悲しみと戸惑いの朝
「うーん……」
朝、寝返りをうつアカリ。横を向いたとき、ふと顔に気配を感じて、うっすら目を開けると、ニコニコと笑いながらじーっと見つめるヒナタがいた
「お、あ母さん!」
驚いて飛び起きるアカリ。突然聞こえた大声に、隣で寝ていたルカも目が覚めた様子
「おはよう、二人とも。起きないと遅刻するよ」
ニコニコと笑ったまま話すヒナタ。二人が起きたのを見て、部屋の扉を開ける
「う、うん……準備するよ」
「朝ごはん出来てるからね。早く来てね」
「ところでアカリ。私、もう帰らなきゃいけないんだけど……」
登校の準備を終えて、キッチンでみんなで朝ごはんを食べていると、帰ることをヒナタがアカリに伝える
「えっ?もう?」
「ゴメンね。すぐ帰れるようにするし、連絡もするから」
ヒナタの言葉に小さくうなずいて、朝ごはんをまた食べはじめるアカリ。明るかった朝ごはんの時間が、ほんの少しだけ静かになった
「アカリちゃん、大丈夫?」
登校途中、足取り重く歩いているアカリに、ルカが心配そうに声をかけた
「うん……。すぐ帰っちゃうんだよね」
「ゴメンね。お母さんの荷物、急ぎで持ってきてほしいらしくて……」
しょんぼりしているアカリに、ルカも同じく落ち込みはじめた。そんなルカを見て、アカリが慌てて立ち止まりルカの手をとり、ぎゅっとつかんだ
「でも私、帰ってきてくれただけ嬉しいから」
と話すアカリに、困った様子で苦笑いするルカ。そのルカの表現を見ていると、アカリがふと昨晩のことを思い出した
「そういえば、ルカちゃん、私に何か話そうとしてたよね?」
「えっ?そ、そうだっけ?」
「うん、なんの話?」
「えーと……えーっとね……」
アカリの話に答えれず、二人見つめあって動かないまま。しばらくすると、突然ルカが、つないでいたままだったアカリの手をグイッと引っ張って、走りはじめた
「それより、アカリちゃん、遅刻するよ。早く行こう」
「えっ?アカリを本棚に?」
その頃、朝ごはんを食べてたユイが、大声をあげ驚いた表情で電話をしていた。隣で一緒に食べていたミナモもユイの大声に驚いている
「そう。ヒナタが見せてみようって。ルカちゃんも一緒に」
「連れてくのはいいけど、大丈夫なの?」
と話ながら朝ごはんのメロンパンを一口かじり、またユラと話を進めてくユイ。あれこれとユラとユイが電話で話している間に、先に朝ごはんを食べ終えたミナモが食器を片付ける音が、電話越しからユラにも聞こえている
「許可は取るって言ってたから、大丈夫と思うよ。それじゃあ、今日にでも二人を連れていってね」




