いつかはみんな、きっとそう
「本棚を無くすってそんな事出来るわけ……」
「無理に決まっている。だから、ずっとあの本は誰も書ききれなかったんだ……」
ヒカリの願いを聞いたユイが驚きカグヤに話をしていると、カグヤは一歩ずつゆっくりと部屋の中へ入っていく
「だが、今その願いが叶いそうになっている……」
「アカリちゃん!しっかりして!」
意識が遠退いていくアカリに、体を揺すり起こそうとするルカ。だが、更にアカリの体が熱くなっているため、手を離しては触ってを繰り返している
「無理……苦しい……」
「アカリ!」
二人の様子に、部屋の入り口で見守っていたヒナタがアカリに駆け寄る
「お母さん……来てくれたの?大丈夫だから、泣かないで……」
笑ってごまかすアカリに、その熱い体を気にもせず、ヒナタはぎゅっと強く抱きしめると、嬉しさで微笑むアカリ。でも、すぐに、目を閉じ動かなくなった
「みなさん!新書の本棚が消えてしまいました!ここも危険です!早く避難を!」
ルカとヒナタがアカリを起こそうとしていると、本棚の管理人が慌てた様子で、部屋の入り口にいたルナ達に話しかける。ヒカリの部屋以外も見回してみると、少しずつ本が減っていくのに気づいた
「そんな……ヒナタ、止める方法はないの?」
ルナが叫び、ヒナタに問いかけても、ヒナタは小さく首を横に振る
「無理よ。力が強すぎる……私たちでは……」
「あーあ。やっぱり来たのね。ヒカリ」
突然、クスクスと笑い話す声が聞こえてきた。その声に驚き、ルカ達が声のする方に振り向くと、ヒカリを見つけて笑うスズの姿があった
「スズ!会いたかった!」
本の姿だったヒカリ。慌てて姿を変えてスズに抱きつく
「私もよ、ヒカリ。ほんと、姿も願いも変わらないね」
泣いているヒカリに微笑み、ぎゅっと抱きしめながら話すスズに、ヒカリが何度も頷いて返事をする
「もちろんよ。こんな無意味で悲しい思いをする本棚消すためなら私は……」
「どうして、そう思うの?アカリちゃんやルカちゃんと、毎日楽しそうに過ごしていたじゃない」
「でも、いつかは……」
アカリ達を見て、泣き顔から悲しい顔になるヒカリ。スズもこちらを見て不安そうに見ているルカに気づいて、小さく頭を下げ挨拶をして、ふふっと微笑むと、ヒカリにまた話しかける
「いつかはみんな居なくなっちゃう?本当に?」
スズの言葉に小さく頷いたヒカリ。それを見たスズが優しくヒカリを抱きしめた
「大丈夫よ。ずっと一緒にいるから、悲しい顔しないで」
「モナカ!消えないで!」
二人が話している間にも、モナカの体が少しずつ消えて、アカリも話す力もなく、ぐったりとした様子でヒナタに抱かれている。ユイもリリを抱いて、モナカの様子を不安そうに見ている
「リリ、モナカ……アカリ……。でも、私の願いは変えない。本が……本棚さえなければ、もう二度と会えない悲しみなんて……」




