ワガママな思いに意地悪を
「私の体も、もうすぐ消える……。スズ達の元にいけるのね」
本棚の前で書き進めていくヒカリ。ページはもう、最後のページの半分まで書き終えていた
「ヒカリ!消えないで!」
ヒカリが勝手に本を書き進め、倒れて動けないはずのアカリが突然、ヒカリを後ろから抱きしめた
「アカリ……どうして……」
「ヒカリこそ、私とずっと一緒にいるって言ったのに……」
動いているアカリに驚くヒカリを強く抱きしめてページを書かないようにするアカリ。それでも、ページを書くのは止められずにいた
「アカリ……ごめんね。でも私達、本という存在、本棚は消さないといけないの」
と、ヒカリがうつ向いて話していると、消えかけていたヒカリの本棚が突然、ピタリと止まり全く動かなくなった
「止まった……。どうして……」
辺りを見回し、部屋中にある本棚を見ても同じく消えそうだった本棚たちは、うっすらと本棚の姿を残し消えずにいる
「消えるなんて言わないで……。一緒にお家に帰って、ルカちゃんのおやつ食べよう」
「でも……」
「いつか居なくなるのが怖いなら、たくさん美味しいお菓子を食べて、楽しい思い出も、たくさん本も書いて、大嫌いになるくらい、毎日一緒にいるから……」
アカリの話に目を背け、本を書こうとうろたえるヒカリと、書かせまいと更に強く抱きしめるアカリ。二人じたばたと
「ずっと一緒にいるから、消えないで!」
アカリがヒカリに叫んでいると、バタンと突然、音が響いた。音のする方にアカリ達が目を向けると、ルカがサクラを抱いたまま床に倒れていた
「ルカ!」
「ご主人様!頑張って!」
ルナやサクラの声を聞き、ゆっくりと起き上がると、再び本を書き進めていくルカ。ルナがルカの体を支えようとするが、ルカの体も魔力の使いすぎで熱く触れられず、すぐに手を離してしまった。ルカに触れられず、落ち込むルナを見たヒナタがルナにそっと近寄り、一緒にアカリとルカの二人を静かに見守っていると、ユイやミナモ、カグヤも隣に来て、一緒にアカリ達の行方を見つめ祈っている
「ルカちゃん……。ユイにカグヤ、ミナモも……」
本棚の前で、アカリと一緒にルカ達の様子を見ていたヒカリがポツリと呟いた。そんな様子にスズがヒカリを見て、クスッと笑う
「ルカちゃん、ヒカリと私、ルカちゃんの本、みんなとずっと一緒にいること願っているの。でも、魔力が足りないから止まって動かないの」
ヒカリにそう話すと、アカリの側にいたスズが、また離れていく。ヒカリが追いかけようとするが、アカリがぎゅっと抱いて離れられず、どんどん離れて焦りだす
「待ってスズ!まだ話したいことが……」
ヒカリの声に振り向くスズ。アカリの腕の中で、じたばたするヒカリを見て、またクスッと笑うと今度はアカリの方を見る
「アカリちゃん、ヒカリをよろしくね」
スズの言葉に、頷くアカリ。それを見たスズも頷いて、今にもまた倒れそうなルカのもとに、ふわり浮いて向かっていく
「ルカちゃん、アカリちゃんとヒカリを守ってあげてね」
ルカの前に来ると笑って話しかけたスズ。ルカが小さく頷いていると、ルカに抱かれていたサクラが、ポンッとネコの姿に変えて、テンション高くルカとスズの間で、ピョンピョンと飛びはねる
「私も二人を守るよ。ご主人様と一緒に!」
もう体の半分以上消え、今にも消え去ろうな体でも、明るく話すサクラに、サクラの頭を撫でて微笑むスズ
「ありがとう。それじゃあ一緒に、ヒカリのワガママに意地悪しようか」




