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名前を呼んで

「疲れたー」

 ルカと学校帰りに、あっちこっち寄り道して、ご機嫌で帰宅したアカリ。部屋に入ってすぐ、ベットにゴロゴロと横になったり、背伸びをしたりして、ちょっとだけ疲れをとってると、枕元に置きっぱなしだった本を思い出して、ガバッと体を起こす

「あっ、あの本!」

 慌てて枕元を見ると、本がポツンと置かれていた

「まだある……」

 本を手に取ると机に置いて、パラパラとページをめくる

「やっぱり何も書かれてない……」

 ページに触れても、何も起きないまま。本を何度もめくっては戻ってを繰り返していると、一階にあるリビングから、アカリを呼ぶ声が聞こえてきた


「アカリ!夕御飯!」

「あ、はい!」

 兄の呼ぶ声に、本を机に置いて慌てて着替えて、リビングへと向かうアカリ

「お父さん、また出張なんだよね……」

 リビングに着くと、もう夕御飯の準備がされていたテーブル。話をしながら椅子に座ると、カタンと音をたてて兄も向かいに座って、一緒に夕御飯

「あまり、父さんを心配させるなよ。アカリが落ち込んでいるって連絡きた」

「ごめんなさい……」

 しょんぼりするアカリを見て、ふぅ。とため息つくと、ご飯を一口、二口と食べていく

「さっさと食って寝ろ。あまり、嫌なことは背負い込むな」

「……うん。ありがとう」





「まただ……」

 気がつくと目の前は真っ暗。アカリは動くことなく真っ暗と分かっていても、キョロキョロと辺りを見渡している

「アカリ、どうして呼んでくれないの?私は待っているのに……」

 悲しい声でアカリに問いかける。

「名前、つけてくれたでしょ?だから、早く呼んで!」

 大声でハッと目が覚める。ゆっくりとベットから降りて、机に置きっぱなしだった本の元へいくと、手に取り月明かりでほんのり見える本に向かって呟いた

「この本の名前……」 

 夢の中で言われたことと、考えた名前を思い出す


「……ヒカリ」

 と、また本に向かってアカリが呟いた瞬間、突然本がパラパラとページが光り動き出す。驚いて本を落としてしまうアカリ。コツンと本が床に落ちる音が響く

「やっと呼んでくれたのね、アカリ」

 本から溢れ出ていた光が消えて、現れたのはネコのぬいぐるみのような不思議なもの。うーんと一つ背伸びをして、ふぅ。とため息もついた

「やっぱり本よりかは楽ね」

 機嫌のよさそうな反応に、呆然とするアカリ。ふわり浮いて机のもとに戻ると、またふぅ。とため息をつく

「本が……喋った……?あれ?でも姿が……ネコ?」

「そうね。ネコなんて、なかなかのセンスね。ウサギよりかは私に合うかしらね」

 アカリの戸惑いも気にせず、相変わらず機嫌のいい返事で、本から変わった姿を確認している


「あのー……ヒカリさん?」

 アカリの何度かの問いかけに、やっと気がついたヒカリ。

ふわりと浮いて、アカリの所に近寄ってく

「改めまして……」

 アカリの方を向き直して微笑むと、ちょっとだけ雰囲気が変わった感じがして、また戸惑うアカリにペコリと頭を下げた

「アカリ。これから、よろしくね」

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