行く手を阻む微笑み
「それじゃあ行ってきます」
明朝、今日もルカの家へ行くため、玄関先で声をかけるアカリとルカ。ノドカも玄関の外まで出てきて、二人の見送りをする
「お昼は、ルカちゃんのお家で食べるんだよね?」
「うん。二人で作るよ。オムライス作ろうかなって。ねっ」
と話ながら、アカリがルカに微笑むと、ルカも頷いて微笑む
「そっか。火には気をつけるんだよ」
二人の元気そうな様子にノドカも微笑み、二人仲良くルカの家へ向かってく。そんな二人の後ろ姿を見届けたあとも、ノドカは家の中に戻ることなく、空を見上げていた
「ねぇ、ルカちゃん。おやつどうする?」
「今日は、プリンにしようかなって思っているけど……」
ノドカの様子に気づくことなく歩き続けている二人。アカリの質問に答えたルカの言葉を聞いて、鞄に隠れていたヒカリが出てきて、ちょこんとアカリの肩に乗る
「私、固めのプリンが良いな!」
「あら、私は柔らかめが好きよ」
三人楽しく話ながら歩いている姿を、不穏な影がアカリ達のすぐそばで見ていた
「……いた。あの本」
アカリの家から、ほんの少し離れた空の上から、三人の姿を見てポツリと呟く人影。アカリ達を後を追おうとした時、グッと何かに足を止められた
「ちょっとすみません。アカリに何かご用でしようか」
ニコニコと微笑み、右手には本を広げ声をかけるノドカ。足元を見ると、木の枝が足に絡まり歩を止めていた
「その本には用はないが……」
「僕はあなたに用があるんです。ちょっと話しませんか?」
ノドカが持つ本を見ながら不機嫌気味に答えると、ニコニコと微笑み話し返すノドカ。そうこう話をしている間にアカリ達を見失ってしまい、ノドカを睨みつける
「そう睨まないでよ。カグヤ君」
「覚えてなくても仕方ないか。最期に会った時は、とても小さかったから」
と言うと、カグヤの行く手を阻めていた木の枝を消し、無言でノドカの話を聞くカグヤに向かってまた声をかける
「あの本は、アカリのペースで書いてほしいんだ。だから、あまり邪魔しないでもらえると、助かるんだけど……」
話を聞きながら、ノドカの方を振り向くカグヤ。機嫌の悪さを隠さずに、少しずつノドカに近寄っていく
「邪魔をしているのは、そっちだが……」
「うーん。そうかなぁ……」
ニコニコと変わらない表情のノドカに、更に機嫌が悪くなってく
「……あの本を潰すなら、私が先だ」
ポンッと本を出して、ノドカの表情が見えるほどの距離まで近寄ってく。カグヤの行動に、ノドカがちょっと困った表情をして、またすぐニコニコと笑う
「困ったなぁ……仕方ないか。お手柔らかにお願いしますよ」




