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凶星戦士  作者: チート野郎o(`▽´)o
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第18話 ダンジョン脱出後

統夜が地上に戻ると、もう夜だった。


とりあえず休憩地点にある休憩所に向かった。




中に入ると、ロビーにはリリネアやイリヤ、ガリスといった、昨日助けたメンバーがいた。



「トウヤ、無事だったのか」


ガリスが言った。表情からして、あまり心配はしてなかったようだ。


「トウヤさん!」


イリヤには飛びつかれた。リリネアのギョッとした視線が少し痛い。


「……無事だったのね。ありがとう。イリヤを助けてくれて」


「ああ」


イリヤに抱きつかれたまま、統夜は応えた。



そんなこんなでいろいろと騒がしくなったが、統夜は疲れていたので、早めに切り上げて部屋をとり、休むことにした。


イリヤとのフレンド登録は、明日、ここにあるギルド出張所にて行う。その約束を聞いたとき、イリヤは妙に嬉しそうだった。





部屋で、統夜はマジックポーチに入れてあった2本の剣とフォルネウス、黒いコートを出す。


剣については説明することは何もないだろう。




黒いコートは、魔術回路を仕込まれていた。それにより、魔法ダメージ軽減と、物流ダメージ軽減が付与されていた。さらに、破れても自己再生するようだ。

このコートは魔術回路以外はマナで構成されていた。ロストテクノロジーというヤツだろう。おそらく、この世界の今の時代では作ることはできない代物だ。貰ったときは何気に目立たなかったが、なかなか凄いものだった。



「さて、と……銘を決めないとな」


せっかくだから、格好いい名前を付けたい。


しばらく悩んだ結果、統夜は口を開く。


「月光と疾影……」


何となく、2つの剣を見ていて思いついた言葉だ。


月の光のような冷たさと優しさをもった光を反射する白銀の剣。

素早く振るえば、疾走する影にも見えそうな漆黒の剣。



「って、これじゃあ、どう考えても刀につけるべきだよな……」


和名の剣。


「いや、斬新でいいかも……よし、決めた」


武装は決まった。


白銀の剣《月光》。

漆黒の剣《疾影》。

魔法剣フォルネウス


と、地味にアイアンダガーと投げナイフ。


鞘も貰っているので、試しに装備してみる。


漆黒のコートを纏い、左右に白と黒の剣を差す。追加で左側にフォルネウスを差し、右側にアイアンダガー。

コートの内ポケットに投げナイフ。


左側の腰には2本の白い剣。右側の腰には黒い剣と鉄製の短剣。コートの内ポケット4つに同じく鉄製の投げナイフ。



予想以上に重武装である。だが、身体的に強力な統夜には関係ない。今までと変わらない軽快さで戦場を駆けることだろう。


統夜はステータスを確認してみた。





名前 トウヤ・カゲナシ

15歳

レベル34

クラス 凶星戦士

熟練度821/1000



体力3800

魔力2800/2800




個人魔法

火属性

ファイア

ファイアストーム

ファイアボール


水属性

アクア

フリーズ

アクアボール


風属性

ウィンド

ウィンドカッター

ウィンドブラスト


土属性

アース

アースウォール

アースボール


光属性

ライト

シャイン

レーザー


闇属性

ダーク

ダークブラスト

ブラックホール


回復魔法

ファーストエイド



クラス魔法

雷光(Lv5)

【マジックショット】

ストーム(Lv4)

オートガンナー(Lv4)

ストライク(Lv4)



特殊能力

パッシブ

凶星化

光の加護

闇の加護

索敵(MAX)

ステルス(MAX)

魔力回復強化(Lv5)



剣技

奪命斬・弐ノ型

火炎斬(Lv4)

氷結斬(Lv4)






新しく【光の加護】と【闇の加護】という能力を得ていた。詳しく見ると、威力上昇に加え、威力の加減が可能になるらしい。


「そうか……これなら……」


大っぴらに魔法を使えるだろう。


ただ、統夜は知らなかった。光属性と闇属性の魔法が扱える人は、かなり数が限られており、使えれば英雄視されるレベルだということを。



また、光属性と闇属性に新たな魔法が追加されていた。


【レーザー】は攻撃魔法だろう。ゲームっぽいのだろうか、それとも現実っぽいのだろうか。というのも、本当のレーザーは端から見たら見えない。もし見えたら、目が焼かれている。

