時を止めても、思いは強く
「アカリ、ルカ。引っ越し準備進んでる?」
お昼休みに、教室でのんびりしていると、クラスメイト数名が二人に声をかけてきた
「なんとか進んでるよー」
「アカリちゃんのお陰で、大分終わって、もう少しかな?」
二人の机の側に来て話始めるクラスメイト達。すると、アカリの机に広げている教科書に気づく
「そっか。でも、二人とも休んでた所の授業わかる?」
「うーん。ちょっと解んなくて……。授業進むのちょっと待ってーって思ったよ……」
苦笑いで答えていると、突然、不思議な雰囲気になったのに気がつく。キョロキョロと教室内を見渡すと、隣にいたはずの友達も、クラスにいた人達も、みんないなくなっていた
「あれ?みんな……どこいったの?」
呆然としていると、カタンと隣から音が聞こえてきた
「アカリちゃん……」
辺りを見渡しながら不安そうな表情でアカリの服をつかむルカ。アカリがルカの手をつかんで、静寂な教室の中、二人の会話だけが聞こえている
「ルカちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫。けど……」
二人何が起きているのか分からず、その場から動けずにいると、アカリの鞄で寝ていたヒカリが突然、アカリの前に出てきた
「ヒカリ、出てきちゃダメだよ……」
と話すアカリの言葉に返事をせず、ふわりと浮き本の姿になって、パラパラと勢いよくページを書き始めた
「えっ?急に……どうして?止まって!」
意図しないヒカリの行動に、戸惑うアカリ。止めようと慌ててヒカリを触ると、両手に本を持ってその書き進めていくのを見つめたまま、動かなくなったアカリ。その様子を隣で見ていたルカ。何が起きているのか分からず、大丈夫なのかと思い、そっとアカリに触れようとした時、それを阻むかのように、どこからともなく声が聞こえてきた
「時間を操る魔法は、多大な体力と魔力がいる」
突然聞こえてきたその声のする方に、振り向くルカ。教室の窓から、空に浮いてこちらを見ているカグヤがいた
「カグヤさん!アカリちゃんが!」
窓から顔を出して、カグヤに助けを求め叫ぶルカ。だが、カグヤは動くことなく、本を見つめたまま動かないアカリの様子を見たあと、ゆっくりと教室の方へと歩きだした
「無駄だ。時間の魔法が発動し、書き始めたら止められない。止めるとしても、必要な魔力が膨大すぎる」
「でも……でもっ!」
そうしている間も、パラパラと書き進めていくヒカリとそれを見ているアカリ。それを気にして振り返り、あたふたしているルカのすぐ側までカグヤが来ていた
「それよりも、なぜ今、動いている」
とルカに向かって話すカグヤ。その言葉にるかが恐る恐る振り返る
「私……ですか?」
「そうだ。ユイやミナモもいない今、なぜ私と話をしている?」
「……えっ?」
カグヤの質問に返事ができず、ルカとカグヤが見合っていると、パラッ……と本を書き終えた音と共に、騒がしかった教室に少しずつ戻っていく
「あれ?二人ともどうしたの?」
騒がしさが元に戻って、さっきまで椅子に座っていたはずのアカリがボーッと立って、その隣にいたはずのルカは窓のところにいて、不思議がるクラスメイト達
「アカリちゃん!」
急いで走って駆け寄り抱きつくルカ。動じることなく少しうつむいて立ったままのアカリ。いつの間にか、鞄の中に戻っていたヒカリに気づいて、ゆっくりと鞄の方に目を向け呟いた
「……あれは夢……だったの?」




