一緒にいる嬉しさはいつまでも
「いくら、スズがルカちゃんと一緒に時を進めても、ほとんど本を書き終え、本棚も消えているのだから、もう遅い……」
アカリの腕から抜け出して、またページを書きはじめたヒカリ。だが、先程よりも書く速度は更に遅くなって、苛立ちはじめる。あと数行書いたら終わりというところで、また後ろからヒカリを抱きしめた
「アカリ……」
さっきまでの強い力とは違い優しく抱きしめるアカリに、ページを書くのを止めるヒカリ。ちょっとだけ体に寄せたアカリの顔を見ると、アカリが優しく微笑んでいた
「ヒカリ、ゴメンね。ヒカリの願い叶えたいけど、その願いは、私やルカちゃん、ユイさんにミナモ君、カグヤさんもみんな泣いちゃうから……。だから、ルカちゃんやスズさんにも手伝ってもらって、今からヒカリに私の願い叶えてもらおうかなって……」
「アカリの願い……」
二人が話しているとスズが二人を包むように抱きしめた。そして三人、ヒソヒソと秘密の会話を話しはじめる。アカリ達の後ろ姿をユイ達が不安そうに見ていると、すぐ側で、まだ本を書き進めていたルカが、力尽きてゆっくりと倒れてしまった。さっきよりも熱くなっている体を支えるルナ。そして、アカリとスズとの話が終わったのか、ルカ達の様子を見るヒカリの表情はどこか暗い。ゆっくりとアカリ達の方に振り向くと、優しく微笑み頷くアカリとスズ。ヒカリも小さく頷いて、本の姿に戻りページを書きはじめた
ヒカリがページを書きはじめると、本を書き進めていたルカのペースも早くなって、更に苦しそうなルカ。それでも最後のページをアカリとヒカリと一緒に書き終えた。ぐったりと倒れこむアカリとルカ。しばらくすると、消えかけていたヒカリの本棚が、少しずつもとに戻りはじめた。ヒカリの本棚の姿が、ユイ達の周りにも現れはじめた時、消えていたはずのリリがユイの前に現れた
「リリ!」
大声で駆け寄り、リリを力強く抱きしめるユイ。予想以上の強さで抱きしめて息苦しそうなリリ。離れようとしても離さないユイに、ふぅ。と微笑みため息ついて、頭を撫でた
「モナカ……」
「あらあら、ミナモ、泣いているの?泣き虫ね」
リリから少し遅れて、モナカもミナモの目の前に現れた。嬉しさで泣いているミナモを見て、クスッと笑っている
「カグヤ。ただいま」
アンズもカグヤの隣に現れると微笑みカグヤの頬に触れると、カグヤがアンズをそっと優しく抱きしめた
「……おかえり、アンズ」
アカリが書き終えたページが、ヒカリの本棚の隅にヒラヒラと飛んでいく。中身が空っぽになった本は、また新たな真っ白なページが加わり、アカリのもとに飛んでいく
「楽しい思い出も美味しいおやつも、たくさん貰わなかったら、消えちゃうからね」
本からネコの姿に変えて、アカリから顔を背けて話すヒカリ。ヒカリの言葉を聞いたアカリが頷いて、またぎゅっとヒカリを抱きしめるていると、部屋の外では騒がしい声と足音が、段々と部屋に近づいてくる音が聞こえてくる
「アカリ!ヒナタ!」
バタバタと大勢の本の管理人を引き連れ現れたノドカとミツキ。いるとは思っていなかった二人の登場に、アカリが驚いた顔をする
「お父さん、お兄ちゃん……。どうしてここに?」
「アカリ、無事でよかった……」
ノドカとミナモが元気そうなアカリを見て、ホッとしているとヒナタもアカリの側に来て、同じく元気そうなアカリの手をつかんで微笑んでいると、本の管理人がノドカの側に来て、何やら頷いて話をしている
「ここは、一旦出てアカリ達の手当てをしよう。聞きたい話は後で……」
「ルカ!」
アカリがノドカ達と話していると、ルカもページを書き終え、疲れた顔で座り込む。ルカの本もまた新しくページが加わり、本の姿のサクラが戻ってきたのを見て、泣き顔で抱きつくルナ。顔を赤く泣いているのを見て、ルカが笑う
「お母さん。泣きすぎだよ。大丈夫って言ったのに……」
「ごめんね。本当によかった……」
ルカの元気な声を聞いて、ホッとして泣き笑うルナ。サクラも本からネコの姿に変えて、二人の間に無理矢理入り、一緒に笑っている
「スズ……」
アカリがノドカ達と話していると、アカリから離れて本棚の周りをキョロキョロと見て回り、消えていったスズの姿をヒカリが探している。それに気づいたアカリが話しかけた
「……ヒカリ、泣いてるの?」
「泣いて……」
目を擦りごまかそうとするヒカリに、クスッと笑ってヒカリの両手をつかみ、ぎゅっと優しく抱きしめた
「帰ろうヒカリ。お家に帰って、一緒におやつ作って食べよう」




