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私の優しいお友達

「アカリちゃんの本を守る人?」

「そうよ。まあ正確に言えば、私が本だけどね」

 学校終わり、アカリの部屋に遊びに来たルカと一緒に、ヒカリが来た理由を、紅茶とお菓子を食べながら聞いていた

「これからは、アカリと共に本を書き込んでいくの。今はまだ、何も書いてないけれど、これからきっと素敵な本になっていくの」

「あれ?でも、夢の中じゃ……」

 アカリが夢の事を思い出していると、コンコンと部屋の扉を叩く音がする

「は、はい!」

 返事をしながら、ヒカリを背中の後ろに隠す。ガチャと扉が開いて、ミツキが部屋に入ってきた

「父さん帰ってきた。夕飯、何食べたいって」

「な、何でも良いよ……」

 ミツキの質問にあたふたと答えるアカリ。

「アカリのお兄さん、お邪魔してます」

 挨拶をしてペコリとルカが頭を下げると、ミツキも少し頭を下げると、パタンと静かに部屋の扉が閉じた


「……ふぅ」

 どうにか誤魔化しきれてアカリが大きくため息をついても、ヒカリは気にしていない様子。空になった自分のコップを見て、アカリに手渡す

「アカリ、紅茶がもう無いわ。おかわり頂ける?」

「……はいはい」

 ヒカリからコップを受け取って、紅茶を継ぎ足していると、ルカが紅茶を一口飲んで、ふと思い付いた質問をヒカリに問いかけた

「ねぇヒカリさん。その本が全部書き終えたら、どうなるの?」

「あら、それは聞いてほしくない質問ね」


 クスッと笑って答えるヒカリ。ちょっとだけ、うーんと悩んで、またクスッと笑う

「それは、秘密にしようかしら。一気に全部知っちゃったら、つまらないでしょ?」

「えー、なにそれ……」

 ヒカリのコップに紅茶を注ぎながら、ヒカリの話に不満げな返事をしていると、今度はルカが二人の雰囲気にクスッと微笑んでいる

「それよりアカリ。紅茶のおかわり、まだかしら?」

「はい、どうぞ」

 一旦ヒカリへの質問は終わり、アカリとルカの二人の話で盛り上がる。二人の側で話を聞いているヒカリも、はじめて聞く話も多く、興味深げに聞き入っている


 

「ルカちゃんね……。素敵なお友達ね」

 夕方まで話続けたアカリ達。部屋の窓辺からルカの見送りを見ていたヒカリ。見送りを終え部屋に戻ってきたアカリに、外を見たまま話しかける

「うん。小学校入ったときからのお友達でね。ルカちゃんは優しくてね、頭も良くて、お菓子作るのも上手なんだよ!」

「……そう」

 二人が話している間に、少しずつ外は暗くなり始めている

「ご飯食べてくる。待っててね」

 アカリが部屋を出てパタンと扉が閉まり、不敵に笑うヒカリ。外を見続け、一人言を呟いた

「優しいお友達ね……。アカリも優しい子よ。その優しさでずっと、本の灯火になるかしら」

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