ずっと一緒にいると決めたから
「ここがヒカリの本棚……」
アカリが部屋の中へと入ると、ルカ達も後についで部屋の中へと入っていく
「何もないね……」
壁一面に本棚が埋め尽くされていた。だが、何にもない空っぽの本棚には、あちらこちらで埃がたまっている
「一度も最後まで書かれたことがないからね。仕方ないよ」
「でも、書いていた人はいたんですよね?それは……」
「一緒に消えていったわ。そんなもんよ」
ルカの疑問をあっさり答えるリリ。それぞれ思い思いにヒカリの部屋の中を見回っていく
「ここにヒカリはずっといたの……」
アカリが見つけたのは、部屋の真ん中にある大きな机。埃が溜まった机に、本があったであろう所には埃はなく、本の形をして綺麗に残っている
「久しぶりな気がするわね。まだ日はあまり過ぎていないのに……」
そのヒカリが寝ていたであろう場所にヒカリが立つと、突然ふわりと浮いて本に変わったヒカリ。そのまま降りたヒカリは、埃のないその場所に、埃も付かず本の形として綺麗に降りた
「アカリちゃん?どうしたの?」
ヒカリを見つめたまま動かないアカリに気づいたルカが、側に駆け寄り声をかける。返事をしないアカリに、慌ててユイ達を助けを求めた
「ユイさん!ミナモ君!」
だが、本棚を指差したまま動かない二人。そして、二人の間にいたリリとモナカも、険しい顔をしたまま止まっていた
「リリさんも……モナカさんも……」
一人残され、どうしようかとユイ達の側に近寄り、あたふたするルカ。その時、聞き覚えのある声が部屋の中に響いた
「曾祖母も、時間の魔法が得意だと聞いていた」
聞こえてきた声に驚いて振り返ると、機嫌の悪そうな顔のカグヤが部屋の中に入ってきた
「カグヤさん……あの……」
ルカの声を無視してアカリの側まで来ると、そっと頬を触った。まばたきもせず無反応のアカリ。その様子にカグヤも無表情でアカリを見つめる
「何を見ているかは分からんが、これ以上深入りすると危険だ」
「危険……。それじゃあアカリちゃんを助けなきゃ……!」
カグヤの言葉を聞いて叫ぶルカ。その時、ガラガラと建物が崩れる音と共に、ユイ達が再び動き出した
「あれ?カグヤ、いつからいたの?」
一緒に来ていないはずのカグヤがいて不思議そうに聞くユイ。
「もしかして、アカリが……」
リリがアカリの方を向いた時、本から姿を変えてふわりと浮いて部屋の奥へと向かってくヒカリ
「ヒカリ!アカリに何かしたの?」
「いいえ、私は何も……」
ヒカリが小声で返事をした時、バタンッと大きな音が部屋に響いた
「アカリちゃん!」
床に倒れているアカリに慌てて駆け寄るルカ。ユイやリリも駆け寄って、アカリの体の状態の確認をはじめる
「僕、救護を呼んでくる!」
ミナモとモナカが慌てて部屋を出ようとした時、カグヤがガシッと腕を強くつかんで、ミナモの足を止めた
「……ページは新しく書いていないのはずだ。それでも倒れたというのなら、もう書き続けるのは無理だろう。早々に離れるべきだな」
とアカリを見ながら話すカグヤ。その言葉でみんな黙ってしまった
「……いえ、私はヒカリとずっと一緒にいます」
とカグヤに反論しながら、ゆっくりと体を起こすアカリ。支えるルカの心配をよそに、アカリは立ち上がるとすぐヒカリの所へ歩いていく
「アカリ……でも……」
その言葉に嬉しくてもアカリから目を背けるヒカリ。ゆっくりと歩いて、ヒカリの所に着いたアカリが手を広げてヒカリを呼ぶ
「……ヒカリ、帰ってきて」
と言われても動かないヒカリ。そんな二人の様子をルカ達は無言で見守っている
「無理よ……やっぱり私には……」
「大丈夫だよ。ヒカリ、帰ってきて。ねっ」
手を広げてずっと待っているアカリの姿を見て、ゆっくりと戻っていく。側に来たヒカリをアカリは優しい笑顔で迎えて、両手で優しくぎゅっと抱きしめ
「ヒカリの願い、私が叶えます。スズさんの願いでもあるから」




