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これくしょんブック  作者: シャオえる


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75/85

悲しみ迷いは、温もりでほどいて

「もうページ少ないね……」

 スズの家から帰ってきた日の夜、今日はノドカとミツキは仕事のため、二人で夕御飯を食べている。ヒカリはあれから本から戻らず、ずっと塞ぎこんでいる

「誰も書き終えられなかったっていってたけど……」

 夕御飯を食べ終えたルカが、おやつのプリンを冷蔵庫から三人分取り出すと、リビングに移動して、アカリと一緒に食べ始める

「ヒカリ、おやつ食べないの?私とルカちゃんで食べちゃうよ……」

 とアカリが話しかけても、無反応なヒカリ。しばらくヒカリからの返事を待っても、ずっと本の姿のまま変わらず時間だけが過ぎていく


「ずっと無視だね……」

「もういい。ルカちゃん、食べちゃおう」

 アカリが怒った様子でヒカリの分のプリンを取り、ルカと半分にしても無反応なヒカリ。二人ともヒカリを見ながら食べていると話が途切れて、リビングが静かになった。沈黙が続くなかで、ルカがふとスズの家での出来事を思い出して、話はじめた


「スズさんでも書けなかったんだよね……」

 ヒカリを見ながらポツリと呟くルカ。アカリが小さく頷いて、ルカの話に返事をした

「うん……そう言っていたね」

「でも、どこまで書いたのかな?」

「そういえば、そうだね……。最後のページまで書いたのかな?」

 アカリがそう話すと、また静かになったリビング。そのまま無言で、おやつのプリンを食べ終えてしまった二人。結局ヒカリは戻らないまま、おやつの時間が終わってしまった

。アカリがカチャカチャと音をたてて、食器を片付けていると、突然ルカがアカリの手のつかんだ。食器を落としそうになって慌てるアカリに目もくれず、涙声のルカがアカリに叫ぶ


「アカリちゃん!やっぱり本を返そう!カグヤさん達に言えば今からでも、きっとどうにか……。スズさんのように、アカリちゃんも居なくなっちゃうかもしれないんだよ!私……私……」

「ルカちゃん、大丈夫だよ。心配しないで」

 ルカの心配をよそに、笑って話すアカリ。泣き顔のルカをぎゅっと抱きしめて、気持ちを落ち着かせようとする。だが、明るく話すアカリに、余計に泣いてしまうルカ

「どうしてそんな笑っていられるの?まだヒカリの願いだって分からないのに……」

「それはね……」

 と、ヒカリを持って椅子から立ち上がると、パラパラとページをめくりはじめたアカリ。慌ててルカがアカリの腕をつかんで止めようとする


「待って!書かないで!」

 止めるルカの声もむなしく、少しだけページを書いたアカリ。すると、二人の前にスズが現れて、二人に向かって微笑んでいる

「これはね、スズさんの思い出……」

 とアカリが話していると、スズがアカリを抱きしめた

「アカリちゃん……」

 ルカが心配そうに見ていると、アカリを抱きしめていたスズが少しずつ消えてく。いなくなると、まだ本のまま変わらないヒカリをぎゅっと抱きしめた

「ヒカリ、あなたの願い叶えるから……もう少し待っててね」

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