ゲームなら派手だろうが。


【ブラックホール】は防御魔法だ。しかも上級。



【アースウォール】とは違い、防御範囲は小さいが、強度は無限大。というのも、盾や壁といった概念ではないからだ。


……ちなみに、宇宙のブラックホールとは原理が別だ。近くにいるからといって凄まじい重力がかかるわけではない。この【ブラックホール】は、いわばワームホール。



【レーザー】も上級魔法である。もし元の世界と同じレーザーなら、弾速は凄まじいだろう。人が反応できないくらい。




「そういや……魔法ってレベルアップ以外でも覚えるんだっけ?」


統夜は、魔法についての知識を思い出す。鍛錬や勉強、イメージ力の強化で魔法は覚えられる。また、先天的な能力にも左右される。


忘れがちだが、この世界はステータスやレベルがある以外は、全くもって現実なのだ。決してゲームなどではない。


「分かっちゃいるんだがな……」


だから魔法学校があり、訓練所なんてものがあるのだろう。



「そろそろ寝るか……」


眠気を感じた統夜は、ベッドに倒れ込み、魔法具である光魔法ランプを消した。


疲れが溜まっていたのか、統夜はすぐに寝息をたてた。









翌日、統夜は黒いコートを羽織り、3本の剣と1本の短剣、4本の投げナイフを装備して部屋から出た。武器はコート内に隠れるようになっている。




休憩所のロビーで、黒いコート姿の統夜を見たとき、ガリスやリリネア、イリヤ達は驚いたものの、ダンジョンで手に入れたものと推測したのか、勝手に納得していた。

さすが冒険者である。



「凄い装備ですね」


最初に話しかけてきたのはイリヤだ。ロビーの木製のイスに座っていた。


「……黒いな」


立っていたガリスが苦笑しながら言った。確かに、黒髪黒目で漆黒のコート姿は「黒い」としか言いようがない。闇の中では発見されにくいこと間違いなしだろう。


「疲れはとれた?」


そこで、統夜本人を気遣う声が聞こえた。リリネアである。彼女としては、統夜に対して一種の罪悪感があるのだろう。


「ああ。割と」


統夜は微笑みながら応えた。


「あ、う……よ、良かったわね……」


リリネアは思わず頬を染めて顔を逸らした。


(……どうしたんだ?)


統夜には全く理解できない行動だった。


何故かイリヤがリリネアを見て膨れている。理解不能だ。



「あ、そうだ……イリヤ、フレンド登録するんだよな?」


「あ、はい!!」


花が咲くようにイリヤは笑顔になった。統夜から見ても魅力的な笑顔だと思えた。


……不意にアレを思い出す。



「……どうしたの?」


統夜の表情が変わったことに気づいたリリネアは、未だ頬を染めながらも訊いてきた。


「いや、その……イリヤに謝らないといけないことが……」


「どうしたんですか?」


イリヤが可愛らしく首を傾げた。周りの者達……ガリスやリリネア、他3名の冒険者達も何があったのか気になる様子。


仕方なく、統夜はイリヤを助けるときに何をしたのか話した。


口に指を突っ込んだり、舌を引っ張ったりしたことを。




ガリス他、4名の男性冒険者は「だから?」といった様子だった。だが、乙女の2人は……



「……ふぇ、ふぁっ……」


イリヤは顔を真っ赤に染め上げ、口を手で押さえて変な声を上げた。


「ふぇあ……」


パタン。


イリヤは目を回して倒れた。心なしか幸せそうな顔をして。


「あ、あんた……このヘンタイッ!!」


「うげっ!?」


リリネアは統夜の顔面にビンタした。爆発的な威力を発揮し、統夜は大回転して倒れた。




古からの試練を乗り越えた猛者にしては、非常に情けない絵だった。










しばらくして復活したイリヤと一緒に、統夜はギルド出張所へ向かい、フレンド登録を済ませた。


イリヤは満面の笑顔で「また会ってください! 絶対ですからね!」と言った。

統夜は、イリヤの笑顔には勝てる気がしなかった。






そして今、統夜はロートンへの帰路についている。


無論1人だ。リリネア達は、低階層で特訓をするらしい。





ここまで来る途中、統夜はウォードッグの群れに対して、闇の加護による手加減魔法を試した。だが、統夜が望んでいたものとは違っていた。


確かに威力は落ちた。だが、それは威力が分散し、魔力が分散したことによるものだった。

つまり、魔力そのものについては減っていなかったし、見た目は余計に派手になった。


本当に、手加減はおまけ的な存在だったようだ。




「はぁ……」


強くなって嬉しいはずなのに、何故かため息が出る統夜だった。


視界には既に城塞都市の姿がある。

もう10分あれば着くだろう。




「今日はゆっくりするか……」


換金部位の換金は明日にまわし、今日はゆっくりすることにした統夜だった。








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