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これくしょんブック  作者: シャオえる


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77/85

私の願いを叶えるために

「あれ?ルカちゃん?」

 ルカが家を出て大分過ぎた頃、目が覚めたアカリ。ルカがいないのに気づいて、少し寝ぼけつつもベットから降りて、うーんと背伸びをする

「リビングに行ったのかな?」

 と呟きながら、机にいたヒカリにも声をかける。まだ本の姿に、ちょっとムッと怒って顔になったアカリ

「ねぇ、ヒカリ。起きてる?」

 話しかけても、本のまま動かないヒカリ。アカリが、はぁ。とため息ついた時、ヒカリが本からいつものネコのような姿に変わって、ポツリと呟いた


「私は、スズだけじゃなく、たくさんの人達と本を書き続けていた……」

 急に重い雰囲気で語り始めたヒカリ。やっと話はじめたかと思えば、暗い声のヒカリに戸惑うアカリ

「えっ?どうしたの……?」

 そっとヒカリに触れると、突然アカリの部屋が、ぐらんと揺れた。揺れた勢いで、足元がよろけペタンと座り込む。そのままヒカリを抱いて、辺りをキョロキョロと見渡していると揺れが収まり、ゆっくりと立ち上がっていると、アカリの部屋にいたはずが、今、目の前に見えるのはヒカリの本棚。立ち上がるまでの一瞬にして、景色が変わっていた

「ここ……。ヒカリの本棚じゃ……どうして?」

 驚き慌てるアカリに抱かれていたヒカリが、またポツリと呟き、語りはじめた

「たくさんの人達と出会って別れて……書けなければ、二度と会えないと知ったの……」

 アカリから離れて本棚の前に立つヒカリ。そのヒカリが話した内容に、アカリがグッと息を飲む

「それでもみんな、私の願いを叶えるため書き進めてくれた……」

 振り返りアカリを見ながら叫ぶヒカリ。いつもと違うヒカリの様子に少しずつ後退りするアカリ。更にヒカリが怒り悲しむ声で叫び続ける

「けど……!誰も叶えられなかった!スズも!きっとアカリも」

「私も……でもヒカリの願い……私、知らないよ……」




「あれ?ユイさんからだ……」

 ルナと一緒にご飯を食べていたルカ。あまり来ないユイからの着信に不思議そうな顔をしていると、ルナの携帯も着信音が鳴った

「こっちもヒナタから電話が……」

 二人とも携帯を持って、不思議そうな顔をする。ルカが先に携帯の着信を取るとすぐ、人々の騒がしい声が聞こえてきた

「はい。ユイさん、どうしましたか?」

「ルカちゃん!今どこ!」

 ルカの声を聞くなり電話越しからユイが叫ぶ。その後ろでは、まだ騒がしい物音が聞こえている

「えっ?えっと……家でお母さんと会ってて……」

「大変なの!今すぐルナさんと本棚に来て!」

「……なにかあったんですか?」

 ルナもヒナタからの電話で険しい表情をしている。ユイとルナの様子から、ただ事ではない雰囲気を感じて戸惑うルカ。その間も電話口からユイから叫び声が聞こえている

「アカリとヒカリが……とにかくルカちゃん、急いで本棚に……!」

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