4
どうしよう?
頭の中を駈け巡るのはこの言葉だけである。
とりあえず居場所を聞こう。
「ここはどこですか?」
「え!ここは水の国内の『魔物の平原』というところですけど・・知らなかったんですか?」
「全く知らない。てかどうやってこんなところに来たのか自体分からん。」
本当は骸骨神に落とされたんだが。
「ところであなたの名前はなんですか?気になっているのですが。」
「あっ、ごめんなさい。私の名前はカナ。
ランクDの冒険者で、今はクエスト中だったんだけど。」
「まさかとは思うけど、さっき殺しちゃったやつ?」
「はい。そうです。正直なところかなりおい詰められていたので助かりました。」
・・・やばい。
「あの、ごめんね?依頼を勝手に達成しちゃって。」
「いえ、そんなことはいいんですけど。町、どこにあるのかわかりますか?」
「もちろんです。こっちですよね?」
歩き出す。
「あの、そっちは奥に進む方なんですけど…。」
「すいません。分かりません。連れて行ってください。」
即座に諦める。
「と、言うわけで、この大陸には6つの国があるんです。」
「なるほど。」
カナの説明によると、この大陸は6つの国がある。
大陸の西にある火山のふもとにある火の国。
火山でとれる様々な熱や火属性を持つ鉱石を売っている。
大陸の北の山脈とそのふもとの平原にある土の国。
ここは鉄などの鉱石や平原で育てた家畜を出荷する。
南の海岸の付近に広がる水の国。
ここは水を作り出す魔道具や海産物を出荷している。
東の平原に広がる国が風の国。
ここは暑くなりやすいので、風を使う魔道具が盛んに生産、出荷されている。
そして中央を二分しているのは光の国と闇の国。
光の国は宗教国家で、皇帝が絶対の権力を誇るらしい。
闇の国は魔族が多く住み、無属性の魔力の結晶、魔鉱石が多くとれるらしい。
そしてこの二国は小規模な戦いをいまだに繰り広げており、
他にも火の国と風の国が警戒体制になっているようだ。
「と、言うわけでここにつきました。」
「何を言っているんですか?」
「ごめん、気にしないで。ところで工房とかってある?」
「はい。ありますけど…何をするんですか?」
「いや・・武器自分で作ろうと思って、さ。」
「何でですか?あんなに強い武器を持ってるのに。」
「あんな強い武器を持っているからこそ、だよ。
ここに来るまでの間に今この大陸の状況を聞いてきたけど、この大陸で俺の存在、そしてあの武器は禁じ手(バランスブレイカ―)なんだよ。俺がこんな力を持っていると知ったら各国はほぼ間違いなく俺を引き抜こうとするし、アレを量産させようとする。そんなことは嫌だ。もともとこの武器は俺の仲間や大切な人や物を守るために作ったんだ。それを戦争で使うことなんて俺は決して認めない。ただ武器を持っておきたい以上、自分で作ろうと思った。それだけだよ。何より君と離れたくない。」
ア、本音出ちゃった。
「ふえっ!?」
「ご、ごごごめん!つい本音が!」
「あ、い、いえ。気にしないでください。ところでどういうことですか?『君と離れたくない』って?」
「あ、いや、その、なんといいますか・・一目ぼれです。」