プロローグ1
暴力的な内容が含まれている為、苦手な方はご遠慮下さい
歪んだ愛情と依存…DVの実体験本当は私を繋ぐ鎖なんて存在しなかったのかもしれない…
ただあなたの一瞬の優しさにすがりついていただけなのかもしれない…
たった5ヶ月…
彼と過ごした期間はたった5ヶ月だった
「それ」
が始まったのは付き合い始めて一ヵ月過ぎた頃だった。
ほんの些細なきっかけで彼は豹変した
頬が腫れ上がる程の平手の原因は
「私の仕事が終わるのが10分遅かったから」
だった腫れ上がった頬を抑えて私は呆然とした
(なんで?なんでそんな事で殴られるわけ?意味がまったくわかんない…)
ただただ頭の中を整理する事に専念した
自分に過失があるのか、殴られたのは現実なのか…そんなことを思いながらふいに彼を見ると、先程までの興奮し怒りをむき出しにした彼の表情はどこにもなかった。
かわりにあったのは、自分の右手をじっと見つめ、青ざめた彼の今にも消えてしまいそうな表情だった
「ごめん…ごめんリナ…俺…ほんとにリナに早く会いたかったから…」 潤んだ瞳で呟いた。
「だからって手を上げるとかって…アリなの?」私の手は怒りと恐怖で震えていた。
(…恐い…でも…遅れたのは事実だし…でも殴るとかは…)
トオルは涙を流して私の頬に触れようとした。
ビクッ
私の身体が強張った。
トオルは悲しそうな顔をしながら言った
「そうだよね…恐いよね…本当に…本当にごめん…ただリナの事が好きなだけなのに、好き過ぎて不安で不安でしょうがなくて…ごめん…ごめん…」
涙ひボロボロと落として自らの手に爪をたてる。見ていられず、私が止める
「遅れてごめんね。私が遅れてしまったから怒ったんだよね…」
トオルの手を握って謝ると強く握り返し、私を抱き締めてトオルは泣き崩れた。
「愛してる…愛してる…リナを愛してるよ…」 泣きながら囁く愛の言葉を私はただ聞いていた。