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これくしょんブック  作者: シャオえる


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44/85

時を止めても、思いは強く

「アカリ、ルカ。引っ越し準備進んでる?」

 お昼休みに、教室でのんびりしていると、クラスメイト数名が二人に声をかけてきた

「なんとか進んでるよー」

「アカリちゃんのお陰で、大分終わって、もう少しかな?」

 二人の机の側に来て話始めるクラスメイト達。すると、アカリの机に広げている教科書に気づく

「そっか。でも、二人とも休んでた所の授業わかる?」

「うーん。ちょっと解んなくて……。授業進むのちょっと待ってーって思ったよ……」


 苦笑いで答えていると、突然、不思議な雰囲気になったのに気がつく。キョロキョロと教室内を見渡すと、隣にいたはずの友達も、クラスにいた人達も、みんないなくなっていた

「あれ?みんな……どこいったの?」

 呆然としていると、カタンと隣から音が聞こえてきた

「アカリちゃん……」

 辺りを見渡しながら不安そうな表情でアカリの服をつかむルカ。アカリがルカの手をつかんで、静寂な教室の中、二人の会話だけが聞こえている

「ルカちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫。けど……」


 二人何が起きているのか分からず、その場から動けずにいると、アカリの鞄で寝ていたヒカリが突然、アカリの前に出てきた

「ヒカリ、出てきちゃダメだよ……」

 と話すアカリの言葉に返事をせず、ふわりと浮き本の姿になって、パラパラと勢いよくページを書き始めた

「えっ?急に……どうして?止まって!」

 意図しないヒカリの行動に、戸惑うアカリ。止めようと慌ててヒカリを触ると、両手に本を持ってその書き進めていくのを見つめたまま、動かなくなったアカリ。その様子を隣で見ていたルカ。何が起きているのか分からず、大丈夫なのかと思い、そっとアカリに触れようとした時、それを阻むかのように、どこからともなく声が聞こえてきた


「時間を操る魔法は、多大な体力と魔力がいる」

 突然聞こえてきたその声のする方に、振り向くルカ。教室の窓から、空に浮いてこちらを見ているカグヤがいた

「カグヤさん!アカリちゃんが!」

 窓から顔を出して、カグヤに助けを求め叫ぶルカ。だが、カグヤは動くことなく、本を見つめたまま動かないアカリの様子を見たあと、ゆっくりと教室の方へと歩きだした


「無駄だ。時間の魔法が発動し、書き始めたら止められない。止めるとしても、必要な魔力が膨大すぎる」

「でも……でもっ!」

 そうしている間も、パラパラと書き進めていくヒカリとそれを見ているアカリ。それを気にして振り返り、あたふたしているルカのすぐ側までカグヤが来ていた

「それよりも、なぜ今、動いている」

 とルカに向かって話すカグヤ。その言葉にるかが恐る恐る振り返る

「私……ですか?」

「そうだ。ユイやミナモもいない今、なぜ私と話をしている?」

「……えっ?」

 カグヤの質問に返事ができず、ルカとカグヤが見合っていると、パラッ……と本を書き終えた音と共に、騒がしかった教室に少しずつ戻っていく



「あれ?二人ともどうしたの?」

 騒がしさが元に戻って、さっきまで椅子に座っていたはずのアカリがボーッと立って、その隣にいたはずのルカは窓のところにいて、不思議がるクラスメイト達

「アカリちゃん!」

 急いで走って駆け寄り抱きつくルカ。動じることなく少しうつむいて立ったままのアカリ。いつの間にか、鞄の中に戻っていたヒカリに気づいて、ゆっくりと鞄の方に目を向け呟いた

「……あれは夢……だったの?」

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