秘密の会話
「これを混ぜればいいの?」
「うん。その間にオーブンを温めて……」
ユイの家のキッチンで、アカリとルカが仲良く何かを作っている。料理をするよう提案したユイは、すぐそばのリビングから二人の後ろ姿を楽しそうに見ていた
「ヒカリ……アカリから早く離れなさい」
三人が楽しそうに過ごしている頃、ユイの部屋に残っていたヒカリとリリが、何やら言い争っていた
「いやよ。この世界を気に入っているし、アカリだって強い力があるもの」
リリの忠告を軽く受け流すヒカリの態度に、リリが少し怒った顔になっていた
「だからと言ってあの子を巻き込むのは止めなさい」
ヒカリに怒り、話ながらヒカリに近寄ってくリリ。話す言葉が少しずつ大きく苛立った声になっていく
「数十年眠り続けて忘れているの?あなたは……」
「誰も書き終えたことがない。そして、ページが書き進むほど力が足りず書けなくなった人達……。みんな魔力に耐えられず、魔術が暴走し消えてしまった」
「そうよ!あの子はたった数ページ書いただけで眠り続けた。これ以上は……」
「大丈夫よ。日に日に強くなっているのも分かるし」
リリの心配も、余裕の笑みを浮かべて話すアカリに、グッと手に力を込めて怒りを押さえ込む
「……管理人には、何も言われないの?あなたの事は、知っているんでしょう?」
「今のところは何もね。それに離れようにもお互いが望まなくちゃいけないし」
「アカリの家の結界はアカリが暴走をした時、アカリを……人々を守るために張られている」
「そうね。優しい思いが感じる結界と思うわ」
淡々とリリの話に答えるヒカリ。怒る気持ちを落ち着かせようと、一旦話を止めてお茶を一口飲んで、ふぅ。と一息ついた
「……ルカちゃん、一緒に住むのよね」
「それは、私の願いじゃないわ」
「ちょっと……!」
「リリ!おまたせ!二人特製のスコーンと、甘々ココア出来たよ」
二人の話を遮るように、部屋の扉を勢いよく開けて入ってきたユイ。だが、不穏な雰囲気を感じて部屋に入ることなく、入り口で立ち止まる
「リリ……どうした?」
「……なんでもない」
ユイの後を追うようにココアを持ってきたアカリとルカも、部屋に来てユイの後ろで、部屋に入らないユイに不思議そうな顔をしている。動かないリリに対し、ユイが持っているスコーンを見て、ふわりと近寄ってスコーンを一個、手に取った
「昔話をしていただけよ。そんなことより、その美味しそうなスコーンとやら頂いてみましょ」




