世界管理者の回想
勢いだけで書いてしまった……
こんな所に足を運んでくださった方々、生ぬるい目で呼んでいただければ幸いです。
しかし書いてみて……難しい物ですね、文才くださいw
読み専だったのですが、書いてみて改めて作家さんたちに敬意を!
白い壁で囲まれた部屋に手と足をベルトの様な物で拘束されている女性。彼女が見つめるモニターは、この部屋に唯一置かれている物だったりする。
画面には一人の男が武装した者達と共に、沢山の人々を誘導する場面が映されている。
「どうしてこうなったの、何処で一体まちがえたの……」
彼女は呪詛するように呟くだけで、一日過ごすしかなかった。
彼女がこうなった理由、始まりは嫉妬だった。
師の下で、もう一人の弟子と共に試験。彼女には絶対の自信があった。もう一人よりも自分のほうが優秀だと、何においても相手は多少抜けている部分があるから必ず自分が選ばれるはず。
そう確信していたが、師の発言で全てが砕けた。
「お前には足りないものがある、よって今回の試しは……」
途中から師が何を言っているのかすら認識できず、唯々その場をやり過ごすしかなかった。
弟子の卒業と共に渡される修了の証しを睨む様に見詰め……私ならソレを、もう一人よりも上手く扱えると口の中で繰り返した。
修了の証しと呼ばれている物、正確には――生命の種または世界の種と呼ばれる物であり、証しを受け取った卒業者は、新しい星に命を与え管理して行く事になる。
新たに管理者と成った者は長い年月を掛けて世界に、星に、自分達に必要なものを作り出していく。
管理者とは星の管理だけでなく、数多ある世界の楔(楔が破られてしまったら世界の融合・分解等が始まり最終的には周囲の世界を巻き込み消滅してしまう)を守ること、彼らに属する者の食(生命等の生や死の循環や人の祈り・感情で生まれるエネルギー、魂とは別物)の確保をする事。やってる事は、人々が想う神そのもの。
彼女は神である事、祈りを捧げられる事に過度な憧れを抱いていた……抱いてしまった。
故に、もう一人が選ばれたことに憤りを感じ、ある計画を立て実行した。
彼女の計画は言葉にしたら簡単な物で、自分に足らない物を知る為と言う理由で、もう一人の手伝いをする。そして、機を見て全て奪う。それだけ、それだけだが……ソレには莫大な月日が必要だった。
最初は上手く行った、師を騙しもう一人の単純さに付け込み、計画を少しずつ進める。星に文明が生まれ国が栄えて行き宗教が確立した時……彼女は隠していた刃を抜いた。
手始めに、もう一人を監禁(監禁以外の方法だと、師や他の管理者にばれる可能性がある為)する。次に特定の国に啓示を与え自分を神とした宗教を創る。次に他国や異種族に対して魔なる者・異教徒と言い、扇動し戦争を仕掛けた。
当たり前だが、他の国も反撃をする。新しい武器を造り、同盟を組んだ。
総戦力は当然だが同盟軍の方が多い……が、彼らが信仰する神は監禁されており、彼女を信仰する国は簒奪者とはいえ、管理者もとい神の祝福があった。結果は戦場が拮抗した。
この状態も想定内だったのだろう、もう一手用意されていたカードを切る。コレが彼女の首を絞める事になると知らずに。
――異世界人召喚術。管理者達の中でも忘れ去られ封印されていた術。
彼女が之を発見した時、切り札になると喜んだ……封印され忘れらされた理由も考えずに。
啓示を行ない術式を国に伝授する。新しい切り札に人々は国を挙げて召喚を行った。そして呼ばれた異界の学生たち。
学生の一人が王の話を聞き奮起する……が、そこにもう一人が水を差す。
激しい言い合いの結果、学生が結束が割れ数人の学生が国を後にした。
彼女からしたら取るに足らない事であり、出て行った学生達は残った者よりも武力が無い。
衛兵が追って始末するか、魔物に喰われるだろうと放置した、放置してしまった。
ある学生が行動を起こす、自分の世界に帰る為に。
何処から知ったのか、監禁していたもう一人の救出、他国や異種族人の安全の確保、極め付けはとんでもなかった。
――魔力と生命の種による、管理者が居ない星のテラフォーミング。
完全な惑星の再現、生命体の移住、全てが迅速に行われ彼女の計画は頓挫した。そうして残ったものは、彼女の王国と魔物や魔獣、それと国に残った異世界人。
ある意味彼女の計画は達成されたのだろう……望まぬ状況ではあるが。
当然これで終わりではない、救出されたもう一人は、管理者を管理する者と師に報告。彼女は彼らに捕縛され、もう一人が監禁されていた場所に封じられた。
彼女の罰は監禁状態でモニターに映される星と人々の末路を見みた後、星の寿命が尽きたら漆黒の世界に封じられる事になる。
時間も判らず、自分すら分からなくなる世界……管理者の罰の中でも一番重い罰、この刑が選ばれるほどに異世界人召喚は禁忌とされている。
「どうしてこうなったの、何処で一体まちがえたの……」
今日も又その言葉を呟く、国から出る学生を放置した事、異世界人を召喚した事、もう一人を監禁した事等々ぐるぐると思考が回るが答えが見付けられない。
画面には、魔物に止めを刺した男が疲れた表情をしている。
世界はもう手の施しようが無い所まで来ているのだろう。
残った人々は疲れ果て、砂漠化が急速に進み、瘴気による魔物や魔獣の凶暴化……星の寿命が尽きようとしていると言っても過言ではない。
彼女が漆黒の世界に封じられるのは遠くない未来だろう、願わくば彼女が速やかに発狂せん事を……
「ん?私は誰だって?……私は嘗て、管理者で沢山の弟子を育て、最後の最後で育成に失敗した者だよ」