象徴詩『ミライ調合』
雌鳥の脳を煮てある大窯
牝猫の脳を食べる魔法
灯台草のバター炒め
老い耄れ牛のコンソメ
占星術師がする巨視的催吐が薔薇水 垢水
預言の書となり万人に読まれる
安楽思考に這える昇汞キノコの味
膿瘍を作る榾
瘢痕形成する感電指輪の絞まり
鶏冠石の粉を軸に巻き
ヒステリシスで再生する明日の目覚め
反対者の蒸溜した血で濡らし
温かい馬の腹に入る
赤い多形性劇場の観覧席は紫斑が満員
偉人の二重奇形性器が見世物
屋根裏脳室のソラマメ
マリウス・プティパは漕役刑を模した躍り
眼球に水晶の痂皮はキラキラ
豚の臓物を焼きアヒサン森
メクラ魚を撃ちにピクニック
洞窟内に毒銃傷の焼灼 ヒキツリ
瘴壁を抜けて跳ねるゴム卵が孵る
白首を結紮する握力は脱生命素酵素
古びた蠅帳に死の分子を二匹飼う
青銅の夜に海兎を見た
証書印の朱色
不具演技のシクストゥス
高らかにテ・デウムを歌う衰弱の肉
落とした杖で払う