了にならない。

 おかげで、実戦部隊の上官はだれもいなくなった。俺が最古参だしな、輸送船でふんぞり返る上官(ブタ)は居るが、降下作戦に参加しないから実戦部隊では俺が最上級指揮官になる。


 ある作戦の最中に、修理パーツが不足したため納品伝票をチェックしたところ俺たちが船内格納庫で整備中に俺たちの居る場所に納品された伝票が出てきた。

 艦長のサイン入りでだ。納品立会人のサインは不思議なことに、納品が必要になった作戦中に戦病死した需品部の将校で所属長が提督の親族だった。

 さかのぼって調査を続けると、部品庫にある予備部品と同じシリアルの部品が地球の訓練本部に在庫されてた。需品部の検定印があるはずの品質合格証がなぜかついていない。

 中央に調査依頼を複数のルートで出しておいた。そして降下作戦中に、惑星連合憲章に違反する「惑星への艦砲射撃」が連合軍の軍艦から降下中の連合軍に執拗に繰り返された。


 生き残りを集めて作戦を成功させたが、艦砲射撃中止と同時に作戦失敗を打電し、艦隊は撤退していた。恒星間通信の施設がない俺たちの任務は生き残ることに変わった。

 任務終了したのは、監察部の艦隊が訪れた3か月後のことだ。

・降下中の損耗:8割

・作戦での損耗:5分

・生き残るための損耗:1割2分

 生存したのはたった3パーセントの150人だけだった、あくまで生存したのはだ…生き残りのうち100人はまともな生活すら耐えられない姿で帰還した。30人は機械化しても軍務に耐えられないと判断され退役になった。俺は5割生き残った、へそから下が再生不可能な損傷を受け機械化された。


 俺たちの証言を嘘だとあがき続けた艦隊司令官(バカ)は、監察部による中央頭脳の解析でウソがばれ1級殺人罪と横領、そして反逆罪に問われ有罪になった。

 連座した親族によって俺は襲撃された、子供が作られない体にされた俺は迷わず…殲滅した。

 結果は、過剰行為とみなされ2級殺人で今は牢獄に入っている。俺に後悔はない!あるとすればバカの不正にもっと早く気が着けなかったことだろう。

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